2015.07.11
ずっと眺めていたい、歴史がにじむ「薩摩切子」の深淵なる世界
見た目の美しさ、こだわりの製法に裏付けされた、ハイクオリティな製品たち。さらに、時代に左右されず、普遍的に価値を持ち続けるアイテムの数々。三越伊勢丹では、バイヤーをはじめとした目利きたちが選び抜いた逸品を「マスターピース」と位置づけ、積極的にお客さまへ提案しています。
この夏、日本橋三越本店では、涼しさを音で運ぶ<能作>の真鍮製の風鈴や、冷たい飲み物の温度を保つ<SUSギャラリー>のチタン製タンブラーなど、夏の生活を豊かにする「夏のマスターピース」キャンペーンを開催。そのなかでも、独特なガラスの輝きに涼感を感じさせる薩摩切子の魅力について、日本橋三越本店の特選和食器ショップリーダー・千葉裕子さんに伺いました。
現代に復活した「幻の切子」
第11代薩摩藩主・島津斉彬の富国強兵策の一環により、1851年に初めて発色に成功した「紅ガラス」。その透明度のある暗紅色は薩摩切子を象徴する色として賞賛され、「薩摩びーどろ」の名を知らしめました。
その後、藩主斉彬の急逝、1863年薩英戦争でガラス工場が消失、と不運は続き、薩摩切子の技術は一旦途絶えてしまいます。「幻の切子」になってしまったものの、120余年の時を経た1985年、有志たちによって再興され、今の世によみがえりました。
まず手に入れるなら、猪口から
現代に復活した薩摩切子について、「その高い技術から生み出された名品をぜひ手にとって、ふだんの生活に取り入れてほしいですね」と、千葉さん。初心者におすすめなのは、猪口だそう。
「初めて薩摩切子を求めるなら、まずは猪口がおすすめです。脚付杯やぐい飲みなどは大きめなので、お値段も張ってしまいますが、猪口ならば2万円台半ばからお求めいただけます。お酒を飲まれる方はもちろんお猪口として、飲まれない方には、珍味や小付けなどを入れる小皿として、ぜひとも生活に取り入れていただきたいですね」
ガラスの透明感と、絶妙なぼかしやカットなど、高い技術で作られた薩摩切子は、たったひとつそこにあるだけで、夏の食卓に涼をもたらしてくれるはず。
男性には赤、女性には藍が人気
「薩摩切子は色もさまざま。また、色によって価格もさまざまです。ショップでお客さまと接していると、男性の方は『ファッションでは、赤の小物をなかなか取り入れないから』と『金赤』や『銅赤』といった赤系の色を好まれる傾向がありますね。一方、女性のお客さまは、料理をのせたときのイメージや、食卓のほかのお皿とのバランスやコーディネートをイメージして、藍色のものを好まれます。色数豊富な薩摩切子ですから、手に取って触れて、実際に眺めて、『これだ!』と心動かされるものを見つけてみては」
ちなみに、千葉さんのおすすめは、輪島漆器との組み合わせ。重厚なものと、薩摩切子との相性は抜群によく、日本の夏にぴったりのしつらえができるそうです。
ギフトや次のお目当てを探しても
今回のキャンペーンは、さまざまな薩摩切子の名品を店舗で手に取って見られるまたとない機会。ひとつ持っていて、日々その美しさを実感している人は、「次はどの薩摩切子にしよう」とお目当てを探しに来る方も多いのだとか。
「独自のぼかし技術は、光にあてると見事なグラデーションを奏で、深みのある色合いと小気味いい伝統文様が堪能できます。切子というと、江戸切子を想像される方が多いのも事実。ですが、今回、このマスターピースで選りすぐって集めた薩摩切子をぜひ、身近に感じていただきたいです。薩摩切子は比較的ぽってりとして重厚感がありつつ、温かみのある色と形状が特徴なので、実際に見ていただくとまったく別のものです。ひとつひとつ、熟練の職人が手作業で作っているため、同じものが2つとありません。実際に見て、触れて、ビビッときたものとの出会いを楽しんでください」
希少で高い技術を誇る薩摩切子は、大切な方や特別な方へのプレゼントとしてもうってつけです。おめでたい文様を選べば、お祝いにもぴったり。重厚感とあたたかみのあるお猪口は、感謝や祝福の気持ちをさりげなく託すのに好適なのです。
「今回のこのイベントや商品をきっかけに、産地の工場にも興味をもっていただきたいですね。さらに、鹿児島へ実際に訪れるきっかけになったら、もっと薩摩切子の認知度や魅力が広がっていくのではないでしょうか」
まずは、一度手にとって、見た目の涼を感じてみてください。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、日本橋三越本店本館5F=特選和食器にてお取り扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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