2018.09.27
300年ぶりに復活!新宿名物「内藤とうがらし」を使った名店の味
「内藤とうがらし」をご存知ですか? 江戸時代、今日の新宿のルーツである「内藤新宿」の地で栽培され、大ブームになりながらも姿を消した幻の野菜です。ところが約300年の時を経て復活! 2013年には「江戸東京野菜*」に認定され、歴史ある新宿名物として今また脚光を浴びています。そんな伝説の野菜・内藤とうがらしの「新物・1年物・2年物」それぞれの個性を活かした新たなメニューが登場しました。特長である豊富な旨みを際立たせた名店の味と、内藤とうがらしの魅力をご紹介します。
*江戸東京野菜……江戸期から始まる東京の野菜文化を継承し、種苗の大半が自給または、昭和中期までの在来種、または在来の栽培法等に由来する野菜。現在までに48品目が登録されている。
※「内藤とうがらし」の詳細についてはこちらをご覧ください
フレッシュな辛みを活かした甘酢漬け
人気のゆず風味の大根甘酢漬けに、初物の内藤とうがらしを合わせました。初物独特のフレッシュな辛みと香りが味わいを引き締め、後を引く美味しさに。シャキシャキとした歯触りが小気味よく、ご飯にもお酒にもよく合います。
※取扱い:伊勢丹新宿店
甘さと辛さのバランスが絶妙な、麻婆茄子
やわらかな食感が魅力の甘口麻婆茄子に、初物の内藤とうがらしのストレートな辛みが調和しています。パプリカとししとうも美味しさと彩りに一役買い、噛むほどに野菜のみずみずしさ、さわやかな辛みが広がります。
※取扱い:伊勢丹新宿店
コクと旨みが濃厚な、チーズの味噌漬け
北海道産クリームチーズの味噌漬に、コクとなめらかさを奏でる1年物の内藤とうがらしをピリッと効かせています。内藤とうがらし・チーズ・味噌それぞれのコクと旨みが幾重にも重なり、濃厚な味わいに。パンや野菜に塗れば、スピードおつまみの完成です。
※取扱い:伊勢丹新宿店
2種の江戸東京野菜が味わえる、旨辛な煮物
黒毛和牛と江戸東京野菜「内藤かぼちゃ」を、イタリア北部の郷土料理風にアレンジ。旨み成分が突出した、1年物の内藤とうがらしを使ったオイル(別添え)をかけていただきます。上品な甘みのかぼちゃに和牛のコクが染み、辛いものが苦手な方でも楽しめる旨辛さです。
※取扱い:伊勢丹新宿店
まろやかな辛味噌で、鯛をさらに美味しく
濃厚な旨みが味わえる全蒸し製法の赤味噌に、細く刻んだ内藤とうがらしを混ぜ、ふっくらと焼き上げた鯛に合わせました。辛み・旨み共にまろやかになる2年物の内藤とうがらしが、味噌の甘味とマッチ。鯛の美味しさを引き立てています。
※取扱い:伊勢丹新宿店
旨みのかたまり!贅を尽くしたXO醤
内藤とうがらしと国産の干し貝柱、干しエビ、牡蠣の佃煮を使用し、贅を尽くした「食べるXO醤」。2年物の内藤とうがらしの豊富な旨み成分と、海老や牡蠣などの旨み成分がギュッと濃縮されています。白いご飯に乗せれば、おかわり必至の美味しさです!
※取扱い:伊勢丹新宿店
一度は試してほしい!「内藤とうがらし」
大復活を遂げた新宿名物「内藤とうがらし」。「とうがらし=辛み」というイメージを裏切る豊富な旨みは、とうがらし料理の可能性を大いに広げ、新たなスタンダード予感させるものでした。これは一食の価値ありです!
江戸東京野菜「内藤とうがらし」とは?
① 生産地「内藤新宿」の誕生
日本橋から始まる甲州街道の最初の宿場町は、かつては高井戸宿(現在の杉並区高井戸)でした。ところが、日本橋から高井戸宿までの距離が約四里(約16㎞)もあったため、中間地点に新たな宿場町が設けられることに。その宿場こそが、「内藤とうがらし」の生産地となった「内藤新宿」です。
1698(元禄11)年に誕生した内藤新宿は、現在の四谷四丁目から新宿三丁目にかけての新宿通り沿い東西約1.2kmに位置し、内藤家の領地の一部を宿場に使ったことがその名の由来とされています。
② 内藤とうがらしの流行と衰退
内藤新宿では、元々在来のとうがらしを栽培していました。それが江戸の蕎麦ブームの折、蕎麦の薬味としてブレイク! 江戸っ子たちから「内藤とうがらし」と呼ばれ、名産品ともてはやされるようになったのです。内藤とうがらしの栽培は新宿近郊の農家にまで広がりをみせ、秋になると新宿から大久保まで真っ赤な絨毯を敷いたような光景が広がったと伝えられています。
しかし、江戸の大都市化に伴う畑地の減少と、より辛みの強い品種の出現により、内藤とうがらしの栽培と人気は衰退……。いつしか忘れ去られた存在となってしまいました。
③ 新たな新宿名物として復活!
途絶えてしまった内藤とうがらし。ところが今、再び脚光を浴びています!きっかけとなったのは、江戸の食文化を研究するグループが立ち上げた〈内藤とうがらしプロジェクト〉。内藤とうがらしの歴史をたどり、原種を探し出して固定種を完成させる活動などが実を結び、ついに内藤とうがらしが約300年もの時を経て復活したのです。
そして2013年には、伝統の野菜文化のシンボルである「江戸東京野菜」に認定。新たな新宿名物として各方面で普及活動が行われるようになり、内藤とうがらしの加工品も数多く開発・生産されるようになりました。
④ 「やさしい辛み」「豊かな旨み」が魅力
長い眠りから覚めた新宿名物・内藤とうがらし。気になるのはそのお味ですが、他の品種とはちょっと違う魅力を放っているんです。そのひとつは、極端に辛すぎない「やさしい辛み」。食べた瞬間に刺激的な辛さがくるわけではなく、後からじんわりと広がる辛みを楽しむことができます。
また、「豊かな旨み」があり、他の食材と合わせると出汁のようにおいしさが増すのもポイントのひとつです。旨みを示す「アミノ酸数値」を4品種のとうがらしで比較した上のグラフからも、内藤とうがらしが他品種を圧倒しているのがよくわかります。
⑤熟成するにつれ、旨みが増してまろやかに
さらに、内藤とうがらしは熟成によってその旨みが、より深まることが分かっています。熟成とは食物が自らの酵素の働きによってタンパク質を分解し、旨み成分のアミノ酸に変化させることです。
「フードコンシャスネス教育(きちんと食を意識する教育)」を提唱する学習院女子大学・品川 明教授は、内藤とうがらしを一定の温度、湿度で保ち、その年のとうがらしの品質状況に合わせた保存、熟成を行い、年ごとの「うま味の深化」の探究を行っています(今回ご紹介した全メニューも、品川教授が監修)。教授によると、内藤とうがらしは「新物は強いうま味をもち、1年、2年と熟成年数を経るにつれ、まろやかなうま味になる」とのこと。
熟成の度合いによって料理の味わいも変わるので、作る楽しみも、食べる楽しみも広がります。おだやかな辛みと豊富な旨み、そして熟成と、たくさんの魅力を放つ内藤とうがらし。今後も大注目です。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=旨の膳/天長商店、四陸PREMIUM、銀座若菜、六本木 炭火焼肉 An、醸す、フードコレクション/内藤とうがらしプロジェクト、フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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