2017.11.07
蒸し器「せいろ」の選び方・使い方・お手入れをプロが解説。正しく扱えば、ずっと長持ち!
いつかは欲しいと思っていた憧れの蒸し器「せいろ」。編集部が実際に「せいろ」料理に挑戦してみたところ、すごく簡単だった一方で、気になる疑問も出てきました。買うならどれがいい? カビって生えないの? などなど。
そこでキッチン用品専門店<フライングソーサー>の道具アドバイザー・山本慎之介さんに、せいろにまつわる疑問を解説してもらいました。
※今回は「中華せいろ」に関するお手入れ方法です。「和せいろ」については解説していません。
Q:家にある鍋やフライパンでも使える? 「せいろ」に合わないときの方法?
A:せいろ専用の鍋も販売されていますが、ご家庭にある鍋やフライパンでもせいろは使えます。せいろの直径より1~2cm小さい鍋ならば、せいろをそのままのせればOK。ただし、上記の写真左のように、せいろの直径と同じ鍋の場合、グラついてしまい、せいろが焦げる可能性があります。
そんなときには「蒸し板」(=台輪とも呼ぶ)を使うのがおすすめ!
鍋とせいろのあいだにかませて使えば、取っ手が当たって不安定になったり、せいろが焦げたりすることを防いでくれるので、サイズが大きめの鍋やフライパンでも使えます(上写真)。
ちなみに、琺瑯製やステンレスのボウルなら直火OKなので、蒸し板を使えばせいろをのせる蒸し鍋として使うことができます。
Q:蒸し器「せいろ」は洗剤で洗ってもいいですか?
A:洗剤の成分がせいろに浸透してしまうので、使用は避けましょう。せいろを長持ちさせるお手入れの基本は、使ったあとは湯で湿らせた布でふくだけ。せいろは無塗装の木製品なので、普通の調理器具と同じように流水で洗うと浸透した水分が乾ききらずにカビる原因になるのです。
ただし、肉の脂などがついたときなど、汚れがひどい場合はぬるま湯でさっと洗ってもOK。そのあとは陰干しにして、しっかり乾燥させること。ちなみに食洗器は「歪み」の原因になるので厳禁です。
Q:カビが生えてしまったら、どうやって落とせばいい?
A:カビは木材の繊維の中まで浸食しているので、洗っても落とすことができません。不衛生なので、残念ですが消耗品と考えて買い替えることをおすすめします。ちなみに、木製のせいろについた黒いものは、すべてカビです。使ったあとはよく乾燥させるなど、注意してお手入れを。
Q:蒸し器「せいろ」は使ったあと、乾かすコツはありますか?
A:写真のように、風通しのよい水きりかごに斜めに立て掛けて、たまに裏表を返すと早く乾きます。せいろを平らな場所で伏せて乾かしていたら「台と接触していた部分がカビてしまった!」なんてこともあるので注意しましょう。また、直射日光に当てるのは、ひび割れの原因になるので避け、風通しがよい日陰で陰干ししましょう。
Q:蒸し器「せいろ」を使うとき、何を敷くのがいいですか?
A:肉や魚、しゅうまいなど脂や水分が出る食材には、キャベツや白菜などの葉野菜やクッキングペーパーを敷きましょう。なければ平らな皿にのせて蒸してもOK。おこわは布巾や専用の蒸し布(写真右)に包んで蒸します。
せいろに食材を直接のせないことで、食材の匂い移りやくっつき、肉汁などの水分の染み込みを防ぐことができるので、せいろが長持ちします。
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Q:蒸し器「せいろ」を焦がさずに長く使いたいのですが、使い方のコツはありますか?
A:せいろが焦げてしまう主な原因は、①鍋の上に直接せいろを置いて使用した。②使うまえにせいろを水で濡らさなかったの2つです。つまり、使うまえにしっかりと濡らすこと、そしてできれば蒸し板を使用することが、焦がさずに長く使い続けるためのコツです。
Q:蒸し器「せいろ」を初めて買うなら、どのサイズがおすすめですか?
A:18㎝のせいろを2段、購入することをおすすめします。18㎝は蒸し鶏や魚の切り身を蒸すのにちょうど良いサイズ。せいろは重ねて同時調理できるのが魅力でもあるので、違う食材を一度に蒸す楽しさと便利さを体験できます。
使い慣れてきたら、魚1尾やおこわを蒸すのにぴったりな、大きめの30㎝サイズを買い足すのがおすすめです。パーティに出せば食卓がパッとにぎわいます。
Q:蒸し器「せいろ」は同じサイズでも価格が違うのはなぜ?
A:せいろには3つの材質があり、杉<竹<ひのきの順に強度と耐久性、価格が上がります。初めて買うなら、価格と耐久性で考えると竹製がおすすめです。
【杉】価格がもっとも手ごろ。蒸すと杉の香りがする。耐久性が弱まるので、30分以上の加熱は不向き。
【竹】価格が手ごろ。杉よりやや耐久性がある。蒸しても香りはしない。耐久性が弱まるので、30分以上の加熱は不向き。
【ひのき】3材質の中でもっとも高価。正しく使えば一生モノとも呼べる強度と耐久性があり、最長90分程度(弱めの中火)で蒸すなど、長時間の調理にも向く。
Q:蒸し器「せいろ」は何段まで重ねていいですか?
A:一般的な家庭の火力だと、重ねて蒸すのは3段まで。意外にも、上の段も下の段と同じ火力で蒸すことができるんです。重ねる順番は、蒸し時間が短いものを上段に。蒸し汁がかかるのを避けたいものも、上段にするといいでしょう。
Q:蒸し器「せいろ」を使わないときの保管方法は?
A:なるべく風通しのよいところに置いてください。しばらく使わないときは新聞紙で包んで保管しましょう。ビニール袋に入れて密閉すると、通気性が悪くカビの繁殖だけでなく、ゆがみや虫食いの原因になるので、絶対に避けてください。
Q:大切に使えば長く愛用できますか?
A:杉と竹のせいろは1~2年の消耗品と考えてください。一方で、ひのきのせいろはカビやひどい焦げがつかない限り、長くお使いいただけます。せいろは天然素材で手作りのため、使用回数や使用状況にかかわらず、隙間、ヒビ、割れ、ささくれなどが生じることがあるので、あくまでも目安です。
また、せいろの修理はタガが外れたり、すのこが欠けたりした場合など、メーカーによって可能なケースもあります。ただし手作業で修理するため修理代を確認して、新規購入したほうがよいか判断するといいでしょう。
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取材協力/フライングソーサー 山本慎之介さん
優れた機能性とデザイン性を兼ね備えた国内外のキッチン用品やオリジナルの鍋など、約1,800点を販売する<フライングソーサー>の道具アドバイザー。伊勢丹新宿店本館5階のキッチン・ダイニングコーナーで、キッチン用品のデモンストレーションや販売を担当。料理好きのノウハウが活きた接客が好評。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館5階=キッチン・ダイニングにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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