2024.06.02
三大そうめん(素麺)「播磨」「三輪」あとひとつは? ひやむぎとの違い、値段の差は? 高級ギフトも紹介!
夏になると食べたくなる麺といえば、やはり「そうめん(素麺)」。手軽に調理でき、つるりとした喉ごしで食欲が落ちがちな季節にも大活躍してくれるおなじみの麺ですが、実は意外と知らないことも。
そこで今回は、「三大そうめん」と呼ばれる「播州手延べそうめん(兵庫県)」、「三輪そうめん(奈良県)」、「小豆島そうめん(香川県)」について、同じく夏定番の麺であるひやむぎとの違い、商品によって値段に大きな差がある理由など、そうめんの疑問を大解剖します!
お話を伺ったのは、播州手延べそうめんの代名詞的ブランド<揖保乃糸(いぼのいと)>と<三輪素麺 山越>を取り扱うエムアイフードスタイルの長島さんと、小豆島そうめん<甚助>を取り扱う森田さん。
さらに、三大そうめんから、三越伊勢丹オンラインストアで購入できる、夏のお中元やギフトとしてもおすすめの高級そうめんをピックアップします。ぜひ最後までお見逃しなく。
※追記:2024年6月2日(日) この記事は過去の記事を再編集して掲載しています。
目次
▼ギフトにも人気の「三大そうめん」とは?
・【おすすめギフト①播州手延べそうめん】熟練製造者が手がける、繊細でなめらかな手延べそうめん<揖保乃糸>
・【おすすめギフト②三輪そうめん】蔵で1年熟成。コシの強さと喉ごしのいいそうめん<三輪素麺 山越>
・【おすすめギフト③小豆島そうめん】小麦本来の旨みを感じるモチモチ食感が魅力<甚助>
意外な発見あり! 「そうめん」と「ひやむぎ」の違いとは?
そうめんと並ぶ日本ならではの夏の麺といえば、ひやむぎ。「そうめんとひやむぎはよく似ているけど、どう違うの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?
●法律で決まっていた! そうめん、ひやむぎ、うどんの「太さ」の違い
実は、そうめんとひやむぎの違いは、主に麺の太さによるもの。原材料には違いはありません。そうめんもひやむぎも、使われる基本の材料は小麦粉、塩、油、水と同じです。
「そうめん、ひやむぎ、うどん、きしめんなどについて、どの名前を表示するかは、内閣府の乾めん類品質表示基準の法律において、太さの違いで表示するように細かくルールが定められています。一般的に知られているのは、以下の太さの違いです」(長島さん)
【干しめんの食品表示基準のルール】
・うどん 1.7mm以上
・ひやむぎ 1.3㎜以上、1.7㎜未満
・そうめん 1.3㎜未満
・ひらめん、きしめん、ひもかわ 幅4.5mm以上、厚さ2.0㎜未満
●そうめんは手作業で伸ばした「手延べ製麺」なら、ひやむぎと同じ太さでもOKというルールがあった!
そうめんの製法には、機械で伸ばして作る「機械製麺」と、手作業で伸ばす「手延べ製麺」の2種類があります。製法によって、そうめんとひやむぎの区分が変わってくるのだとか。
「実はあまり知られていないのですが、前出でご紹介した『そうめんは1.3㎜未満』というルールは、機械で伸ばした『機械製麺』の場合のこと。手作業で伸ばした『手延べ製麺』の場合は、ひやむぎと同じ太さの『1.7mm未満』までなら太くしてもよい、というルールがあるのです」(長島さん)
製法 | 名称 | 麺の太さ |
機械製麺 | そうめん | 1.3㎜未満 |
ひやむぎ | 1.3㎜以上1.7㎜未満 | |
手延べ製麺 | そうめん | 1.7㎜未満 |
ひやむぎ |
まとめると、機械製麺の場合、そうめんは1.3㎜未満、ひやむぎは1.3㎜以上1.7㎜未満。一方で手延べ製麺の場合は、そうめん、ひやむぎのどちらも太さは1.7㎜未満とされていて、太さの違いはないというわけです。
製造方法によって、そうめんの基準が異なるのは驚きですね!
●そうめんとひやむぎは「ゆで時間&食感」にも違いが!
