2015.08.10
このサプリ、地球規模。ミドリムシで星ごと元気な生活を
最近、何かと耳にするようになった「ミドリムシ」。これが健康食品になったり、エネルギー燃料になったりすることをご存知でしょうか?
なんとミドリムシは、身体の健康から世界の食料問題、さらには燃料問題までを解決するという、小さいけれど地球規模のサプリなのです。その知られざる魅力を、ミドリムシを世界に広めたカンパニー、<ユーグレナ>の広報・安間美央さんにお聞きします。
ミドリムシは海苔の親戚? 動物で植物?
子どもの頃、理科の授業で「光合成」を習った時、「光を浴びるだけで生きていけるなんて、なんて楽なんだ!」と思ったことがあるかもしれません。日光浴をして寝転がっているだけでお腹が空かない、そんなことができれば素晴らしいものです。あっという間に地球の食料問題は解決してしまいますね。しかし幸か不幸か、私達人類の祖先はその生き方を選ばずに今の動物の形となり、光合成は「葉緑素」を持つ植物だけのものとなりました。
しかし生物界は広いもので、光合成を実現しながら動物の性質を持った種がいるのです。その生物こそが「ミドリムシ」。髪の太さよりも小さな藻類で、光合成をしながら動きまわり、田んぼをはじめとする淡水から、海水に至るまでの地球上のさまざまな水中で、なんと5億年も前から生息しています。そしてユーグレナこそ、ミドリムシの人工大量培養に世界で初めて成功した日本発のバイオ企業。その社名はミドリムシの学術名です。
もっともメインとなる製品『ユーグレナ・ファームの緑汁』の味は、意外にも少しコクのある抹茶のような風味。キリッと冷やせば、栄養食品というよりも、これからの夏の季節に合う飲み物という印象です。
「ミドリムシは植物と動物の両方の性質を持つ生物。飲んだ時の抹茶っぽい味は植物を感じると思います。また、水中に生息する『藻類』であることから、お馴染みの海苔の親戚でもあり、少しダシっぽい味わいも持ち合わせてるのです。抹茶っぽくミルクでも、ダシっぽくお味噌汁などにも合いますよ」
ミドリムシに含まれる栄養素は59種類。その中には自然界では主に柑橘類が持っているビタミンAやβ-カロテン、動物が持っているDHAやビタミンB2が豊富に共存します。ミドリムシは、食物連鎖におけるもっとも底辺に位置する生物であることから、動物と植物両方の栄養素を持ち合わせているという、いいとこ取りをしている生物なのです。
そんなミドリムシの摂取方法は、緑汁ならば水に溶かして飲み物として、あるいは、シフォンケーキや蒸しパンなどのスイーツの材料にまぜても美味しく食べられるとか。高温になりすぎない限り、加熱しても成分が変化しないため、料理の幅も広がります。
飢餓からダイエットまで、世界の栄養をバランスする
非常に豊富な栄養素を持ち合わせていることから、ミドリムシは遠く海の向こうの開発途上国の飢餓を救っています。例えばバングラデシュの首都・ダッカのスラム街で深刻化している、子どもたちの栄養失調。ユーグレナはこの地にてミドリムシ入りクッキーを小学校に配ることでの支援をしています。ミドリムシは人間が生きてゆく上で欠かすことができない「必須アミノ酸」9種類すべてを含んでいるため、極論すれば「お米とこれさえ食べていれば生きてける」食料だと言われています。
実際にミドリムシ入りクッキーを食べているダッカの子どもたちは栄養失調から回復し、学校でも集中力を欠くこと無く授業を受けることができるようになったといいます。一方でこの飽食の国・日本でも、栄養失調が存在すると安間さんは話します。
「人間にはバランスの良い栄養の摂取が必要ですが、先進国に住む日本人でもなかなか毎回の食事で必要な栄養をすべて摂取するのは難しいかと思います。食生活の乱れや栄養バランスの崩れは日々の健康を脅かす一因になりえますが、ミドリムシは野菜、果物、魚、肉などの食材で取る栄養素を摂取することができるので、毎日の食事に食材のひとつとして加えていただければ、継続的な健康を支える一助になります」
こうした特徴から、ミドリムシは健康的なダイエットにも活かすことができるようです。
「ダイエットで摂取カロリーを減らそうと、むやみに栄養価の低い食べ物を摂取することは、身体に悪影響を及ぼしかねませんが、ダイエット中の食事にミドリムシを併せて摂れば、栄養素のバランスを保ちながら摂取カロリーを減らすことができます。満腹感まではそれほど満たしてくれませんが」
また、ミドリムシの特有成分である“パラミロン”は、余分な脂を排出する働きがあることも確認されているとのこと。ミドリムシに含まれるパラミロンを継続的に摂取すると、血中脂質(総コレステロール、中性脂肪、LDL)の代謝が改善されるという研究結果も発表されています。この働きによって、骨格筋量を減らすことなく、健康的なダイエットを実現できる可能性があるのだとか。
この星の希望の栄養素に
さらにミドリムシは食料だけではなく、燃料の原料にもなります。それがミドリムシから抽出される「ユーグレナバイオオイル」。ミドリムシは培養過程で光合成によって二酸化炭素を吸収するため、生まれたオイルを燃焼させても、理論上は地球上の二酸化炭素量はバランスする、地球に負担の少ない燃料なのです。ユーグレナバイオオイルによって、2020年にはミドリムシバイオジェット燃料による飛行機の商業的飛行も目指されています。
「食料から燃料、そのほか飼料などもミドリムシから作って販売することが将来的には実現できるかもしれません。ミドリムシには地球と人を健康にするための様々なポテンシャルがあり、わたしたちはバイオテクノロジーでその可能性を実現していくことを目指しています」
私達ひとりひとりの偏った栄養バランスは、ある意味では私達が引き起こしてきた地球環境のアンバランスさの縮図なのかもしれません。ミドリムシは人間から地球までの栄養バランスを整える、「地球に効くサプリ」になるのかもしれませんね。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
Ranking
人気記事ランキング