2017.05.16
お米のうまみがじんわり…。あえて磨かない「低精米」日本酒がトレンド!
毎年新しいトレンドが誕生している日本酒の世界。「今年は『低精米』の日本酒が来ています!」と分析するのは、伊勢丹新宿店・和酒担当の倉友桐さんです。
「少し前まではお酒単体で味わう『大吟醸』などの高精米がブームでしたが、近年はフードとのペアリングを楽しむ人が増えてきています。それにはお米の個性が味わえて、香りよりうまみに特化した低精米がぴったりなのです」
今回は倉友さんに、注目の「低精米」の日本酒を教えてもらいます。
お米を磨かない「低精米」の日本酒とは?
「日本酒は原料となる米の外側を削って(磨いて)中心部だけを使うのですが、どれだけ磨き、お米が残っているかという数値を『精米歩合』といいます。低精米は基本的に80%以上。つまりお米の外側を2割程度しか『磨いていない』お酒なのです」
日本酒はお米を磨くほど透明感が増すと考えられており、「大吟醸」は50%以下、「吟醸」は60%以下まで磨くのがルール。80%がいかに「磨いていない」かがわかります。
でも、「磨かない」=「雑味が多い、重い」というイメージがありますが……。
「低精米=雑味なんてとんでもない! 近年は酒蔵の技術が格段に向上しており、低精米でも雑味を抑え、お米本来の濃醇さが表現できるように進化しています。お米を磨かない分、よりナチュラルな方法のお米栽培に取り組むなど、強いこだわりを感じられるお酒が多いんですよ」
それでは、倉友さんがおすすめする絶品の低精米日本酒3品を紹介します。
① お米の優しさが口に広がる……80%精米の「いづみ橋」
<泉橋酒造>いづみ橋「恵」海老名耕地 純米酒(720ml)1,404円(税込)
まずは神奈川県で米造りから精米、醸造まで一貫して行う<泉橋酒造>の一本。地元・海老名市で蔵人自ら栽培した酒米・山田錦を80%精米で醸します。
「低精米のお酒の特徴は、香りが穏やかでお米の味をしっかり味わえること。そのため食事と一緒に楽しむのにぴったりなのです。中でもおすすめはお燗。温めることでお米のうまみがじんわり広がって、長く余韻を楽しめます」
このお酒は蔵元もお燗を推奨する「お燗酒」。出汁を使った和食や焼き鳥などと相性抜群です。
『今、燗酒が面白い! バイヤーが見つけた「お燗に向く日本酒」5選』でも紹介。
② 穏やかな酸のバランス型! 85%精米の「舞美人」
<美川酒造場>舞美人 自社田山田錦85 特別純米無濾過生原酒(720ml)1,404円(税込)
続いては「いづみ橋」よりもさらに低精米な85%。福井県にある<美川酒造場>が自社田で愛情込めて栽培した山田錦を「できるだけ無駄にせずに届けたい」と、蔵の技術を結集して醸したお酒。
「低精米に加え、搾ったお酒に加熱や濾過などの処理をしていないことも特徴。どっしり濃厚な味わいがポイントです」
お米に残るさまざまな味の要素から、雑味ではなく、うまみと酸味をいかに表現するかが「低精米」の腕の見せどころ。「生」原酒なので、冷やしてお飲みいただくのはもちろん、さまざまな温度帯でお楽しみいただけます。毎日の食事と合わせたいオールマイティな一本です。
③ 食用のごはんとほぼ同じ90%! 甘酸っぱさが美味しい「妙の華」
<森喜酒造場>妙の華 CHALLENGE90(720ml)1,377円(税込)
ラストはなんと食米とほぼ同レベルの90%という、超低精米の日本酒。三重県で全量手造り、純米酒のみにこだわる<森喜酒造場>が、低精米に加え昔ながらの「生(き)もと」(※)という製法、さらに加熱や濾過、加水などの加工をしていない「搾りたて」で瓶詰めした、まさにチャレンジングな一本です。
「重そうに感じますが、しっかりと酸があり、キレもあるので飲みやすく、バランスが絶妙。この蔵元さんもお燗で有名なので、ぜひ熱燗に挑戦してください」
※ 現在は乳酸を人工的に添加する「速醸」が主流であるなか、「生(き)もと」は日本酒のもととなる「酒母」を作る工程で自然界の乳酸菌を取り込んで発酵を促す方法。
コスパ抜群! 低精米の日本酒はデイリーに楽しんで
「低精米の日本酒は食中酒に適している上、お米を効率的に使えるため比較的リーズナブルでコスパが優れているのも魅力的。デイリーなお酒として楽しんでください」
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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