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2016.05.27

天然よりも美味しい!? 高級養殖魚「鯛一郎クン」って?

鯛一郎クン

養殖の魚というと、天然ものに比べ、安価で味もそれなりなイメージ。お刺身で食べるには、脂がくどい、臭みがあると敬遠されがちです……。しかし、そんなイメージを覆す、革命的な養殖魚が最近注目を浴びているんです! その名も養殖真鯛の「鯛一郎クン」。名前のインパクトもさることながら、お刺身で食べると絶品! そのクオリティの高さが大評判なブランド鯛なんだそう!

築地で話題沸騰中!? 知る人ぞ知る鯛一郎クンの美味しさ

鯛一郎クンの刺身

「初めて『鯛一郎クン』を食べた時、こんな養殖魚があったなんて! と驚きました。養殖真鯛のなかでも別格の品質と美味しさなんです」と興奮気味に話すのは、美味しい魚を求めて日本全国の産地を飛び回っているという築地魚市場株式会社販売促進室の伊藤芳徳さん。

そんな伊藤さんが太鼓判を押す鯛一郎クン、締めてすぐに食べて美味しいのはもちろんですが、なんと熟成させるとさらにうまみが増すとか!? 一体どんな味なんでしょう。

試食してみると、臭みがまったくなく、脂の甘みにびっくり! 締めたばかりの身の食感はしっかりとしていますが、3日寝かせて熟成させたものはねっとりとし、グッとうまみが増しています。これが養殖の鯛だなんて、信じられない……!

鯛一郎クンの証である背びれにつけられるタグ

背びれには、鯛一郎クンの証である赤いタグがつけられる

「鯛一郎クンのすごいところは、この脂がのった美味しさを通年楽しめるところです。時期によっては、天然の真鯛よりも価格が上がってしまうほどなんですよ」(伊藤さん)

この鯛一郎クンというユニークな名前、生産者の徳弘多一郎さんの名前をモジって名付けられたんだそう。そう聞くと、生産者の素顔が気になりますよね……。

鯛一郎クンを作ったのはこの人!

たいちろうさん

鯛一郎クンの生みの親は、徳弘水産の「お頭(おかしら)」こと代表取締役・徳弘多一郎さん。

そもそもなぜ、こんなにも美味しい養殖魚が生まれたのでしょうか?

「養殖魚は脂が臭い、美味しくないから料理には使えない――そんなプロの料理人の声にショックを受けて、天然ものに負けない養殖鯛を作ろう! と一念発起したんです。実は20年前から研究・開発を始めていたんですよ」

鯛一郎クンの故郷は、鯛の水揚げ量NO.1を誇る愛媛県宇和島市。1代目鯛一郎クンは、2009年に生まれました。現在もエサや生育環境の改良が進められており、その味わいは、毎年パワーアップしているのだとか。

「毎年、少しずつ美味しくなっているんです。もうこれ以上のものはないと思うまで、研究を突き詰めていきたいですね」

「愛しているよ!」から始まる鯛一郎クンの一日

育て方には、どんなこだわりがありますか?

「とにかく愛情たっぷりに育てています! たとえば、私たちは鯛一郎クンが泳ぐ生け簀に『おはよう、愛してるよ』って声をかけながらエサをあげているんです。若いスタッフは流石に『愛しているよ』というのには、抵抗があるみたいですが……(笑)。こうして手をかければかけるほど、美味しさで応えてくれると思うんです」(徳弘さん)

また、鯛一郎クンが食べるエサは、養殖魚特有の臭みをなくすため、エビやりんごなど30種類以上におよぶ天然由来の素材と酵母を混ぜたもの。エサを与える際は、機械で行う場合の5倍もの時間をかけ、鯛一郎クンの健康状態をチェックしながら手作業で行っているんだそう。

一年中変わらない美味しさは、徹底した生育環境の管理の賜物

鯛一郎クンが育てられる愛媛県宇和島市の海

鯛一郎クンが育てられる愛媛県宇和島市の海

鯛一郎クンが育つ生け簀にも、徳弘さんの愛情はたっぷりと詰まっています。

「魚も人間と同じように、生育環境の変化によってストレスが溜まったり、健康被害が出てしまうんです。なるべくストレスをかけない環境作りも心がけています」(徳弘さん)

魚にとって暮らしやすい環境とは、第一に自由に泳ぎ回れる環境であること。そして、適切な酸素量や水温が保たれていること。徳弘水産では長年に渡って水温、酸素量の変動による魚の品質の変化を細かく記録。そのデータ基づき、生け簀内の水温は、冬場も夏場も常に18~25度に保たれています。こうして生育環境の管理を徹底することで、一年を通して美味しい魚を供給することができるんですね。

さまざまな技術開発や努力が実を結び、かつては養殖魚を敬遠していた料理人たちも、今では「お刺身はもちろん、煮たり焼いたり漬け込んだり、どんな食べ方でも美味しい!」と鯛一郎クンを指名買いするほど。

ブランド米のコシヒカリや高級和牛の松阪牛のように、人の手をかけることで美味しさが倍増した「ブランド養殖魚」の存在が当たり前になる時代がくるかもしれませんね。

文: 近藤ひかり

写真:島村緑
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

バイヤー・スタイリスト / 伊藤芳徳
築地魚市場株式会社 販売促進室所属。海と魚をこよなく愛し、築地で売られているあらゆる魚介類を知りつくす。バイヤーと共に全国各地の生産者をめぐり、美味しい魚介類を届けるべく奮闘する。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、2016年6月1日(水)〜 6月30日(木)まで、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケット/東信水産にてお取扱いがございます。

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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