2022.10.31
しっとりふわふわ! 驚きのミートローフのレシピ。フレンチの技で肉のうまみが倍増です♡
ひき肉を大きくまとめて焼き上げるミートローフ。迫力があって食卓がパッと華やぎ、子どもも大人も喜ぶご馳走のイメージです。ところがいざ作ってみると、焼いている途中でヒビ割れてしまったり、食べてみるとパサパサなハンバーグみたいな味わいだったり、期待通りのおいしさにならないことが多くて…。
そこで、東京・麹町のフレンチレストラン<オー・プロヴァンソー>の中野寿雄シェフに、フランス料理の技法が盛り込まれた、くり返し作りたくなるミートローフを考案してもらいました。おもてなし料理やクリスマスなどのパーティー料理だけでなく、洋風のおせち料理にもふさわしい一品です。ゆで卵は入れないので、肉の味わいを楽しめます。
さらには、ミートローフのおいしさを格上げしてくれる、野菜と生クリームのコクが満載のオリジナルソースも大公開。最後まで必見です!
▼プロが丁寧に解説した、おせちレシピ一覧はこちら
肉汁を逃さない! ふわふわ「ミートローフ」4つのポイント
「今回のレシピを考案するにあたって、パテ作りなどで用いるフレンチの技法をベースに、肉本来のうま味や肉汁が感じられて、口当たりのよいミートローフを目指しました。湯煎はせずにオーブンで焼くだけなど、ご家庭でも作りやすいよう工夫しています。次の4つのポイントを押さえて作ってみてください」
それでは、チェックしていきましょう!
【ポイント①】牛肉と豚肉の細切りとひき肉の3種類を使い、食感とうまみをアップ!
一般的なミートローフのレシピでは、牛肉と豚肉を合わせてひいた「合びき肉」だけを使いますが、今回のレシピでは「牛肉の薄切り肉」と「豚肉の薄切り肉」を自分で細切りにして、「合びき肉」と混ぜ合わせます。こうすると、やわらかいだけでなく、肉本来の食感とうまみがより感じられるミートローフになります。
牛肉は脂に甘みのある「和牛の切り落とし肉」が最適です。値段は高いですが80グラムと少量なので、せっかく作るなら奮発したいところ。豚肉は脂の多い「こま切れ肉」を使うとよりおいしく仕上がります。
【ポイント②】味の決め手は「香味野菜とワインのペースト」。風味とコクが増し、口当たりなめらかに!
味の決め手となるのは「香味野菜とワインのペースト」。玉ねぎとにんにくをじっくり炒め、赤ワイン、甘口のポートワインを加えて煮詰めてからペースト状にしたものです。これを肉だねに混ぜれば、ほかの味付けは塩、こしょうで充分。
赤ワインのアクセントが肉のうまみを引き立て、香味野菜で香りと甘み、ポートワインで甘みとコクが加わり、これらをペースト状にすることでなめらかな口当たりのミートローフに仕上がります。
なお、ポートワインはみりんで代用することもできますが、食前・食後酒としてもおいしくいただけて、チーズやスイーツとの相性も抜群。開栓後は冷蔵庫で1か月ほど保存が可能なので、1本常備しておくと重宝します。
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【ポイント③】肉だねをベーコンで巻き、燻製香と脂のうまみをプラス。形崩れを防ぎ、切りやすさもアップ!
肉だね全体にベーコンを巻きつけると、ベーコン特有の燻製によるスモーキーな香り、脂のうまみがプラスされ、より奥行きのある味わいに。ベーコンは燻製の香りがしっかりしたものを選ぶのがおすすめです。
また、ベーコンが焼き縮むことで、やわらかい肉だねをしっかりと包み込むので、ミートローフをきれいに切ることができます。
【ポイント④】オーブン加熱は「高温で短時間」→「低温でじっくり」の2段階で肉汁を逃さない!
まずは180℃の高温で15分かけまわりを焼きかためます。いったん取り出してアルミホイルで全体を覆い、100℃の低温で30分じっくりと蒸し焼き状態で加熱します。こうすると肉汁が逃げず、しっとりとした焼き上がりに。ミートローフのレシピで多く見られる、面倒な湯煎焼きは不要です。
焼き上がったあとは、肉汁が落ち着くまでゆっくりと冷ましましょう。
以上がミートローフを作るポイントでした。肉の合わせ技や野菜のペースト、ポートワイン使いなど、知らなかったフレンチの技が満載で期待が膨らみます!
