2015.10.03
軽くてフルーティとは限らない! いま飲むべき『ボージョレ・ヌーヴォー』
今年も間もなく解禁されるボージョレ・ヌーヴォー。ワイン好きの多くが、早くも心を躍らせているはずです。
そもそも日本では1980年代のバブル時代に浸透したボージョレ・ヌーヴォー。
「もうすぐボージョレ・ヌーヴォーだね」と同僚や友人にいわれ「そうそう」と話を合わせた経験、ありませんか? 「それで、ボージョレ・ヌーヴォーって何?」ときかれたら言葉に詰まってしまう人、結構いるようです。
そこでソムリエの宮沢典芳さんに、今さら人に聞けないボージョレ・ヌーヴォーの基礎知識から毎年話題にのぼる2015年の出来、さらにおすすめアイテムまでを教えてもらいました。
そもそもボージョレ・ヌーヴォーって何?
「ボージョレ・ヌーヴォーはフランスのブルゴーニュ地方ボージョレ地区で生産されるワインの新酒のこと。ワインは通常、醸されてから一定の熟成期間を経て出荷されることが多いのですが、醸造後すぐにリリースされるその年のブドウでできたワインということです。白やロゼもありますが、ガメイというブドウ品種でつくられる赤ワインを指すのが一般的です」と宮沢さん。
さらに、醸造方法にも特徴があるようです。
「通常、赤ワインはブドウを破砕してから醸造しますが、破砕しないままタンクに入れて炭酸ガスの力を利用して醗酵させる『マセラシオン・カルボニック』という方法が用いられることが多く、フルーティでキャンディのような香りのあるフレッシュな味わいが特徴的です。11月第3木曜日の解禁日はフランス政府によって定められています」
『品質志向』の高まりにより人気が復活!
生産量の約半分が輸出され、世界各地で楽しまれるボージョレ・ヌーヴォー。日本は、最大の輸出国のひとつで、時差の関係で先進国の中ではもっとも早く味わうことができます。
「解禁日の0時に合わせて一斉に販売をスタートする様子が、テレビのニュースなどでも伝えられますよね。日本では1980年代のバブル時代に浸透したボージョレ・ヌーヴォー。当時は棚を指さして『右から左まで全部の商品をください』とおっしゃられるお客さまもいらしたほどです(笑)。現在は、試飲をしながらじっくりと吟味しお買い求めくださるお客さまが多いですね。マセラシオン・カルボニックを行わず、通常の赤ワインのようにボージョレ・ヌーヴォーをつくる新世代の生産者も増え、品質も向上し、味わいのバリエーションも豊かになっています。バブル崩壊後に低迷した人気が復活したのは、そんな型にはまらない生産者と成熟したワイン観を持つお客さまのおかげだと思います」
2015年はグレートヴィンテージ
毎年「何年に一度の良作」などと、その年の作柄が話題にのぼるボージョレ・ヌーヴォー。2015年はいったいどんな年だったのでしょう。
「今年は50年、いや100年に一度の非常にいい年といわれています。夏が暑く乾燥したことでブドウがしっかりと熟し、凝縮感のある味わいが期待されます。ボージョレ・ヌーヴォーはほかのワインと違い、輸入のルートがシンプルなので、品質がストレートに価格に反映されていると思って大丈夫です。カジュアルなものなら少し冷やしてゴクゴクと、やや高級感のあるものなら大きめのグラスでじっくり楽しむと、ボージョレ・ヌーヴォーの魅力をより深く感じていただけるはずです」
2015年という年の特徴がしっかり感じられる、濃厚な1本
「ボージョレの中でも選ばれた地域で生産されるボージョレ ヴィラージュ。ジャン・カリヨンは1870年代から続く歴史ある生産者で、樹齢が40~70年のガメイを遅摘みで収穫し、凝縮感のあるワインをつくります。栽培や醸造に使う化学物質の量をできるだけ抑えたナチュラルな味わいです」
宮沢さんが最も注目する、新進ドメーヌの1本
「ブルゴーニュの注目生産者、ニコラ・ポテルが、醸造学校の同窓生であるステファン・アヴィロンとタッグを組んで立ち上げたドメーヌ<ポテル・アヴィロン>のボージョレ・ヴィラージュ。コートドールの伝統的な醸造方法でつくられていて、『ボージョレ・ヌーヴォー=軽くてフルーティ』という概念を覆してくれる凝縮感、複雑さを持つワインです」
秋にボージョレ・ヌーヴォーを味わうことは、ふだん何気なく飲んでいるワインが「自然の営みの中で作られている」と気付く好機でも。お祭り気分で賑やかに、あるいは1本とじっくり向き合って、味わってみてはいかがでしょうか。
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