2016.12.27
冬の手土産・ギフトにも◎。干し柿のおすすめ5選。作り方、有名な生産地、味わいをプロが解説
なんとなく古臭いイメージがあり、現代では敬遠されがちな干し柿。けれど丁寧に作られた干し柿は、まったりした自然の甘みが凝縮されており「干し柿のある国に生まれて良かった!」と思えるほどの美味しさなんです。食わず嫌いなんてもったいない! 実は冬のギフトや手土産としてもおすすめなんです。今季絶対に試してほしい干し柿について紹介します。
【干し柿の製法】作り方はセミドライとドライの2タイプに分けられる
干し柿は製法によって2つに大別することができます。
① あんぽ柿の製法・作り方(セミドライタイプ)
皮を剥いたあと、寒風に当て、天日にさらし、遠赤外線で水分が50%になるまで調整して作られた干し柿。内部はとろっとしたゼリー状になっています。半生状態なので消費期限はやや短め。冷蔵保存をすればゼリーのように、冷凍をすればシャーベットのようにして味わうこともできます。鮮やかなオレンジ色のものを選ぶのが吉。
② 枯露(ころ)柿、市田柿など、その他の干し柿の製法・作り方(ドライタイプ)
天日にさらすところまではあんぽ柿と同じですが、その後は手でもみ、もう一度同じ工程を繰り返したり、ビニールハウスで乾燥させたりして、水分が25%〜30%になるまで乾燥させるタイプ。そのため実が引き締まって食感はややかためです。表面にブドウ糖である白い粉がしっかりついているものを選ぶと良いでしょう。ときどき黒い斑点がありますが、霜に当たった部分が変色してしまったものであり、カビではありません。
2016年伊勢丹新宿店の干し柿、おすすめ5種類
干し柿の製法の2タイプがわかったとろこで、具体的にどんな干し柿がおすすめなのか気になりますよね。全国的に有名なブランドから、地元だけで消費される生産数のごく少ない物まで、干し柿には豊富な種類があります。そこで、伊勢丹新宿店の青果フレッシュマーケットでフルーツを担当する、スタイリスト福益明美さんに今季に食べるべき一押しの干し柿を教えてもらいました!
【おすすめ干し柿①】<市田柿>生産量日本一。ほどよい甘さが人気/主な生産地:長野県
主な生産地:長野県
柿の種類:市田柿
干し柿のタイプ:ドライタイプ
縦の長さが4〜5cm程度で他の干し柿と比べるとやや小ぶりの市田柿は、長野県を中心に栽培される「市田柿」という品種で作られます。表面の白い粉が細かく繊細で、見た目も美しいのが特長。内側はみずみずしいオレンジ色をしています。
「他の干し柿と比較したとき、甘さも実のかたさも『中くらい』に位置するのが市田柿。食べやすい味だと思います」
口にふんわりと広がるやわらかい香りと、ほどよくもっちりした食感のバランスがよく、小ぶりなこともあってどんどん手が伸びてしまいそうです。
【おすすめ干し柿②】<枯露柿>ねっとりした食感とフレッシュな香り/主な生産地:山梨県
主な生産地:山梨県
柿の種類:甲州百目(こうしゅうひゃくめ)柿
干し柿のタイプ:ドライタイプ
市田柿よりもやや大ぶりで、ねっとりとした食感が持ち味の枯露(ころ)柿。割ってみると干し芋のようです。
「まんべんなく日が当たるように『コロコロ転がしながら乾燥させたことから枯露柿と呼ばれるようになった』という逸話があるほど手間暇かけて作られているんです」
食べてみると見た目以上に水分が多く、生の柿のような強い香りを感じます。
【おすすめ干し柿③】<富山干柿>噛むほどに甘味を感じられる/主な生産地:富山県
主な生産地:富山県
柿の種類:三社(さんじゃ)柿
干し柿のタイプ:ドライタイプ
初めてみる人は驚くようなビッグサイズの富山干柿。上等なものは手のひら大の大きさです。上記2つに比べるとよりしっかり乾燥されており、手触りはかため。割ってみると、内側は羊羹のような印象です。歯応えはかなりしっかりしているので、噛めば噛むほど甘みがにじみ出てきます。香りは、燻したような独特の匂い。
「25日ほどかけてじっくり乾燥させた干し柿です。味が濃厚で、実も大ぶりなので、切って少しずつ味わうといいと思います。オーブントースターで焼くと少しやわらかくなって、食べやすくなりますよ」
【おすすめ干し柿④】<紅柿>甘みの強さは最上級/主な生産地:山形県
主な生産地:山形県
柿の種類:紅柿(べにがき)
干し柿のタイプ:ドライタイプ
別名「つるし柿」と呼ばれる山形県上山市の特産品。紅柿(べにがき)は他の柿よりも渋の成分が多いため干し柿にしたときの甘みが強いのだそうです。
「長時間干すほど甘みが強くなる品種です。かたさは市田柿と同じくらいで、繊維質がやわらかいので食べやすいですよ」
【おすすめ干し柿⑤】<福蜜柿>とろける食感と濃密な甘み/主な生産地:富山県
主な生産地:富山県
柿の種類:三社(さんじゃ)柿
干し柿のタイプ:セミドライタイプ
<富山干柿>と同じ品種をあんぽ柿にした<福蜜柿>。ぷるぷるとした実を割ってみると中からはとろっとろのジュレのような果肉が姿を現します。あんぽ柿の水分量は50%。半生状態の干し柿を口に運ぶと……ウニや牡蠣を彷彿とさせるとろりとした食感が広がります。
「蜜のように濃密な甘さ<福蜜柿>はチーズやパンによく合います。刻んでサラダやヨーグルトに入れても美味しいですよ」
産地や製法、品種によって大きな違いがある干し柿。古来より各地のお国自慢の贈答品として人気があったのもうなづけます。これだけ個性豊かであればきっとお気に入りのブランドも見つけられるはず! ぜひ試してみてくださいね。
※あんぽ柿は12月下旬にお取扱いが終了する可能性がございます。ご了承ください。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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