2018.04.18
器上手は豆皿から!?― プロが教える「器のセンス」の磨き方 #1
素敵な器がセンスよく並んだ、おしゃれな食卓。雑誌などで目にした際に「いつか自分も」と思ったこと、ありませんか? いつかは、とは思うものの、どこから手をつけていいかわからない。予算には限りがあるし、一度にたくさん買い替えるのは難しい。そこで、器のプロに相談してみました。選び方や使い方のコツを3回シリーズでお届けします。
そもそも器って、何から、どうやって選べばいいの?
好きなものを、好きなだけ。豆皿=失敗知らずの器
「器の買い方、選び方にはいろいろな考え方がありますが、最初のとっかかりには『豆皿』がいいんじゃないでしょうか」。そう教えてくれたのは、各メディアで器の愉しみ方を提案する、器キュレーターのはるやまひろたかさん。
プレートでもなく、お茶碗でもなく、小さな豆皿っていうのは意外です。
「豆皿は小さいので、材質やテイストが多少バラバラでも楽しめます。だから、手持ちの器との相性をさほど考えなくても大丈夫。自由に選べるんです。居酒屋さんで、いろんな色や形のおちょこから『お好きなものを』と選んだことはありませんか? あれと同じ感覚ですね。大きい皿だと収納が大変ですが、その点の心配もありません。値段も、いわゆる『作家もの』でも1,000~2,000円程度と手頃です」
どう使ったらセンスがいい? 豆皿使い3つのテクニック
選び方は自由でOK! とはいえ、購入後にどう使うかも気になるところ。使い方のテクニックも合わせて教えていただきました。
テクニック1:「和食以外」に使ってみる
テクニック2:「何枚か」を合わせて使う
テクニック3:「フラットな器」にまとめてのせる
この3つのテクニックを使うと、豆皿の用途がぐっと広がるんだそう。次に、おやつ、お酒、ごはんの3つのシーンのコーディネート例と合わせて詳しく解説してもらいました。食器棚の中で「豆皿」がいくつも眠っている……という方も必見です。
【シーン1・おやつ】いつものお菓子も、豆皿があればよそいきに
豆皿=和食のイメージがありますが、「洋風にも使える」と、はるやまさん。
「和食でなければいけないということも、料理を盛らなければいけないということもありません。ふだんの食卓にあるもの、例えばクッキーやチョコレートだって、豆皿にのせるだけで特別感が出ます。豆皿を複数使うと雰囲気も出ますし、皿やボードなどにのせるとまとまり感も出せるんです。このおやつは洋風のイメージにしたかったので、洋のテイストの胡桃のボードにのせてみました」
【シーン2・お酒】豆皿にのせて「乾き物」をシックな雰囲気に
次はお酒のシーン。小魚や昆布、さきいかなどのいわゆる「乾き物」。パッケージのままだとちょっと残念な印象ですが、豆皿にのせるだけで立派なおつまみに格上げされます。
「たとえ料理はしなくても、買ってきたものを器に盛るだけで気持ちが違うものです。ここでは食器棚で眠っていた渋い漆器のお盆に豆皿をのせて、シックな雰囲気に」
【シーン3・朝ごはん】おかずが何もないときこそ、豆皿の出番
最後はよくある白米が中心の朝ごはん。「今日はメインになるおかずがない!」ってこと、ありますよね? そんなときこそ豆皿を使うといい、とはるやまさんは言います。
「ごまや海苔、梅干しでもなんでもいいんです。乾物を数点豆皿に盛るだけで食卓が整います。アルマイトのようなチープな材質のプレートにのせても楽しい。おかゆなんかに添えてもいいですね」
器ありきで食卓を考えると、「きちんとした料理を盛らなければ」と身構えてしまいがちですが、簡単なものしか用意できないときこそ器が役立つ、というのは意外な発想でした。しかも、コーディネートしてみると、素朴な食材ほど豆皿にのせるとかわいく見えるという発見も。料理をしない日も、冷蔵庫になにもない日だって、器に工夫するだけで食卓がこんなに整うなら、やらない手はありません。
豆皿は趣味の器。次に選ぶなら「パーソナル」な器を
豆皿の選び方・使い方がわかったところで、次に揃えるべきはどんな器でしょうか?
「今回紹介した『豆皿』は、趣味の器なんです。ぐいのみなどの酒器や箸置きなども同じ仲間。楽しみの器といってもいいかもしれませんね。その対極にあるのが、ご飯茶碗や箸など自分専用の『パーソナル』な器。ふだん使っている器を見直すなら、ご飯用のお茶碗・お味噌汁用のお椀・お箸の3つは揃えておきたいですね。選び方は、豆皿とは逆。毎日手にするものなので、時間をかけて吟味した方がいいんです」
自分に合った茶碗って、一体どうやって選べばいいの? ということで、次回はご飯茶碗の選び方をはるやまさんに解説してもらいます。
こんな豆皿もおすすめ!
この記事を読んで、豆皿の購入をお考えになった方のために、日本橋三越本店にてはるやまさんにおすすめの豆皿を6点、セレクトしてもらいました。プレーンなもの、オーソドックスなものなど、さりげないデザインで使いやすいアイテムなので、ぜひ参考にしてみてください。
a 波佐見焼 花想い花型小付(朱) 864円(税込)
b 有田焼 惣太窯 カーネーション小皿 1,512円(税込)
c 有田焼 与山窯 染付七宝文 菊花型手塩皿 2,160円(税込)
d 有田焼 其泉窯 白磁菊割 小皿 972円(税込)
e 九谷焼 青郊窯 古九谷 青手 かるた文 豆皿 1,080円(税込)
f 有田焼 水玉十草 角型手塩皿 1,512円(税込)
監修:はるやまひろたか
器キュレーター。日本各地に足を運び、フィールドワーク的に器をセレクトし、各メディアで器の愉しみ方を提案。東京・神楽坂にて、店舗「コハルアン」を運営。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品の一部は、日本橋三越本店本館5階=和食器にてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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