では、具体的なレシピを見ていきましょう。
<オー・プロヴァンソー>中野シェフ考案! フレンチの技が光るミートローフの作り方
<材料>(16cm長さ×8cm幅×5㎝高さの耐熱型1台分/3~4人分)
※18cm長さのパウンド型で作る場合の分量はこちら
- 牛切り落とし肉(和牛)…80g
- 豚こま切れ肉(脂が多いもの)…80g
- 合びき肉(牛5割、豚5割の配合がベター)…60g
- 【香味野菜ワインペースト】
・バター(食塩不使用)…10g
・玉ねぎ(繊維を断って薄切り)…小1/2個(80g)
・にんにくのみじん切り…小1/2個分
・赤ワイン…50ml
・ポートワイン(ルビー・甘口)…20ml ※みりんで代用可 - 【調味料】
・塩…小さじ1/2弱(2.4g、肉の重量の1.1%)
・砂糖…小さじ1強(2.4g、肉の重量の1.1%)
・粗挽き黒こしょう…少々
・ナツメグ…少々 - 卵(Mサイズ)…1個
- パン粉(ドライ)…1/2カップ(約20g) ※牛乳に浸しておく
- 牛乳…40ml
- スライスベーコン(長さ16cm程度)…6~8枚
- 【赤ワインクリームソース】
・材料と作り方はこちら - 【付け合わせのリヨン風ポテト】
・材料と作り方はこちら
※18cm長さのパウンド型(約18cm長さ×8cm幅×6㎝高さ)で作る場合の分量
材料のベーコンは8枚、それ以外の材料はすべて2倍にする。焼き時間は180℃で25分、100℃で60分に変更。作り方は同じです。
<作り方>
1. 【香味野菜ワインペースト】を作り、冷ましておく
鍋を弱めの中火にかけてバターを溶かし、玉ねぎ、にんにくを入れて炒める。玉ねぎがくったりとするまでじっくり炒めたら、赤ワイン、ポートワインを加え、強火で煮詰める。
「香味野菜の玉ねぎ、にんにくは、生のままでは匂いがツンとして味も強すぎます。じっくり炒めることで良い風味に変わり、甘味がグッと引き出されます」
上写真のように汁気がほぼなくなったら、火からおろす。
「ここまでしっかり煮詰めることで、風味が凝縮されます」
フードプロセッサー、またはすり鉢に移し、ペースト状にする。ボウルに取り出し、冷ましておく。
「少量なので、お使いのフードプロセッサーによってはうまく攪拌できないことがあります。その場合、すり鉢ですりつぶすといいでしょう」
2. 牛肉と豚肉を、1㎝幅の細切りにする
牛肉と豚肉は、それぞれ1㎝幅の細切りにする。
「あまり細かくしすぎると、せっかくの食感が損なわれてしまいます。1㎝幅くらいを目安に切ってください」
3. 肉だね作りの鉄則! 最初は肉に塩などの調味料を入れ、粘りが出るまでしっかりもみ込む
ボウルに2の牛肉と豚肉、合びき肉を入れ、【調味料】の塩、砂糖、黒こしょう、ナツメグを加える。
「最初は肉と塩など調味料だけをボウルに入れて、粘りが出るまでもみ込むことが肝心。こうすると肉同士がしっかりとつながって、焼いても割れにくくなります。卵とパン粉を加えるのはそのあとです。ハンバーグ作りにも応用できますね。砂糖を加えるのは、肉の発色が良くなって、ミートローフの切り口が茶色く変色しにくくなるからです。スパイスは風味付けに」
「指を大きく広げて肉だねをギュギュッと握りつぶすようにして、手早くよくもみ込む(上写真)。肉同士がつながって、全体的に少し白っぽくなって粘りが出ればOK(下写真)」
4. 卵、パン粉を加えて混ぜる
牛乳に浸したパン粉、卵を加える。
ゴムベラで、切るように全体を混ぜる。
「肉同士はつながっているので、全体的になじむように混ざればOKです」
5. 最後に香味野菜ペーストを加えて混ぜる
冷ましておいた1の香味野菜ワインペーストを加え、ゴムベラで切るように混ぜる。
「香味野菜ワインペーストが全体に混ざったら、肉だねは完成。ハンバーグのたねよりも、少しゆるい仕上がりをイメージしてください」
6. 型にベーコンを敷き、肉だねを詰める
「型は火が中心までムラなく通りやすい長方形を使います。今回使用した型は、陶器製のテリーヌ型(写真右)で、しっとり仕上がるのでおすすめです。または、アルミ製やステンレス製のパウンド型(写真左)を使っても作れます。加熱時間は同じでOK」
型にベーコンを敷く。ベーコンの端が型の底面で3cm程度重なるよう、2枚一組にして敷き込む。残りも同様にする。
