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2018.09.26

どれがすだち? グルメなら知っておきたい【すだち・ゆず・かぼすの違い】

すだち、ゆず、かぼすのイメージ

まず上の写真を見てください。どれがすだちかわかりますか?

正解は一番左。あとふたつは、真ん中が青ゆず、右側がかぼすです。それぞれよく見かける柑橘ですが、「あれ? どれがどれだったかな?」と迷うことが多いですよね。

すだちやゆず、かぼすのように、実を食べるよりも果汁の酸味や果皮の香りを薬味として使う柑橘類のことを香酸柑橘(こうさんかんきつ)と呼びます。そこで今回は、紛らわしい香酸柑橘の見分け方を、伊勢丹新宿店・青果担当の栗林七重さんに教えてもらいました。

ひと目でわかる違いは「大きさ」!

「ひと目でわかりやすいのは大きさの違いです。並べてみるとよくわかりますが、かぼすがもっとも大きく、すだちはかなり小さめ。その中間が青ゆずです。青ゆずは濃い緑色で、よくみると表面にデコボコが多くあります」

確かに比べてみると、かぼすと青ゆずの大きさは似ていますが、かぼすがつるりとしているのに対して、青ゆずはごつごつした感じです。

「それぞれ産地も違っていて、かぼすは大分県の特産品、すだちは徳島県の特産品です。ゆずの産地は高知県が有名ですが、それ以外にも多くのエリアで生産されています。それぞれ晩夏や秋口から出回り、青ゆずはひと月ほどで終了しますが、かぼすとすだちは初冬まで続きます」

【すだち・ゆず・かぼす】それぞれの特徴と、プロが教える美味しい食べ方

すだち・青ゆず・かぼすは「どれも似たようなもの」と思っていませんか? 確かにどれかひとつあれば代用がきくことは多いかもしれません。でも見た目以上に味わいが違うし、使い方も実はちょっとずつ違うのだそう。使い分けを知っておくと意外に便利です。

【すだち】さんまや松茸に添える以外に、飲み物に搾っても◎

すだちの2等分カットとすだち丸ごと

徳島の特産品で大きさはピンポン玉くらいと小さく、旬は8月から10月。秋口にちょうど旬を迎える食材と合うことでも知られています。

「すだちは香りが強いので、香りの強い食材と合います。さんまや松茸に添えられるのは定番ですね。さわやかな香りとおだやかな酸味を生かして、焼酎のソーダ割りに搾るなど、お酒や飲み物に使うのもおすすめですよ」

取扱い:伊勢丹新宿店

【青ゆず】果汁が少なく、皮が使われることが大半

青ゆずの2等分カット、青ゆず丸ごと

有名な産地は高知県。かぼすとすだちの中間のサイズで色は濃い緑、皮の表面がごつごつしているのが特徴です。青ゆずが出回るのは8月頃で、熟した黄ゆずは11月から1月頃に出回ります。

「青ゆずは果汁が少ないので、香りの強い皮を使うことが多い柑橘です。果汁は酸味が強いので、風味をつける程度に使う方がいいかもしれません。皮をむいて、皮と果肉を別々に冷凍しておけば、3ヵ月ほど持ちます」

取扱い:伊勢丹新宿店

【かぼす】果汁たっぷり。酢の物やポン酢にも

かぼすの2等分カットと、かぼす丸ごと

大分の特産品で、大きさはテニスボールくらい。皮の色は薄い緑色でつるりとしています。中の果肉は少しオレンジがかっていて、旬は8月から10月。ほかの2つと比べると果汁が多く、酸味もしっかり感じられます。

「香りが上品で、白身魚など上品な食材の風味を損なわずに使えます。果汁が多いので搾って酢の物にしたり、鍋料理のポン酢に使ったりするのもおすすめです」

【すだち・ゆず・かぼす】の選び方と保存法

いずれも張りとつやがあり、ヘタが茶色くなっていないものを選びます。キズが多いものも避けましょう。使い切れないほど大量にあるときは冷凍保存が便利。搾りやすいくし形に切ってから、密閉できる冷凍用保存袋に入れて冷凍すれば3ヵ月ほど保存できます。半分余ったときなど、そのあとすぐに使うのなら、ラップして密閉できる保存袋に入れてから冷蔵庫へ。

どこまで知ってますか? その他の柑橘類いろいろ

ここまでに紹介した3つの柑橘以外にも、日本で食べられている香酸柑橘はたくさんあります。定番の黄ゆずをはじめ、だいだい・じゃばら・へべす・シークワーサーについても解説します!

【黄ゆず】薬味の定番。乾燥させて七味の材料にも

黄ゆず

鍋でおなじみの黄ゆずは、青ゆずが完熟したもの。酸味が強いので薬味として使われます。最近では日本らしいフレーバーが世界でも認められて、お菓子やお茶の香りづけ、食用以外の入浴剤などにも使われます。皮も香りがいいので、マーマレードにしたり、乾燥させて七味とうがらしの材料にもなります。

【だいだい】お正月に見かける、あの柑橘

だいだい

そう、あの鏡餅にのっている姿で知られる柑橘が「だいだい」です。お正月飾りで見たことはあっても、食べたことがある人は少ないのでは? 酸味と苦味が強いので、直接食べることには向かないといわれていましたが、最近ではだいだいが使われたポン酢が作られるなど、食用にされることもあるようです。

【じゃばら】和歌山が産地。邪気を払うことからこの名前に

じゃばら

最近はみかけることも増えてきましたが、まだまだ知らないという方も多い「じゃばら」。和歌山県が産地で、地元では邪気を払うといわれることからこの名前がついたとか。強烈な酸味と苦みがあり、名前以上に味も個性的です。11月下旬から2月上旬頃に収穫されるので、産地では正月料理に使われることで知られています。

【へべす】果汁が豊富。料理にもジャムにも使われる

へべす

かぼすに似ていますが、ゆずよりも皮が薄く、かぼすよりもやさしい香り。産地は宮崎県日向市で、果汁が豊富です。「日向ライム」とも言われ、最近新たに注目が集まっているとか。肉や魚などどんな料理にも合わせやすく、ジャムにするのも人気があります。

【シークワーサー】現地で広く使われる、沖縄食材の定番

シークワーサー

沖縄県原産で、地元では揚げ物の薬味にしたり、果汁を水で薄めてジュースにしたりと広く親しまれています。和名はヒラミレモンで、レモンのようなさわやかな酸っぱさとほのかな甘みがあり、ドレッシングに使うなど、レモンと同じような感覚で料理に使えます。

取扱い:伊勢丹新宿店

じゃばらやへべすなど、今まであまり知らなかった地方の特産品にも、最近はひょっこり出会う機会が増えています。どれも似たようなものと思っていた香酸柑橘ですが、聞いてみると意外と知らない違いがあります。これからはそれぞれの特徴に合わせて、使い分けて楽しんでみてはどうでしょうか。

文: 岡本ジュン

写真:矢野宗利、Thinkstock/Gettyimages(4,5枚目)、PIXTA(6,7枚目)
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

バイヤー・スタイリスト / 栗林七重
伊勢丹新宿店で10年以上青果コーナーを担当する青果のエキスパート。接客の際は「お客さまとの対話を大事にしている」そう。「その日の天気やお客さまの体調などを考慮して、おすすめする商品を考えるようにしています」。

商品の取扱いについて

記事で紹介しているすだち・青ゆず・シークワーサーは、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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