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2015.12.20

自宅でできる! 日本酒が段違いにおいしくなるプロのテクニック

日本酒イメージ

専門店で飲む日本酒と、自宅で飲む日本酒。同じ銘柄でも、なぜかお店で飲むほうがおいしく感じますよね。その違いこそ、お酒を提供するプロの技。

「大塚 はなおか」の店主であり、飲食店日本酒提供者協会の理事を務める『日本酒提供のカリスマ』花岡賢さんに、年末年始のパーティに使いたい「日本酒をおいしくする3つのテクニック」を教えてもらいました。

 

テクニック①スパークリングは前日までに買う

近年人気を集めているスパークリングタイプの日本酒。シャンパンのようにすっきり飲めて、見た目も華やか。しかし、スパークリング日本酒はシャンパンよりも泡が強烈。買ってきたお酒をテーブルで開栓しようとすると……シュワーーー!! っと部屋中泡まみれになる恐れが。

「買ったばかりのスパークリング日本酒は、移動時の振動や温度変化によって炭酸ガスが活発になっています。飲む前日までに買っておいて、1日冷蔵庫で寝かせるのが鉄則です」

スパークリング日本酒の上手な開け方

開栓時のコツは、瓶を氷水に浸けること。温度が上がると泡が出やすくなりますが、このひと工夫で温度変化を極力まで抑えられます。方法は、ボトルを氷水に浸けた状態で、以下の作業を繰り返すだけ。

 
スパークリング日本酒の開栓方法
  • ボトルのキャップを少し開ける

  • 泡が上ってきたら、溢れる前にキャップを締める

  • 泡が落ち着くのを待ってまた少し開ける

  • 泡が上がらなくなったら開栓OK

 

「中身が溢れずに開栓できるまで、商品によっては10分前後かかる場合があります。乾杯の少し前から開栓作業をはじめれば、ゲストを待たせずにスムーズに乾杯できますよ」

スパークリング日本酒は爽やかな飲み口の反面、繊細で難しいお酒。上手に使いこなしましょう。
※開栓前に瓶の下に白いオリが見えても、上下に振ってオリを混ぜてはいけません。発泡が強くなり、開けられなくなります。溜まったオリは開栓後に炭酸の力で自然に混ざります(オリがない場合も同じ)。

 

テクニック②事前に開栓し、甘みを「広げる」

次は日本酒全般に使えるテクニック。それは飲む数時間前に「開栓」するだけ。

「昔は開けたてがおいしいと言われていましたが、最近の日本酒は逆。開けたてだと味が『閉じて』いることが多く、うまみが感じにくい場合があります。そこで、夜に飲みたいなら昼間に開栓しておくと、飲むときに味が『開いて』バランスが整い、甘みがのりますよ」

開栓前の瓶の中は真空に近い状態。一度外気に触れさせて瓶の中と外の気圧のバランスを取ることで、味が広がるというわけです。

 

事前に開栓できなければデキャンタへ

日本酒をデキャンタに移す

「もし、前もって開栓するのを忘れてしまった場合は、デキャンタに注いで素早く空気に触れさせる方法もあります。劣化速度はワインよりも遅いので、容器に移した後もじっくり楽しめますよ」

日本酒が瓶に少し残ってしまった場合、無理に飲み切らずあえて残しておくのも手。数日後に飲んでみると、時間をかけて空気となじんだ、異なるおいしさに出合えるはずです。

 

テクニック③洋酒のつまみに合わせてみる

生ハム、イチジク、チーズ

左から、イチジク、生ハム、プロセスチーズ

「日本酒のつまみ=和食という考えはもう過去のもの。食前酒である日本酒は、さまざまな料理に合わせることができます」と花岡さん。見本に見せてくれたのは、ドライフルーツのイチジク、生ハム、そしてチーズ。どう考えても洋酒のおつまみですが、それを合わせるのがプロの技。花岡さんオススメの組み合わせは以下の通り。

・イチジク+貴醸酒
「甘いおつまみに普通の日本酒を合わせると、辛みを感じてしまいます。甘いおつまみには甘みの強いお酒を合わせて、食後のデザートにいただきましょう」
※ 貴醸酒=日本酒の「仕込み水」に、水だけでなく日本酒も使って造る、いわば「日本酒で仕込む日本酒」。濃厚で甘口な味わいが特長で、主に食後酒として嗜まれる。

・生ハム+熱燗、にごり酒
「熱燗は生ハムの脂を溶かしてくれるので、後味がさっぱりします。また、にごり酒には食べ物の香りを流して口の中をリセットしてくれる作用も。焼肉に合わせるマッコリと同じ考えです」

・プロセスチーズ+生(き)もと、山廃
「チーズのコクには、個性のあるしっかりしたお酒がよく合います。チーズのタイプはプロセスやクリーム、カマンベールなどですね。青カビ系は避けたほうがいいでしょう」
※ 生(き)もと、山廃=日本酒造りの酒母を造る工程で、乳酸菌などの添加を行わない伝統的な手法を添加する製法を「生もと」という。「生もと」で行われる「山おろし」という作業を省いた手法が「山廃」。現在は乳酸菌を添加する「速醸」が主流。

どれも「おっ」と注目を集めそうな意外な組み合わせ。普段とは違う、ワンランク上の味わいを楽しめそうです。

今回花岡さんが教えてくれたテクニックは、難しい技術も知識も不要な簡単なものばかり。ちょっとしたひと手間で、「あの人の家で飲む日本酒は、なんでこんなにおいしいんだろう?」なんて、うれしい声が聞こえるかもしれません。今年の年末年始は、自宅で日本酒通を目指しましょう。

花岡賢さん取材協力:花岡賢

東京・大塚の居酒屋「大塚 はなおか」店主。「飲食店日本酒提供者協会」理事。実店舗の経営のほか、日本酒提供者の基礎検定「SAKEアドバイザー」や、「日本酒提供者マイスター」の資格認定などを行う。

 

文: 大久保敬太

写真:尾鷲陽介
※未成年の飲酒は、法律で禁止されています。
※本記事内でご紹介しているアイテムは、三越伊勢丹でのお取扱いはございません。

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