2015.07.08
ペルー料理で世界一周気分。各国の食のエッセンスを見つけて
近年、海外の美食家たちに評価され、日本でもじわじわと注目度が高まりつつあるペルー料理。スペイン・アフリカ・中国・イタリア・日本など、さまざまな国の移民文化の影響を受け、進化したといわれています。今回は新橋で人気のペルー料理店<荒井商店>のオーナーシェフ・荒井隆宏さんに、各国の食のエッセンスが混じり合ったペルー料理の魅力について聞きました。
移民文化に加え、ペルー特有の気候と地形により発展
インカ帝国を中心に栄えたペルー。当時からジャガイモやトウガラシ、トウモロコシは現地で栽培されていたそうですが、やがてスペインの支配下におかれると、ヨーロッパの食材や調理法が持ち込まれました。さらにその後、アフリカやアジアからの移民も増加。それぞれの食文化を取り込みながら、現在のペルー料理が形成されていったといいます。
「ペルーの食文化が発展したのは、ペルーの気候や地形によるところが大きいです。ペルーはコスタ(海岸砂漠地域)、シエラ(山岳地域)、セルバ(熱帯雨林地域)という3つの地域に分けられています。国内に複数の異なる気候条件があるため、『育たない食材がない』といわれるほど、多様な食材を受け入れることができる。だからこそ、移民が持ち込んだ食材も、それぞれに適した地域でよく育ち、発展していったというわけなんです」
そして、豊かな自然に囲まれたペルーは、暖流のエルニーニョ海流と寒流のフンボルト海流がぶつかる漁場もあり、プランクトンが多く生息。ウニやホタテなど、海産物も豊富に獲れるとか。また、アマゾンには多彩なフルーツも。確かに、ペルーの土地と食文化のつながりは密接といえそうです。
ヨーロッパの食材から生まれた代表的メニュー
荒井さんは2005年に<荒井商店>をオープン。以来、ペルー郷土料理の魅力を伝えてきましたが、そんなお店自慢のメニューを味わえるイベントが、7月1日(水)〜14日(火)、伊勢丹新宿店・本館地下1階キッチンステージで開催されています。その中でも、各国のエッセンスが感じられるメニューとは……?
「今回は前菜プレートで『真鯛のセビーチェ』(写真・①)をご用意していますが、セビーチェは代表的なペルー料理です。ヨーロッパの移民によってレモンが持ち込まれたことから生まれた、と言われています」と荒井さん。
「同じく前菜の『ジャガイモのピリ辛クリームソース パパ・ア・ラ・ワンカイーナ』(写真・②)は、インカ帝国の人々が作ったジャガイモがメインの料理。ジャガイモの上の黄色いソースにはチーズが入っていて、これはスペイン人が占領したときに伝わった食材です。それにペルー原産のトウガラシも融合していますね」
ちなみに、スペイン人が占領した土地や邸宅で家庭料理を作っていたのはアフリカ出身の人々。余った食材を家に持ち帰り、家族のために使ったのが「内臓」でした。前菜プレートの『砂肝の屋台風 アンティクーチョ』(写真・③)はそんなアフリカ系移民による食をベースにしたメニューだそう。
「お米が主食」の日本人にとっては馴染みやすさも
ペルーにはもともと豚や牛などの家畜がいなかったため、昔はアルパカやリャマを食べていたそう。メインプレートの『鶏胸肉のクリーミーなシチュー』(写真・上)や『牛肉のコリアンダー煮込み』(写真・下)も、ヨーロッパの移民が入ってきたことで生まれた料理です。
「『牛肉のコリアンダー煮込み』のコリアンダーはアジアのイメージが強いと思いますが、ロシアが原産国といわれています。ペルーに伝わったルートは定かではありませんが、ペルー料理では古くからよく使われているんです」
こうして見ると、いくつもの食文化のミックスであることがわかるペルー料理。とはいえ、主食は日本と同じお米です。なので、「日本人にも馴染みやすいと思います」と荒井さん。
さまざまな国や地域の食文化のあらゆるエッセンスを取り込んで発展した、世界を魅了する独自の味わい。もしかしたら、ペルー料理こそ「多国籍料理の元祖」といえるのかもしれません。
<荒井商店>のオーナーシェフ。「オテル・ドゥ・ミクニ」などでの修業後、2003年にペルーに渡り、1年間現地のレストランで働きながら、各地を旅して料理を学ぶ。帰国後、2005年にペルー料理店<荒井商店>をオープン。
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