そのほか、一般的なそうめんとひやむぎで異なる点は、ゆで時間と食感と言われています。そうめんは基本的に麺がとても細いため、ゆで時間が1分30秒〜2分程度と短め。つるりとした喉ごしのよさが特徴です。
ひやむぎはそうめんより太めなので、ゆで時間は5~8分程度と少し長め。そうめんに比べてコシが強く、食べごたえがあります。ゆでても伸びにくいので、温かい汁につけていただくうどんのような食べ方も人気です。
製造方法に注目! そうめんの値段の違いって?
次に、そうめんの値段の違いについて聞いてみました。そうめんは、商品によって価格帯に幅があり「どうしてこんなに高級なの?」と思うものもありますよね。この差は何によるものなのでしょうか?
「価格(値段)の違いは、主にそうめんの製造方法の違いによるものです」(長島さん)
まずは、手延べそうめんの製造方法を見てみましょう。小麦粉と食塩水をこね合わせた生地に油を塗り、藁をねじって縄を作るように生地をねじって縒(よ)りをかけながら、細く長く引き伸ばします(のばし)。そのとき、一度に長く延ばそうとすると切れてしまうため、熟成させながら(ねかし)、何度も伸ばして作業を行っていきます。(※1)
しっかり伸ばしたそうめんは均等な量にさばかれ、乾燥室などで乾燥させて一定の水分量まで下がったら切断、箱詰めされます。
「一般的に、そのうちの熟成期間と麺の細さ(麺線)が、そうめんの価格に大きく影響するんです(※2)」(長島さん)
※1 <揖保乃糸>の商品は、一部製法が異なります。
※2 小豆島そうめんをはじめ、一部のそうめんは熟成期間が価格に影響しない場合もあります。
●熟成期間
そうめんは製麺後に蔵で寝かせて熟成させることで、小麦粉に含まれる粘り成分のグルテンが硬質化し、ゆでてものびにくい麺になります。一般的にはその熟成期間が長いほど、価格が高くなる傾向にあります。
熟成期間ごとに、そうめんの名称は以下に分類されます。
そうめんの名称 | 熟成期間 |
新物 | 製麺後、すぐに出荷したもの |
熟成麺 | 製麺後、半年以上熟成させたもの |
古物(ひねもの) | 製麺後、1年以上熟成させたもの |
大古物(おおひねもの) | 製麺後、2年以上熟成させたもの |
ただし、小豆島そうめんや一部のそうめんの中には何年も寝かせず、太めの方が美味しいとされているものも。熟成期間・麺の細さに重きをおかない場合もあるので、一概にはそれが正解とはいえないようです。
「使用する素材や目指す味わいの方向性によって、麺の細さや熟成期間は変わってくるので、ぜひさまざまなそうめんを試してみていただければと思います」(<甚助>森田さん)
●麺の細さ(麺線)
麺線と呼ばれる麺の細さ(太さ)にも種類があります。機械製麺、手延べ製麺ともに、「並麺」と呼ばれる一般的なそうめんの細さは、約1kgの小麦粉を約1kmに伸ばしたもの。より細く長く伸ばすためには、小麦粉の質に左右されたり、熟練した技術が必要になったりするため、細い麺ほど、より価格が高くなる傾向にあります。
そうめんの名称 | 1束(約50gあたり)の麺の本数 |
並麺 | 約350~400本 |
細麺 | 約700~750本 |
極細麺 | 約1000~1100本 |
つまり、お中元などのギフトや手土産にそうめんに「より高級なものを選びたい!」という場合、基準のひとつとして熟成期間や麺の細さをチェックしてみるとよいでしょう。
●そうめんが巻かれた「帯の色」に高級(値段)の証の差が表れている
ほかにもそうめんのメーカーによっては、原料や製造時期、製法(手延べ製麺・機械製麺)などの違いで、等級(価格)が分けられる場合もあるとか。
「たとえば、そうめんの人気ブランド<揖保乃糸>の場合、上記のほかに使用する小麦粉の質や製造時期なども価格に影響してきます。スーパーなどで流通している比較的リーズナブルなそうめんは『赤帯』、お中元など贈答用のワンランク上のそうめんには『黒帯』などが巻かれてランク分けされているので、購入の際はぜひチェックしてみてください」(長島さん)
夏のギフトにも人気の「三大そうめん」とは?
続いては、そうめんの歴史と三大そうめんについてフォーカス!
