2015.12.17
年末年始のパーティは日本酒で! プロ直伝・日本酒の選び方、飲み方
年末年始はみんなでお酒を楽しむ機会が増えますよね。実は、パーティだからこそできる、より日本酒をおいしくする技が存在するのだそうです。酒器や料理とのマッチングに詳しい飲食店日本酒提供者協会の花岡賢さんに、パーティのための日本酒の選び方、飲み方を教えてもらいました。
日本酒を飲む「流れ」を意識する
花岡さんがチョイスしたお酒は、以下の4種類。
①スパークリング ②純米大吟醸 ③純米酒 ④本醸造
一見バラバラなタイプのお酒に見えますが、実はパーティの「流れ」に沿ったラインアップなのです。
「『大吟醸酒=おいしい』という固定観念があるためずっと同じお酒を飲み続ける人がいますが、それはもったいないこと。日本酒にはさまざまなタイプがあり、それぞれの楽しみ方があります。異なる味を何本も開けられるパーティは、日本酒の個性を知るいい機会です」
それでは、1杯目から詳しく解説してきます。
1杯目、スパークリング。華やかに乾杯!
「ワインと同じで、最初はやっぱり『泡』がいいですよね。最近は日本酒もいろいろなタイプのスパークリングが出回っていますよ。乾杯するときに最適なお酒ですが、油の切れがいいので肉料理や洋食にも合う、使い勝手のいいお酒でもあります」
ちなみにスパークリングの日本酒はシャンパンよりも発泡が強い商品が多々あります。開けるときは慎重に扱うようにしましょう。
※詳しくは、自宅でできる! 日本酒が段違いにおいしくなるプロのテクニックをご覧ください。
2杯目、純米大吟醸。繊細な味をシェアする
乾杯の次は、香り高い日本酒の横綱・純米大吟醸と大吟醸。
「せっかくのパーティであれば、高価で上質な純米大吟醸と大吟醸はぜひ飲みたいですよね。純米大吟醸はすっきりした印象がありますが、実は味が複雑で濃いため、最初に味を楽しむのに適したお酒です。上質な酒は冷やしてみんなでちょっとずつ味わうのがベスト!」
キリッと冷やして味わう純米大吟醸は、磨き抜かれた日本酒の真髄。サラダなどの前菜と合わせれば繊細な味がよりくっきりとします。
3杯目、純米酒。しっかりした味で料理に合わせる
ワインでたとえるならば白から赤に変える頃。このタイミングで登場するのが、純米大吟醸よりも精米歩合が低い「磨かない(※1)」お酒の純米酒です。
「日本酒で通す場合、純米大吟醸→純米吟醸→純米酒というように、繊細な「磨いたお酒」から素材の個性が出る「磨かないお酒」にシフトするのがセオリーです。味がしっかりしていて華やかな香りが少ない純米酒はメイン料理とも合わせやすく、食中酒として長く飲みやすいタイプ。パーティの主役となるのは、上質な酒よりもスタンダードな純米酒なのです」
※ 1 日本酒を造る際、原料米の外側(タンパク質や脂質が多く、雑味の原因となる場合がある)を削る作業を「磨く」という。50%以下に磨いて米の中心部だけを使ったものを「大吟醸」、60%以下に磨いたものを「吟醸」、それ以上のものは「純米酒」「本醸造酒」などがある。
4杯目、本醸造酒。ここからは自由に楽しんで
料理を一通り楽しみ、「後はもう好きなものをつまんで、自由に飲もうよ」というタイミングで登場するのが本醸造酒です。
「アルコールを添加したものを本醸造酒といいますが、このタイプはキレの良さが特長。余韻が長い純米酒の後に飲むと口の中がすっきりして、疲れにくくなります。また、本醸造酒は生臭さを増幅させにくいため、珍味とも好相性です」
パーティが進むと、テーブル上の日本酒は温度が上がっていくもの。その点、温度変化に強い本醸造はぬるくなってもおいしく飲めます。本醸造酒は温度帯を気にせず熱燗にしても味が崩れないので、好きな飲み方を探してみましょう!
※詳しくは、冬はレンジで熱燗! 日本酒のプロが教える「レンチン燗」のススメをご覧ください
できれば酒器にもこだわりたい
家庭ですべて揃えるのは難しいかもしれませんが、酒器にもこだわってみると、ワンランク上の味と雰囲気を演出できます。
<花岡さんおすすめの酒器>※写真左から順に
-
フルートグラス
スパークリングにぴったり。パーティの雰囲気も盛り上がります。 -
ガラスグラス
純米大吟醸を注いでみましょう。豊かな香りを楽しめます。形は丸みのあるものがオススメ。小ぶりなワイングラスでもOKです。 -
磁器<チューリップ型>
香りが立ちにくいので、純米酒におすすめ。飲み口の口径が広いものを選ぶと、濃い味の料理を食べるときにもお酒の味をしっかり感じることができます。 -
磁器<ストレート型>
本醸造酒のすっきり感を楽しむなら、口径の狭い酒器を使ってみましょう。
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さあ、日本酒パーティを楽しもう
スパークリングから純米大吟醸、純米酒、そして本醸造酒……。固定観念にとらわれないチョイスはパーティ主催者の腕の見せ所です。
「知れば知るほど深くなるのが日本酒の世界。あまり堅苦しく考えず、まずは日本酒に親しんでほしいです。その上で『もっとおいしく飲んでみたい』と思ったらこれらのポイントを少し意識するだけで十分。日本酒がさらに楽しくなりますよ」
今年の年末年始は、プロの技で日本酒をとことん味わい尽くしましょう。
東京・大塚の居酒屋「大塚 はなおか」店主。「飲食店日本酒提供者協会」理事。実店舗の経営のほか、日本酒提供者の基礎検定「SAKEアドバイザー」や、「日本酒提供者マイスター」の資格認定などを行う。
商品の取扱いについて
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