「型のサイズによりますが、今回使用した型の場合、ベーコンの長さは16cm程度が最適。長ければ写真のように長さを切って調整しましょう」
型に5の肉だねを、スプーンで2~3回に分けて詰める。
「肉だねは数回に分けて詰め、その都度スプーンの背で押さえて空気を抜くように詰めましょう。ここでしっかり詰めないと、焼き上がったときに、割れたり崩れたりしやすくなるので丁寧に!」
すべて詰め終えたら、肉だねの表面をスプーンの背で平らにならす。型の外にはみ出ているベーコンは折り返してかぶせる。
7. 180℃に予熱したオーブンに15分入れて、まずはまわりを焼きかためる
180℃に予熱したオーブンに、ミートローフを入れて加熱する(※)。途中でベーコンが反り返ってくるので、5分ほど加熱したら扉を開け、ミートローフの上に金網を乗せて反り返るのを防ぐ。扉を閉め、さらに10分加熱する(トータル15分加熱)。
「まずは高温で全体を焼きかため、肉汁が流れ出るのを防ぎます」
※家庭用オーブンについて
家庭用オーブンはメーカーや機種などによってクセがあり、同じ180℃で15分焼く設定にしても焼き加減に差が出ます。例えば、電気のオーブンレンジの場合、温度設定を10~20℃高めにするなど、様子を見ながら調整するといいでしょう。
8. オーブンの温度を100℃に落とし、アルミホイルを被せて中まで火を通す
15分焼いたミートローフを一度取り出し(上写真)、アルミホイルを全体に被せる(下写真)。オーブンの温度を100℃に下げてミートローフを戻し入れ、30分加熱する。
「表面が乾燥しないようアルミホイルを被せ、低温でじっくり焼くことで蒸し焼き状態になり、中まで火を通すことができます」
9. アルミホイルを被せたまま冷まし、肉汁を落ち着かせる
オーブンから取り出し、いったんアルミホイルを外し、金串を中心に5秒刺して下唇にあて、熱ければ焼き上がり(まだぬるいようなら再度アルミホイルで覆い、100℃で5分を目安に加熱する)。もう一度アルミホイルを被せ、粗熱がとれるまで、そのまま1時間以上冷ます。
「すぐに食べようと熱いうちに切ると、せっかくの肉汁が切り口から流れてしまいます。アルミホイルを被せて余熱を与えながらゆっくりと冷ますことで、肉汁が肉の中に留まり、しっとり仕上がります」
10. ミートローフに添える、赤ワインクリームソースと付け合わせを作る
【赤ワインクリームソース】の材料と作り方はこちら>>
【付け合わせのリヨン風ポテト】の材料と作り方はこちら>>
11. ミートローフを切り分けて器に盛る。ソースをかけ、付け合わせを添える
完全に冷めたら、型から取り出し、食べる分だけ適当な大きさに切る(型に入れたまま、包丁を差し込んで切ってもよい)。
器に盛り、赤ワインクリームソースをかけ、リヨン風ポテトを添える。好みで彩りのハーブを添えてもよい。
【ミートローフの保存方法と翌日の食べ方】
ミートローフは食べる分だけ切り出し、粗熱がとれた状態で食べましょう。残った場合はラップで包み(型に入れたままでも、ほかの容器に移してもどちらでもよい)、冷蔵庫で2~3日保存が可能です。
翌日以降に食べるときは、フライパンに油をひかず、両面を温める程度に焼くのもおすすめです。
【実食】ふんわりなめらか。初めてのおいしさに、ミートローフの概念が変わる!
「ミートローフ=大きなハンバーグ」のイメージで口に入れた途端、食べたことのないふわふわ感となめらかさに、まったくの別物だと実感! 何より、常温のまま食べてもギトギトした脂っぽさが一切なく、肉汁でしっとりとしているのが驚きです。ベーコンも絶妙なアクセントになっていて、ソースをかけると肉のうまみが引き立ち、ミートローフがこんなにおいしいとは!
「クリスマスやお正月に、ほんのり温かい状態のミートローフをテーブルで切り分けながら、みんなで囲むイメージで作りました」と中野シェフ。
後日、自分でリピートして作るほど、お気に入りレシピになりました。カットしたミートローフをパイ包みにしたり、ザワークラウトとパンにのせてオープンサンドにしたり、自己流にアレンジして食べてもおいしかったです。みなさんも、ぜひ作ってみてレパートリーに加えてください!
【赤ワインクリームソースの作り方】ミートローフにかければ、お店のようなフレンチに!