日本でのそうめんの歴史は、約1300年の伝統がある三輪そうめん(現在の奈良県周辺)からはじまったといわれています。
そのそうめん文化が全国へ広がったのは江戸時代。集団で伊勢神宮を参拝する「お伊勢参り」が流行したとき、その街道筋に三輪の地があったため、参拝客がこぞって三輪そうめんを持ち帰り、全国へ広がったのだとか。
現在は、手延べそうめんは西日本で製造されていますが、なかでも生産量が多い「播州手延べそうめん(兵庫県)」、「三輪そうめん(奈良県)」、「小豆島そうめん(香川県)」は「三大そうめん」と呼ばれています。
暑さで食欲が落ちる時期でもつるりと食べられるそうめんは、お中元の定番。お世話になった方に三大そうめんを贈れば、喜ばれること間違いなしです。
三大そうめんの特徴は、以下の通り。
★スマートフォンなどの場合、表をスクロールさせて右端まで閲覧してください
名称(産地) | 製法の特徴 | 味の特徴 |
播州手延べそうめん (兵庫県) |
約600年前から西播磨地域の農家の副業として発達。生地には薄力粉を使用するため、麺の色が白く仕上がる。 | 繊細でなめらかな口当たりが特徴。 |
三輪そうめん (奈良県) |
手延そうめん発祥の地。グルテン含有量の多い中・強力粉を使用するため、麺の色が少し黄色味を帯びている。 | コシの強さや喉ごしが特徴。 |
小豆島そうめん (香川県) |
小麦粉は中力粉を、油には小豆島の名産品であるゴマ油を使用。 | 弾力のある食感と甘みが特徴。 |
原料の小麦や油の種類が異なるのは意外ですね! ギフト用であれば、相手の好みに合わせて選ぶといいでしょう。
続いて、そんな三大そうめんから、2024年にオンラインストア「三越のお中元」、「伊勢丹のお中元」(通販)で購入できる、夏のギフトやお中元にぴったりな高級そうめんをピックアップしてご紹介します。
【三大そうめんギフト①播州手延べそうめん】熟練製造者が手がける、繊細でなめらかな手延べ製法<揖保乃糸>
兵庫県・西播磨で製造されている<揖保乃糸(いぼのいと)>。おなじみのブランドのなかでも、「特級そうめん」は小麦粉の質にこだわったひと品で、厳寒期と呼ばれる12月~翌2月に兵庫県手延素麵協同組合が選抜した熟練製造者によって手延べで作られています。高級品の証である黒帯が巻かれたそうめんです。
一般的に流通している赤色の帯の麺が太さ0.70〜0.90mmなのに対し、その太さなんと0.65~0.7㎜! 極細の麺は、繊細でなめらかな口当たりながらも、しっかりとコシを感じる食感が特徴です。ゆで伸びしにくいため、ゆでたそうめんを弁当箱に入れた「そうめん弁当」もおすすめだそうです!
三越伊勢丹オンラインストア「伊勢丹のお中元」で商品を見る>>
【三大そうめんギフト②三輪そうめん】蔵で1年熟成。コシの強さと喉ごし満点<三輪素麺 山越>
<三輪素麺 山越>が手がける「蔵出し二年物」は、製麺後、蔵で1年以上熟成させた手延べの古物。長期熟成させたそうめんならではの歯ごたえのよさや喉ごしを楽しめます。油にはイタリア産のエキストラバージンオイルを使用。口に入れると品よく広がるオリーブオイルの香りも、美味しさの秘密です。
定番の冷やしそうめんはもちろん、にゅうめんや鍋のシメなど、温かい麺としてもおいしくいただけます。
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【三大そうめんギフト③小豆島そうめん】小麦の旨みを感じるモチモチ食感が魅力<甚助>
続いては、小豆島そうめんから、麺匠<甚助>が手がける「大吟穣 貴珀」をご紹介。黒帯以上の規格として金帯が巻かれ、小豆島そうめんのなかでもギフトとして人気のひと品です。
「最大の特徴は、小麦の中心部の約35%の部分のみを挽いた粉を使用していることです。良質なでんぷんが多く含まれている中心部のみを使用し、時間をかけて手延べすることで、独特のモチモチ感が生まれるんです。美しい色合いで、雑味のないすっきりとした味わいが楽しめます」(森田さん)
三越伊勢丹オンラインストア「伊勢丹のお中元」で商品を見る>>
いずれの三大そうめんも、熟成期間や麺線へのこだわりのほか、使用する原料や製法がひと味違うものばかり。そのストーリーも楽しみながら、夏のギフトや手土産を選んでみてはいかがでしょうか?
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、三越伊勢丹オンラインストア「三越のお中元」・三越伊勢丹オンラインストア「伊勢丹のお中元」にてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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