食品フロアスタッフが本気で勧める、あの店の「コレおいしい！」#9

日頃、三越伊勢丹の食品フロアで、実際に店頭に立っているスタッフたち。美食の戦場、美味の密林とでもいうべき空間で、最上の味をお客さまに届けるべく、切磋琢磨を続けています。そんな彼らが、「あえて」他店の商品からおすすめしたい「コレおいしい！」を紹介する、この連載。強者は強者を知るように、本当においしいものを知っているのは、彼らなのです。

第9回：銀座アスター　川澄澄子さん

和洋中、ありとあらゆる「おいしい！」が集まる食品フロアきっての人気エリアが「旨の膳」です。44のショップがそれぞれ自慢のお弁当や惣菜を並べており、ここを歩くだけでグ〜ッとお腹が鳴りそう。

今回登場するのは、そんな「旨の膳」にある中華の老舗＜銀座アスター＞の川澄澄子店長。伊勢丹新宿店に携わって30余年という名物スタイリストです。長年お客さまに愛される秘訣は「ニコ、ハキ、シャキ！」という明るく心地いい接客。「お店に行くと元気をもらえます」という常連さんも多いそうです。

第9回は、伊勢丹グルメを知り尽くしたベテランを支える、「絶妙な味」の3品を紹介します。

川澄さんのおすすめ①：シンプルだから奥深い、老舗ブランドの絶妙な甘さ

１品目は、＜日本橋 千疋屋総本店＞の「フルーツサンドイッチ」。第3回で＜紫野和久傳＞の小室朋子さんも推薦した、ファンの多い一品です。大の甘党という川澄さんは、仕事で疲れたときのエネルギー補給に愛用しているのだとか。

「『フルーツサンドイッチ』は、千疋屋の新宿出店当初から食べている味です。千疋屋さんといえばゼリーやケーキですが、私はコレ。一見シンプルに思えますが、フルーツの繊細なカットは老舗だからできるプロの技術ですよね。フルーツの酸味をクリームの甘みが絶妙に絡んで……もう本当においしいんです。これが私の笑顔の源です」

川澄さんのおすすめ②：新しい名店を発見！ ソフトシェルクラブと玉子のコラボに大満足

2品目は「旨の膳」にある本格タイ料理ショップ＜マンゴツリーデリ＞の「ソフトシェルクラブと玉子のカレー炒めご飯」です。川澄さんがこの味に出合ったのは、同ショップが「旨の膳」に出店した2010年。川澄さんは常日頃から食品フロアを食べ歩いており、新しいお店ができたらすぐにお客さまとして遊びに行くそうです。

「＜マンゴツリーデリ＞さんは比較的新しいショップで、若いお客さまに人気ですよね。この『ソフトシェルクラブと玉子のカレー炒めご飯』は、玉子と脱皮したばかりのやわらかなカニの相性がぴったりでおいしいんです。タイ料理は個性が強い料理が多いですが、この味は老若男女みんなにおすすめできます」

玉子のおいしさにメロメロになった川澄さんは、早速店頭で感動の声を伝えたとか。同じエリアのお店は、よきライバルでありよき仲間。他店のファンになってしまうこともあるようです。

川澄さんのおすすめ③：熟練の技で焼く、唯一無二の玉子焼き

3品目の「コレおいしい」をたずねると、川澄さんは「すぐそこですから」と言って、自分のお店を離れてスタスタ移動。同じく「旨の膳」内にある割烹弁当の有名店＜亀戸 升本＞まで案内してくれました。ショーケースに並ぶ豪華な割烹弁当に目を奪われますが、川澄さんのお気に入りはその横にある「玉子焼き」。

「『升本』さんの玉子焼きは職人さんが一つひとつ手で焼いた唯一無二の品。味は少し甘めで、食感は固すぎず柔らかすぎずの絶妙な塩梅で私好みなんです。手土産にもぴったりですよ」

「あ、おはようございます川澄さん」と迎えてくれたのは＜亀戸 升本＞の中村店長。中村さん曰く「川澄さんはこの一帯のおいしいものみーんな知ってますよ」とのこと。スタイリストのなかでも、彼女の知識の豊富さと美食への情熱は有名なようです。

「新しい味も安心できる老舗の味も、いろんな『おいしい』があるから、お客さまも私たちも元気になれる。伊勢丹新宿店の食品フロアは、毎日の元気を作る『食のテーマパーク』なんですよ」

毎日、元気いっぱいの笑顔で店頭に立つ川澄さん。実は彼女こそが一番熱心な伊勢丹ファンなのかもしれません。

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