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2023.11.11

砂糖は使わず煮詰めない「大学芋」簡単レシピ。とろ~り蜜がたっぷり♡ 芋けんぴも紹介

箸で上げた大学芋のイメージ

おやつとしてだけでなく、ときにはおかずとして昔から親しまれてきた「大学芋(大学いも)」。さつまいもが多く出回る秋から冬にかけては「手作りしてみよう!」と思う方も多いのでは。

一般的な作り方とは、切ったさつまいもを揚げて、砂糖を煮詰めた蜜にからめるだけなので、適当でも簡単に作れそうです。ところが、揚げ油を高温にしすぎてさつまいもが焦げてしまったり、蜜を煮詰め過ぎてカチカチの飴状になってしまったり、これが意外と難しい!

そこで今回は、簡単で失敗なく作れて、時間が経っても蜜がとろ~りからんだ大学芋のレシピを、料理研究家の橋本加名子さんに教えてもらいました。

最後におまけレシピとして、実は大学芋と作り方がとても似ているという「芋けんぴ」のレシピもご紹介するので、最後までお見逃しなく!

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大学芋をカリッ、ホクッ、とろ~り食感に仕上げるポイント

「大学芋の作り方の流れは、大きく分けて、さつまいもを揚げることと、蜜を作ること。それぞれ1つポイントを押さえれば、簡単に作れます。失敗しがちな蜜作りは、ある食材に任せれば大丈夫!」

ある食材とは? 気になるポイントを見ていきましょう!

【ポイント①】さつまいもは「電子レンジ加熱→揚げ焼き」の2段階加熱で、時短&おいしさアップ!

一般的なレシピだと、切ったさつまいもをたっぷりの油で揚げますが、それだと時間もかかるうえに、まだ中は生なのに表面は焦がしてしまうなんて失敗もしがち。

それならば、さつまいもは揚げる前に電子レンジで丸ごと加熱してしまいましょう。ある程度熱を通しておけば、あとは切って少な目の油で揚げ焼きすればOK。揚げ時間も短縮でき、水分も飛びにくいので、外はカリッ、中はほっくりした食感に仕上がります。

【ポイント②】蜜作りは水飴を使えば、煮詰める必要なし! とろ~り感が長く楽しめる大学芋に

水飴のイメージ

大学芋を作るときに最も失敗が多いのが、蜜作り。煮詰め過ぎてカチカチの飴状になったり、焦がしてカラメル状になったり、トロミがつかずザラザラになったり…。ちなみにそんな失敗の原因は、砂糖水を火にかけてかき混ぜすぎてしまい、砂糖が再結晶化してしまうから。そんなお悩みを解決してくれる食材、それが「水飴」です。

水飴はすでに水分を含んで粘度があるので、砂糖で作る蜜のように煮詰める必要がありません。さっと温めて揚げたさつまいもにからめれば、トロミとともに照りもつきます。

また、砂糖で作った蜜は、翌日には水っぽくなり、さつまいもの下に落ちてしまいますが、水飴で作った蜜はダレにくく、おいしい状態をキープできるのも特徴です。普段使ったことがない食材かもしれませんが、大学芋以外にも煮魚やチャーシューを煮るときに使うと、きれいな照りをつけることができるので、ぜひ試してみてください。

【ポイント③】大学芋のおいしさは、どのさつまいもの品種を使うかで差が出る!

おいしい大学芋作りには、さつまいも選びも大切。品種によって水分量やデンプンの含有量に違いがあり、味の違いとなるからです。大学芋には「紅はるか」「安納芋」のようなねっとり系のさつまいもより、ホクホク感の強い「紅あずま」や、それよりもしっとり感の強い「シルクスイート」「なると金時」がおすすめ。

もちろん好みもあるので、さまざまな品種を試し、自分好みの大学芋を追求してみるのも楽しいですよ。

ホクホクのさつまいもに蜜がたっぷりからむ! 「大学芋」の作り方

大学芋の材料

<材料>(作りやすい分量)

  • さつまいも…1本(約200g)※シルクスイート、紅あずま、なると金時がおすすめ
  • 【蜜】
    ・水飴…120g
    ・水…大さじ2
    ・しょうゆ…小さじ2
  • 黒炒りごま…適量
  • 揚げ油…適量

<作り方>

1. さつまいもに穴をあけて水で濡らし、ラップを巻いて電子レンジで加熱する

さつまいもに穴をあけるイメージ

竹串でさつまいも全体に30か所ほど穴をあける。

「穴をあけると、さつまいもの中心まで熱が通りやすくなります。穴の深さは7、8mm程度でOKです。穴が多いと思うかもしれませんが、今回使う中くらいのサイズだと、このくらい万遍なく入れてください」

さつまいもにラップを巻いたイメージ

さつまいも全体を水でさっと濡らしたら、そのままラップで包み、600Wの電子レンジで3分加熱する。さつまいもが太い場合(直径6㎝以上)、1分30秒加熱したところで上下を返し、さらに1分30秒加熱する。

「さつまいもの水分が飛ばないよう、切らずに丸ごとレンジ加熱します。さらにさっと水で濡らしてから加熱すると、よりパサつくのを防げます。ここでは完全に柔らかくするのではなく、5割程度熱を通すイメージです」

2. 加熱したさつまいもは両端を切り落とし、ひと口大に切る

さつまいもをひと口大に切るイメージ

さつまいもの両端を切り落とし、ひと口大の乱切りにする。

「さつまいもの先端は固くて口当たりが悪いので切り落としましょう。切り方は厚めの輪切りでも、棒状でもお好みで構いませんが、乱切りにすると薄いところはカリッと、厚いところはホックリして、いろいろな食感が楽しめるのでおすすめです」