ミートローフをより味わい深くしてくれるのが、中野シェフ考案のソース。生クリームをベースにしたやさしい味わい。ワインを使っていますが、酸味はマイルドでアルコール分はしっかり飛んでいるので、お子さまでもおいしくいただけます。
「このソースは万能で、ミートローフ以外にもステーキやチキンソテー、白身魚やサーモンのムニエルなどに合います。分量は多めなので、いろいろな料理に合わせてみてください。炒めた野菜をワインで煮詰め、生クリームと合わせるだけなので簡単です」
<材料>(作りやすい分量)
- バター(食塩不使用)…10g
- 玉ねぎ(繊維を断って薄切り)…1/2個
- マッシュルーム…大5〜6個
- 赤ワイン…50ml
- ポートワイン(ルビー・甘口)…50ml ※みりんで代用可
- 顆粒コンソメ…小さじ1
- 粗挽き黒こしょう…少々
- 生クリーム(乳脂肪分36%以上の動物性脂肪のもの)…1パック(200ml)
- 塩…適量
<作り方>
1. マッシュルームを指でつぶす
マッシュルームは軸を上にして、指先で繊維をほぐすようにつぶす。
「これはプロのテクニックです。マッシュルームは切るよりもつぶした方が、エキスが出やすくなります。知らないない人が多いと思うので、ぜひやってみてください」
2. 玉ねぎとマッシュルームを炒め、ワインとコンソメを加えて煮詰める
鍋を弱めの中火にかけてバターを溶かし、玉ねぎを入れて炒める。玉ねぎがしんなりするまで炒めたら、マッシュルームを加えて炒める。マッシュルームから香りが立ってしんなりしたら、赤ワイン、ポートワイン、コンソメ、黒こしょうを加え、強めの中火にする。
水分がほぼなくなるまで煮詰めたら、一度火を止める。
「鍋を傾けてみて、汁がたれてこないくらい煮詰まっていればOKです」
3. 生クリームを加え、ひと煮立ちさせる
生クリームを加えて再び中火にかける。ゴムベラで混ぜ、軽くひと煮立ちしたら火を止める。
「生クリームは決して沸かし過ぎないこと。ソースは冷蔵庫で保存できますが、沸かし過ぎたソースだと、温め直したときに分離してしまいます」
4. ザルでこし、野菜のエキスを絞り出す
4をザルに移し、ゴムベラでしっかりと押し出してこし、塩で味をととのえる。
「ゴムベラでギューッと押さえ、野菜からエキスを絞り出します。野菜を具材として食べないのはもったいない気もしますが、これは『ソースが命』と呼ばれるフランス料理ならではの技法。さまざまな素材や調味料の味を『掛け算』して、複雑なおいしさが生まれるんです」
【赤ワインクリームソースの保存方法】
清潔な保存容器に入れ、冷蔵庫で1週間保存可能。
【付け合わせのリヨン風ポテトの作り方】
飴色玉ねぎの甘さと、ベーコンのコクをまとったポテトは、フランス・リヨン地方の郷土料理。洋食の付け合わせとして、幅広い料理に合います。黒こしょうを効かせるのがおすすめ。
<材料>(4人分)
- じゃがいも(メークイン)…中2個
- 玉ねぎ(繊維を断つよう薄切り)…1/2個
- ベーコンスライス(細切り)…3枚
- オリーブオイル…適量
- 塩…適量
- 粗挽き黒こしょう…適量
<作り方>
- フライパンにオリーブオイル大さじ1を弱めの中火で熱し、ベーコンと玉ねぎを炒める。甘みと香りが引き出され、薄い飴色になるまでしっかり炒めたら取り出す。
- じゃがいもは皮をむき、2〜3mm厚さの薄切りして水にさらす。ザルにあげ、キッチンペーパーで水気を拭きとる。
- 1のフライパンを洗い、オリーブオイル大さじ3を中火で熱する。2のじゃがいもを入れて広げ、揚げるように両面を焼く。火が通り、軽く焼き色がついたら油をキッチンペーパーで拭き取る。
- 3に1を加えて炒め合わせ、塩、こしょうで味をととのえる。
<オー・プロヴァンソー>中野寿雄さん
フランス、ベルギーでの料理修行を経て、東京・赤坂で20年近くシェフを務めたのち、2007年東京・麹町に一人でも気軽に立ち寄れる大人のネオ・ビストロ<オー・プロヴァンソー>をオープン。南フランスのプロヴァンスのように開放的な店内でいただく“日本で育っていくフランス料理”は、多くのファンを魅了し続けている。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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