2017.08.02
通がこぞって買っている <デメル>の「生クッキー」を食べてみた
ハプスブルク家の王政時代から、名を馳せてきた老舗洋菓子店<デメル>。チョコレートケーキ「ザッハトルテ」や猫の舌の形をした「ソリッドチョコ」が有名です。実は伊勢丹新宿店、日本橋三越本店<デメル>で週3回しか販売されない限定商品「生クッキー」があるってご存知ですか?
実はこちら、<デメル>が日本に初出店した約30年前(1988年)から販売しているロングセラー商品。スイーツマニアのあいだでこそ知られているものの、一般的にはほとんど知られていません。一体、どんなものなんでしょうか?
職人の高い技術が詰まった、オーストリアの伝統菓子
「生クッキーとは、しっとりとしたクッキーにガナッシュやマジパンを組み合わせた、セミドライケーキのようなものです。一般的なハードなクッキーとは違って、ホロホロっとやさしくほどける、しっとりやわらかな食感に仕上げていることから、生クッキーと名づけています」と教えてくれたのは、デメル・ジャパンで菓子作りを手がける職人さん。
「生クッキー」作りは、オーストリア・ウィーンにある本店のレシピを忠実に再現しているため、とても高度な技術が必要で、手間と時間もかかるといいます。
「製造できる職人は数名しかおらず、一つひとつの作業も繊細。例えばアーモンドスライスは、一枚ずつ手作業で貼りつけることも。職人が丹精込めて手作りしていますから、生クッキーはそれぞれ違った風味と食感をお楽しみいただけます」
断面図も見せます! 香り高く繊細なデメルの「生クッキー」全10種をご紹介
オーストリア菓子は、ナッツやドライフルーツ、ジャム、シナモン、リキュールを印象的に使うのが特徴です。食べればわかる、その繊細で上品な<デメル>プライドが詰まった「生クッキー」全10種類。断面図にも注目です!
① フサーレンクラッフェン
筒形に成形、アーモンドスライスを貼ってから焼き上げたクッキーに、アプリコットジャムを詰めた一品。パリパリとしたアーモンドと甘酸っぱいジャム、しっとりとしたクッキーが一体となり、まるでタルトのよう。
② ハーゼルヌッストルッフェン
プラリネ(※)をヘーゼルナッツパウダーとシナモン風味のクッキーでサンドし、ビターチョコをかけた一品。口の中でホロホロとくずれ、ヘーゼルナッツの豊かなコクと香りがいっぱいに広がる。
※プラリネ=ローストしたヘーゼルナッツやアーモンドなどのナッツ類に加熱した砂糖を絡めてカラメル化(カラメリゼ)し、ペースト状にしたもの。
③ サンドトリュッフル
ほろ苦いガナッシュ(※)をビターチョコレートでコーティングし、厚焼きクッキーにのせた一品。チョコの滑らかな口溶けと、クッキーのさっくりとした食感とのコントラストが秀逸。
※ガナッシュ=チョコレートに生クリームや牛乳を混ぜ合わせたもの。
④ チェリーシュッセアルン
クッキー生地の土台にキルシュ(※)風味のマジパン(※)をたっぷりのせ、きざみアーモンドとサワーチェリーをトッピング。香り高いリキュールとチェリーの酸味、アーモンドの食感が絶妙のハーモニー。
※キルシュ=種ごと潰したさくらんぼの蒸留酒
※マジパン=ローストしていないアーモンドをすり潰し、卵白、砂糖と混ぜ合わせたもの
⑤ マンデルピッツェン
サワーチェリーをキルシュ風味のマジパンとアーモンドスライスで包み、極薄のクッキーにのせた一品。マジパンに練り込まれたアーモンドのコク、スライスアーモンドの香りと食感が存分に楽しめる。
⑥ ヒンビアーシュッセアルン
クッキー生地の土台にヘーゼルナッツ風味のチョコクリームと、果実味豊かなラズベリージャムを詰めた一品。チョコクリームと、ジャム、クッキーすべてがふんわりとして、甘くやさしい。
⑦ ピッシンガー
プラリネペーストをミルクチョコレートでコーティングし、ココアクッキーにのせた一品。カカオとヘーゼルナッツの濃厚な風味が広がり、クッキーはガナッシュ同様にやわらか。
⑧ ビッセン
たっぷりのガナッシュをミルクチョコレートでコーティングし、クッキーにのせた一品。薄焼きクッキーがガナッシュのふんわり感を引き立て、口の中でスッと溶けるよう。
⑨ ティオプラティン
ラズベリー風味のマジパンをビターチョコレートでコーティングし、さっくりとしたクッキーにのせた一品。ラズベリーとアーモンド、ラム酒の芳醇な香り、ビターチョコの苦みの余韻が楽しめる。
⑩ ミューブピスターチ
ピスタチオが入ったキルシュ風味のマジパンをクッキーでサンドし、ビターチョコレートをかけた一品。ピスタチオの香ばしさとコク、しっとりとした口当たりが口の中で広がる。
確かにどの「生クッキー」も、フランス菓子のような派手さやバターの濃厚さはありませんが、食べれば納得できる、緻密に計算された完成度です!
数少ない職人しか作れず、手間と時間、高度な技術がかかるうえ、日持ちは製造日から5日間。それでも<デメル>が作り続けるのは、200年以上受け継がれてきた、オーストリア菓子のプライドなのでしょう。
気品と味の違いがわかる人への手土産に、喜ばれそうな一品です。
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