3. 冷たい油にさつまいもを入れ、甘みを引き出しながら揚げ焼きにする

さつまいもを冷たい油に入れたイメージ

さつまいもを素揚げする。直径26cmくらいの口が広い鍋に、揚げ油を2cm程度の深さまで注ぐ。2のさつまいもを重ならないように並べ入れ、中火にかける。

「まだ油が冷たいうちにさつまいもを入れ、徐々に温度を上げていくことで、さつまいもの甘みが引き出されます。ある程度さつまいもに熱が通っているので、少な目の油で揚げ焼きすればOK。短時間で揚がります」

さつまいもを返すイメージ

ときどき、箸で上下を返しながら揚げる。

さつまいもを油から取り出すイメージ

全体がうっすら色づき、カリッとしてきたら油をきって引き上げる。

「もっとカリカリとした食感がお好きなら、焦げない程度にさらに加熱してください」

4. 蜜の材料をフライパンに入れ、弱火で温めて蜜を作る

蜜を加熱するイメージ

フライパンに蜜の材料をすべて入れ、弱火にかける。木ベラで混ぜながら、全体的にフツフツと泡が立ってきたら火を止める。

「砂糖で作る蜜のように、煮詰める必要はありません。水飴はすぐに煮詰まりやすいので、弱火で加熱しましょう」

5. 揚げたさつまいもを加えて蜜をからめ、黒ごまを振る

さつまいもを蜜と合わせるイメージ

4のフライパンに3のさつまいもを加え、再び弱火にかける。

「さつまいもは熱いうちに加えてください。蜜がからみやすく、甘みも吸いやすいです」

さつまいもを箸で返すイメージ

箸でさつまいもの上下を返しながら、蜜を全体にからめて火を止める。

「加熱していると蜜はサラサラとした状態ですが、冷めるにつれてどんどんトロミがつきます。写真くらいの程度で火を止めましょう」

黒ごまを振るイメージ

仕上げに黒いりごまを全体にふりかける。ひと混ぜしてそのまま冷まし、蜜にトロミがついたら器に盛る。

でき立てカリッ、翌日しっとり! 甘じょっぱい蜜がたまらない「大学芋」の完成

器に盛った大学芋のイメージ

蜜にとろみがつくまで冷ました大学芋は、今まで自分で作ったときには見たことないほどツヤツヤ! 一切れ口に運ぶと、縁の薄いところはカリッと香ばしく、分厚いところはほっくりとして、2つの食感が楽しめます。水飴で作った蜜は、砂糖で作った蜜よりもスッキリとした甘さで、さつまいもの甘みがより引き立つよう。これならお弁当にもいけます!

少し残して翌日もいただいでみたところ、蜜は多少ゆるくなったものの、さつまいもにちゃんとからみ、よりしっとりとした食感に。作り立てとはまた違ったおいしさで、二度楽しめるのが嬉しいです。

さつまいもがおいしいシーズンに、ぜひお試しください。

【おまけレシピ】芋けんぴの作り方。カリカリ食感が後引くおいしさ!

芋けんぴ のイメージ

大学芋と並ぶ、さつまいもを使った昔ながらの定番おやつ「芋けんぴ」。実は大学芋と作り方が似ていて、さつまいもを揚げてから蜜をからめて作ります。芋けんぴならではの特徴は、細長く切って揚げることでカリカリとした小気味よい食感です。

「芋けんぴの命とも言えるカリッカリの食感を生むには、いくつかポイントがあります。まずは火の通りムラがないよう細く均等に切ること。次に水にさらし、アクを抜いてデンプンを洗い流しましょう。水気をきったら水分をしっかり拭き取ることも、カラッと揚げるための大事なポイントです。

揚げるときは、いきなり高温の油に入れると、中に水分が残ったまま表面だけが焦げてしまいます。冷たい油から入れ、徐々に温度を上げながら水分を抜いていきましょう。最後に蜜をからめるときも、水分を飛ばしながら加熱すれば、おいしい芋けんぴ の完成です。時間が経つと食感が損なわれるので、早めに食べ切ってくださいね」

<材料>(作りやすい分量)

  • さつまいも…1本(約200g)※シルクスイート、紅あずま、なると金時がおすすめ
  • 【蜜】
    ・グラニュー糖…大さじ3
    ・水…大さじ1と1/2
    ・塩…少々
  • 揚げ油…適量

<作り方>

  1. さつまいもは長さを半分に切り、5mm厚さの薄切りにしてから5mm幅の細切りにする。
  2. 1のさつまいもをボウルに入れ、水をたっぷり注いで10分ほどさらしてアクを抜く。ザルに上げて水気をよくきり、キッチンペーパーで水気をさらに拭き取る。
  3. フライパンに2のさつまいもを入れ、揚げ油をひたひたに注いでさつまいもを全体に広げ、中火にかける。しばらく触らずに揚げ、さつまいもの形が固まってピンとなったら箸でときどき混ぜる。
  4. さつまいもの水分が抜けてカリッとしてきたら、キッチンペーパーを敷いたバットに油をきって取り出す。
  5. 別のフライパンに蜜の材料を全て入れ、弱火にかける。木ベラでときどき混ぜ、薄く色づいたら4のさつまいもを加え、全体に蜜をからめながら水分を飛ばす。
  6. オーブンペーパーに5を重ならないように広げ、冷めたら完成。

橋本加名子さん

橋本加名子さんのお顔

料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」主宰。企業で働きながら子育てをした経験を活かし、「体にやさしくて、作りやすい家庭料理」を提案し続けている。飲食店のプロデュースやフードコーディネートにも携わる他、雑誌、書籍、ウェブサイト等で活躍。『ホットクックお助けレシピ』シリーズ(河出書房新社)、『たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)など著書多数。

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撮影:菅井淳子
文:香取里枝

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