2016.11.09
こんな種類、見たことがない! 南信州は天然きのこの宝庫だった
みなさんは、食用きのこの名前をいくつ挙げることができるでしょうか。日本には200種類もあるといわれる食用きのこのうち、日頃目にしているきのこは指折り数えられる程度。しかし、秋の山には見たことのないような天然のきのこがどっさり生えているんです。豊かな自然が残る長野県泰阜村(やすおかむら)を訪れ(まるでお刺身! 一度食べたら忘れられない衝撃のローカルこんにゃくや、田舎の料理名人が教える、昔ながらの切り干し大根&凍み大根の作り方でも紹介)、シーズン中は暇をみつけてはきのこ採りに行くという宮島康夫さんと料理上手な奥さま吉子さんにご協力いただき、その一部を見せてもらいました。
こんなの見たことある? 個性豊かな天然きのこ
バカマツタケ
その名の通り、マツタケに似たきのこで、匂いも似ています。食べ方もマツタケと同じで、茶碗蒸しや炊き込みご飯などに。泰阜村には本物のマツタケも生えていますが、素人が見つけるのは難しいとのこと。
シャカシメジ
「センボンシメジ」や「イボタケ」と呼ばれることもあるきのこ。お釈迦様の頭のように見えることからこの名がつきました。写真のような塊のままごっそりと斜面に生えています。実はこれを栽培したものがブナシメジなんです。自然のなかで育ったシャカシメジはよりうまみが濃厚! 炊き込みご飯や天ぷらにすると美味なんです。
サクラシメジ
その名の通り桜色をした美しいきのこで、泰阜村ではポピュラー。当たり年は畝(うね)ができるほど生えるのだとか。やや苦味がありますが香りなどはないため、醤油などで濃いめに味をつけて食べます。食感はポサポサとしてちょっと変わった印象。煮物や炒め物のほか、いも類と一緒に煮て食べます。泰阜村では塩漬けにして保存することも。
クロカワ
地面にぴたっと張りついているため見つけにくいクロカワは、食通好みの高級食材。あまり見栄えの良いきのこではありませんが、マツタケよりも高値で流通し、高級割烹で供されることもあるのだそう。汁物や天ぷら、和え物などで美味しくいただけますが、一番のおすすめはさっと湯がいて大根おろしと一緒にいただくこと。ほろ苦い、独特の味わいがクセになります。
ハツタケ
他のきのこに先駆けて9月中旬ごろから生え始めるためこの名前がつきました。一部が青色をしているのは傷ついた部分の変色で、カビではありません。炊き込みご飯や汁物、焼き物として食べると濃厚なうまみを味わうことができますが、見た目を敬遠して実は村の人はあまり食べないようです……。
味わい豊かなきのこはシンプルにいただきます
吉子さんのきのこ料理はとてもシンプル。湯がいたきのこに大根おろしを和えたり、みりんと醤油で甘辛く煮たりと、それぞれのきのこの特性を活かす調理で自然の恵みを味わっています。また、シーズン中は腰びくいっぱいに採れるというきのこは、茹でてから冷凍保存しているそう。冬の間も少しずつ解凍して自然の恵みを楽しんでいます。
私たちが日々触れる食材のほとんどは、計画的に生産されたもの。でもときに、山の恵みたっぷりの食材に触れ、驚くような体験をすることで、改めて自然がもたらす食材の豊富さ、その奥深さに気付かされました。
取材協力
宮島康夫さん、宮島吉子さん
奥さまの吉子さんは泰阜村生まれ、泰阜村育ち。ご主人の康夫さんは仕事の赴任先として泰阜村へ来て以来、40年余り村で暮らし続けています。秋はきのこ採りのほか、無農薬で育てた米の収穫や栗ひろい、胡桃の加工、炭焼きをしなければならないため、とても忙しいとか。
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