2017.03.01
牡蠣のプロが伝授! 本当に美味しい旬は「新年から春先」って知ってますか?
秘伝のタレを継ぎ足して作る佃煮「金のさんま」で有名な<斉吉>。……ですが、このたび同店の次なる名品を発掘してしまいました。
毎年、年明けから春先にかけてコアな人気を博している「牡蠣のしぐれ煮」。牡蠣ファン感涙の濃厚なうまみとぷりぷり食感は、一度食べたら忘れられない味わいです!
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実は最旬は1~4月! その時期だけの牡蠣を使用
牡蠣の「最旬」って、ご存知ですか? 宮城県では、毎年10月ごろから牡蠣の出荷がスタートし、ピークは出始めの10~12月にかけて。
しかし、実は地元での消費が盛んになる時期は異なるのだそうです!
<斉吉>の斉藤和枝さんによると、「10月は、牡蠣の産卵が終わってまだ間もない時期。山からの冷たい雪解け水が海に流れることで牡蠣の身がしっかり詰まり、味が濃くなるのは年明けから4月ごろ」なのだとか。
「年明けからは市場での人気がなくなってしまうので、出荷はどんどん落ち着くのですが……。本当はいつが美味しいのか、漁師さんはみーんな知っていて(笑)、地元で本格的に牡蠣を食べ始めるのは1月からなんですね」
煮ても負けない牡蠣のうまみを、斉吉の技で
年明け以降の牡蠣は、身にぎっしりとうまみが詰まり、プリップリ。その美味しさを県外の人にも知ってほしいと、完熟牡蠣のフレッシュさを活かしたまま炊き上げる斉吉の技を使い、製品化したのが3年前だそうです。
「この時期の牡蠣は、しっかり身が詰まっているから煮付けにしても身がふっくらしているし、牡蠣の味も負けないんです」
しかも、牡蠣は気仙沼の海でその日の朝に水揚げされたばかりのもの。それを夕方までに調理しきってしまうというから、なんとも贅沢な煮付けです。
「水産加工品の美味しさは、何よりも素材の鮮度が大事だと考えています。だから『金のさんま』もそうですが、ほかの商品でも使うのはお刺身でも食べられるものばかりなんです。海に恵まれた気仙沼という立地だからこそできる作り方ですね」
手間暇かけて、ぷっくり浅炊きに
ふっくらした牡蠣の美味しさを最大限に生かすために、炊き方にも手間暇かけているといいます。
「長い時間火を通してしまうと、せっかくの牡蠣の身が縮んでしまいます。短い時間炊いては牡蠣のうまみを煮汁に落とし、すぐに身を引き上げる……という作業を3回に分けて行いながら煮汁を煮詰めていくんです。牡蠣のうまみを損なわないよう、味付けは極力薄めに。牡蠣を煮る、というよりも、牡蠣からのうまみがたっぷり出た煮汁を牡蠣の表面にまとわせる、という感じですね」
業務用の大鍋ではなく、家庭用の小さな鍋で少量ずつ炊くため1つの鍋で1回に作れるのは5kgほど。催事では1日に15kgほど売れるというから、作業の手間が目に浮かびます。
ご飯がススム「牡蠣のしぐれ煮」! 味の決め手は素材
大きめふっくらボディに絡むタレはサラサラ。缶詰でお馴染みの一般的な牡蠣の煮付けとは、ビジュアルからして異なります。
ひと口でいただくと、まず驚くのが、身が詰まった食感。上品な薄味のタレを従えて、牡蠣の濃厚なうまみが口いっぱいに広がります。生臭さはまったく感じられず、飲み込んだ後に残るほんのり甘い後味に、再度の驚きです。
熱を入れるとせっかくの身が縮んでしまうので、「牡蠣飯にするなら炊いた後のご飯に後から汁ごと混ぜ込むのがおすすめ」だそう!
小イカ、鯖……刺身でも食べられる旬の魚を煮付けに
1~4月にかけて作られる「牡蠣のしぐれ煮」は5月には売り切れてしまうそう。
ただし、5月以降も季節ごとに旬な煮付けが続々登場するのだとか。
「一番美味しい時期のものを手に入った分だけ調理してお出ししているので、催事のときに何が店頭に並ぶかは正直『そのとき次第』。売り切れてしまったら終わりなんですね。春先からはサクラマス、小イカ。秋に鯖や鰹が旬を迎えます。特に三陸の鯖は脂がのって美味しいですよ」
鯖は半擂(ず)りのゴマと、仙台味噌をベースにゴマ味噌味に仕上げるとか。その素材が一番美味しくなるよう工夫された炊き方も、素材に対する愛情を感じます。
「金のさんま」に次ぐ水産加工品界のニュースター「牡蠣のしぐれ煮」。もし旬の時期にめぐり合えたら……いつもより多めに白ご飯のご用意を!
宮城県・気仙沼市で、地元でとれた新鮮な魚介を使った水産加工品の製造・販売を中心に行っています。特に骨まで食べられる味わいで注目された「金のさんま」を中心とする煮魚類が人気です。旬の魚介を使った味わいにはファンも多く、今回紹介した「牡蠣のしぐれ煮」は、1日に13~15kgを売り上げるほどだそう。
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