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2017.07.08

和菓子バイヤーが教える四国銘菓。お土産に選ぶならこのアイテム!【にっぽん、いとお菓子。#10】

四国のおすすめ和菓子

「にっぽん、いとお菓子。」は、全国の銘菓を年間1,500種類以上食べ尽くしている三越伊勢丹和菓子担当バイヤー・田中美穂さんが、特に食べてほしい! というアイテムを47都道府県ごとにセレクト。北から順に日本銘菓の味わい深さを紹介する連載企画です。

今回の舞台は四国。海と山に囲まれ、食の宝庫でもあるこの土地には、地元の特産品をごく自然に取り入れた銘菓がたくさんありました。

素材の美味しさをしっかり味わえる四国の和菓子

宗家 くつわ堂のくつわせんべい、栗尾商店の鳴門うず芋とすなじきんとき、一六本舗の一六タルト、西川屋老舗のケンピ

①【香川県】<宗家 くつわ堂>くつわせんべい(20枚入り) 594円(税込)
②【徳島県】<栗尾商業>鳴門うず芋(250g入り) 648円(税込)、すなじきんとき(180g入り)540円
③【愛媛県】<一六本舗>一六タルト(11切れ) 681円(税込)
④【高知県】<西川屋老舗>ケンピ(13本、3袋入り) 324円(税込)

田中さん「地元の特産品を中心に、素材の美味しさを取り入れたお菓子は、シンプルなのに個性豊かで一度は食べてほしいものばかりです。特にうどん文化からもわかるように、四国は和菓子でも使われることの多い小麦粉が特産で、製粉技術も高い土地柄。和菓子作りにはもってこいの地域なんです」

①【香川県】クッキーアソートならぬ瓦せんべいアソート。「くつわせんべい」

宗家 くつわ堂のくつわせんべい

田中さん「1パックに7種類が入った瓦せんべいの詰め合わせ。見た目も味も一つひとつ異なります。青のり、生姜、ゆずなどといった香川の特産品の味わいもバラエティ豊かに楽しめるんです」

くつわせんべいの厚みの違い

左から「民軒」「うず汐」「小判」

――それぞれ形や味だけでなく、食感まで違うというのが面白いですね。スタンダードな瓦せんべいタイプのものもあれば、この棒状の「民軒」は噛むのにちょっと気合いが必要な厚さです。クッキーアソートのようにいろんな瓦せんべいを味わえるというのがとても新鮮。

田中さん「<宗家 くつわ堂>さんのある讃岐は、小麦粉はもちろん『讃岐三盆白』という質の高い砂糖の名産地。シンプルに素材の美味しさを活かした瓦せんべいからスタートし、地元の美味しいものを中心に、いろんな味を楽しんでほしいという作り手の想いが、この一袋に詰め込まれているのではないでしょうか」

②【徳島県】鳴門金時の美味しさが凝縮。「鳴門うず芋」「すなじきんとき」

栗尾商店の鳴門うず芋

田中さん「甘くほくほくとした味わいで人気の高いお芋、鳴門金時の名産地である徳島県。その美味しさを皮ごと蜜漬けにした『鳴門うず芋』は、しっとり半生の状態に乾燥させたお菓子です。女性に非常に人気がありますね。例年10月上旬頃から4月下旬までの期間限定販売なので、ファンは要注意です(笑)」

――1枚がとっても大きいですね! 黄金色に輝く断面と皮の紫色のコントラストが美しいです。鳴門金時自体が甘いので、もしかしたらかなり甘めなお菓子に仕上がっているのかも? と思ったのですが、決して甘すぎず蜜がとても上品。蜜をかけることで、むしろお芋本来の美味しさが最大限に引き立ったという感じですね。

栗尾商店のすなじきんとき

田中さん「この美味しさの秘密は蜜にあるようで、<栗尾商業>の初代が考案した蜜床のレシピを、今も使用しているそうですよ。同じ鳴門金時をそのまま使いながらも、切り方を変え、さらに炙って香ばしさを出しているのがこちらの『すなじきんとき』。黒ごまの風味も手伝って、ちょっと大学芋のような味わいがありますよね。スティックタイプのひと口サイズなので食べやすいのもポイントです。こちらの『すなじきんとき』も期間限定商品で、6月上旬から9月下旬頃までの販売になります」

③【愛媛県】ロールケーキじゃなく、タルトです。「一六タルト」

一六本舗の一六タルト

田中さん「見た目はロールケーキですが、愛媛県で『タルト』というと、一般的なタルトではなくこの『一六タルト』を連想するのだそうです。どうしてこの名前になったかは諸説あるようなのですが、明治時代に考案された由緒あるお菓子なんですよ」

――あらかじめ切り分けた状態でパッケージされているというのも、実はこちらのロールケーキ……じゃなかった、『一六タルト』が発祥なのだそうですね。おおっ生地がフッカフカですね!

一六本舗の一六タルト

田中さん「このフカフカを布団にして寝たいほど(笑)、私も大好きなお菓子です。中に巻かれているのは地元の特産でもあるゆずが利いたなめらかなこし餡。ゆずの風味がほんのりと上品で、餡と生地とのハーモニーが素晴らしいんです。生菓子ですが常温保存できるので、手土産にもぴったり。知らない人にお持ちすれば、これがタルト? と話題のきっかけにもなりそうですよね」

④【高知県】歯ごたえを楽しむ「ケンピ」

西川屋老舗のケンピ

田中さん「最後にご紹介する『ケンピ』は、名前は似ていますが芋けんぴとは無関係。一見ビスケットのようですが、歯応えが違います」

――硬い! 昨今やわらかいお菓子が多いところ、口の中でボリボリと音が響く噛み応えが新鮮ですね。味はたまごボーロをさらに香ばしくしたよう。たとえるならば歯応えを楽しむ大人のためのたまごボーロ、とでもいったお菓子でしょうか。

田中さん「『ケンピ』という商品名自体も、もともと『堅干』と書いていたそうで、硬さも魅力のお菓子なんですね。かつて<西川屋>さんが土佐藩の藩主に献上していた白髪素麺や麩からヒントを得たのがはじまりだそう。硬さを楽しめるのは、お菓子自体が美味しいからにほかなりません。材料の小麦粉、砂糖が良質だからこそ出せるものなのだと思います」

地元自慢の食材を美味しく食べてほしい! という思いが生んだ四国銘菓。一見シンプルなお菓子からは、海と山に恵まれた土地の食の豊かさが垣間見えました。

文: 斉藤彰子

写真:八田政玄
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

バイヤー・スタイリスト / 田中美穂
三越伊勢丹の和菓子担当バイヤー。全国の和菓子を年間約1,500種類以上食べている。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、日本橋三越本店本館地下1階=菓遊庵にてお取扱いがございます。 
独自の味覚と感性で厳選した全国の銘菓をお届けするお菓子のセレクトショップ、三越オンラインストア「菓遊庵」はこちら。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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