2015.10.12
こんなに違う! 網どりの魚と「一本釣り」の魚を比べてみた
鮮魚店にて、同じ「アジ」なのに値段が3倍ほど高く売られているものを発見。大きさはほとんど同じなのに、どうしてこんなにお高いの~!? お店の人に聞くと、安いものは一般的な「網どり」でとられたアジ、高いものは「一本釣りされたアジ」とのこと。
釣り方が異なるだけで、実際、味の違いもあるものなのでしょうか? 伊勢丹新宿店の生鮮魚介類専門店「東信水産」の石川茂春さんに聞いてみました。
黄金色の美ボディがストレスフリーな証拠
「一本釣りの魚は、見た目から全然違いますよ」(石川さん)。
上が一般的な定置網漁でとられた「網どりアジ」、そして下が一本釣りされた「釣りアジ」です。
なるほど。こうして見比べてみると網どりアジが全体的に黒っぽいのに比べ、釣りアジは透明度が高く、何よりもそのボディに黄金の輝きが! 特にしっぽ、背びれ、胸びれの金色が目を引きます。
「網どりではたくさんの魚を一気に引き上げるので、ほかのいろいろな魚や網と擦れ、魚へのストレスがかかってしまう。また摩擦で魚の表面に傷がついてしまうことも多いんです」
一方、釣りアジにはそのストレスがかからないため、本来の透明感を保ったままなのだそう。また、しっぽから背中に入っている黄金のラインは脂がしっかりのっている証拠なのだとか。
「特にこのアジは鹿児島県産の釣りアジなのですが、『根付きアジ』といって、湾に入り込んだまま回遊せずに育ったため、脂肪が多く、栄養分が高いんですね」
風味と歯ごたえに圧倒的な差が!
では、肝心の「身」はどうなのでしょう?
実際に切り開いてみると……。左が釣りアジ、右が網どりアジです。
網どりアジが全体的に赤黒いのに比べ、釣りアジは身も透明度が高い!
さっそく刺身で試食します。
まずは網どりアジから。醤油をつけて……はい、十分においしいアジのお刺身です。白いごはんが欲しくなります。
次に初めての一本釣りアジ……。これは! 刺身にあるはずのわずかな生臭さがまったくありません! 魚の味自体が濃いので、なんなら醤油をつけずとも、このままでイケそうです! そして食べ慣れた網どりの刺身に比べ、食感にコリコリと歯ごたえがあるのがなんとも特徴的。
「身の締まりがよい証拠です。この身の質・鮮度の違いが一本釣りの魚の魅力なんです」
漁師さんの情熱が魚のおいしさを変えていく
石川さんによると、このような違いは漁地の差もありながら、「釣った後の扱い方の違いで変わってくる」のだと言います。
「釣りアジは、釣られたときに魚にかかるストレスが少ないのはもちろん、その後の扱いがとても丁寧なんです。漁師さんが釣ったまま生き〆にしたり、生簀に落として生かしたまま市場まで運ぶことも。そんな漁師さんの苦労や想いがあるので、その後に関わる市場関係者や私たち販売員の扱いも自然と丁寧なものになる。ベストな状態で市場に並ぶよう、計算して処理されていくんですね。関係者の努力があって初めて、釣りアジならではのよさが出てくるんです」
値段の差も、こう聞くと納得です!
網どりアジ・釣りアジは料理によって使いわけるべし
ただし、釣りアジならなんでもよいわけではなく、料理によって使いわけるのが正解なのだとか。
「産地や漁場でも違いがありますが、網どりアジのものが釣りアジに比べて劣るということはないんです。一般的に、お刺身だったら釣りアジがおいしいのですが、濃い味付けにするなめろうやフライ、煮物には網どりアジの方が向いています。鮮魚店の店頭でお買物する際は、ぜひ何に使いたいかを相談していただければ、ベストな魚を紹介してもらえるかと思います」
10月に楽しめる一本釣りの魚は、マグロ、タラ、そして秋サバなどがあるそう。
手間暇かけて私たちのもとに届けられる一本釣り魚の魅力、ぜひ味わってみてください!
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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