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2015.09.08

「上質な箸」は大人のたしなみ!? こだわりのマイ箸を選んでみた

日本人の食事とは切っても切り離せないもの――お箸。

先日、年上の男性と和食を食べに行ったときのこと。「これで食べると、おいしい気がするんだ」と、彼がおもむろに鞄から取り出したのは、なんと上質感たっぷりのお箸(!)。そして静かに食事をはじめたのです……なんと素敵な大人の作法。「マイ箸=エコ」のイメージがありましたが、こだわりゆえのマイ箸という手もあるんですね。

我が身を振り返れば、猫の絵が描かれた、いただきものの箸を使う毎日(猫好きじゃないのに)。箸は食事と一緒に口に入るものなのに、何のこだわりも持っていませんでした。

そこで、自分もきちんとしたお箸で、大人の作法を身につけたい! と思い立ち、訪れたのは伊勢丹新宿店本館5階のキッチンダイニング。一角にあるお箸のコーナーには、常時60種類以上のお箸が並びます。想像以上の種類の多さ。目移りを通り越して硬直していたところ、リビングフロア・和食器担当のスタイリスト、金子さんと小林さんが声をかけてくれました。

「お箸は毎日使うものなので、まずは自分の手に馴染むことが大切です。さらに納得をもって選びたい方は、『長さ・形』『素材』『表面の加工』などをチェックするといいですよ」(小林さん)

小林さんのガイドに従い、まずは「長さ」をチェック。聞けば、お箸特有の長さの測り方があるんだそう。

【長さ・形】箸の長さを決める単位、咫(あた)って何!?

兵左衛門の面取り箸

形状違いの箸、左から面取り、五角形、六角形、八角形。<兵左衛門>面取り箸(紫檀)2,160円、<兵左衛門>五角粋箸(紫檀)5,400円、<兵左衛門>六角粋箸(紫檀)5,400円、<兵左衛門>黒檀八角箸 2,700円

「手に合った箸の長さは『一咫半(ひとあたはん)』と言われています。親指と人差し指を直角に広げた長さが一咫ですので、その1.5倍くらいが適切な長さなんですよ」(金子さん)

また、「太さ」や断面の「形」には特に決まりはなく、手に馴染むものでOKとのこと。

「形は、口当たりの良い丸型が一般的ですが、食材がつかみにくいことも。その点、四角や五角形はすべりにくく、手に持った時にある程度に存在感があります。六角形型はえんぴつと同じなので手に馴染みやすいという人が多いですね」

なるほど。父が太めの四角い箸を使っていた影響か、四角のものに惹かれます。実際に持ってみると、ちょっとズシっとくる重さが手になじんでいい感じです。

【素材】スタンダードな鉄木か、一生ものの紫檀・黒檀か

兵左衛門のうるし太箸

左から素材違いに、黒檀、紫檀、竹。<兵左衛門>うるし太箸(縞黒檀)3,240円、<兵左衛門>うるし太箸(本紫檀)3,240円、<高野竹工>三つ節箸摺り漆(22.5cm)10,800円

次はお箸に使われている素材をチェック!

「もっともスタンダードなのが鉄木(てつぼく)という素材。硬くて丈夫、耐水性があって箸向きの素材です。より上質なものを、という場合は紫檀や黒檀などの素材も。また、古来から箸の素材として使われてきた竹もおすすめです。竹の凹凸を活かした形で持ちやすく、しなりがあるので割れにくいのが特徴。食べ物を掴みやすいので、私はおそばを食べるときに使っていますね」(小林さん)

なかには、3万円弱の希少な材質も!

マルナオのスネークウッド八角箸

<マルナオ>スネークウッド八角箸 27,000円(税込)

「珍しいものをお探しの方は、ヘビ柄のような木目の『スネークウッド』はいかがでしょう。木材の中でも随一の硬度を誇り、表面はとても滑らか。最高級素材のひとつです。」(小林さん)

スネークウッド製のお値段は、なんと27,000円! 表面はすべすべで、肌に吸い付くよう。とっても魅力的ですが、まったく手が出ません。この中で意外に心に刺さったのが「竹」。何より、「こだわり感」ビシビシと伝わってきます! 普段麺をよく食べるので、つかみやすい点もいいですね。

【表面の加工】カジュアルなら『無垢』、耐久性なら『漆』を

兵左衛門とマルナオの上質な箸

左から加工違いの箸。無垢、ふき漆、黒と赤の塗り
<マルナオ>スネークウッド八角箸 27,000円(税込)、<兵左衛門>削り箸 2,808円、<越前塗>五角頭丸箸(溜)3,024円、<兵左衛門>うるし堆朱箸(赤中)7,560円

 最後は、お箸の表面に施された加工について。よく見ると、木目の見えるもの、ツヤツヤのもの、マットなものといろいろあるよう。何が違うんでしょうか?

「大きく分けると、何も塗らずに磨いただけの『無垢』と、水をはじき、耐久性を高める漆を塗った『塗り』があります。見た目では、『塗り』はフォーマル、木目の見えるものはカジュアルな印象がありますね」(金子さん)

さらに「塗り」には、漆を塗ってから拭き取る「拭き漆」という加工も。無垢に近い外見を持ちながらも漆で加工されているという、ハイブリットなタイプなんだそう。

悩んだ末、選んだのはこのアイテム!

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結局選んだのは…………竹のお箸! 決め手は、持った時の「感触」、麺でも滑らない「機能性」。そしてやっぱり、見た目の「かっこよさ」です。

正直なところ、普段この箸に見合うような上質な食事をしているわけではありません。だからこそ、この箸を使うことでおいしく食べたい! 食卓に上質感を取り入れたいと思いました。そして外食では、このお箸で知的でこなれた雰囲気をバシッと演出したい……。

<後日談>

会社の同期と一緒にそば屋さんに行き、使いました、竹製のお箸。もちろん決めゼリフは

「これで食べるとおいしい気がするんだ」。したり顔でそばを食べ始めたところ……

「そんな繊細な舌持ってないでしょ」、「正直似合ってない」、「箸負けだね」と、つっこみの嵐。今度は箸に負けない、大人の食事マナーを身につけてやる! と心に決めたのでした。

文: 田山康一郎

写真:八田政玄
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。
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バイヤー・スタイリスト / 金子悦子
前職から合わせて、約10年にわたり和食器に携わる。和食器の魅力は、奥が深くて毎日のように発見があること。お客さまとの気軽なおしゃべりから、好みや要望を聞き出せるよう心がけている。
バイヤー・スタイリスト / 小林愛香
和食器歴3年目。旬の食材、季節の花をからめた、シーズンごとのテーブルコーディネートが好き。陶器にガラス、焼き物など幅広い選択肢があるのが和食器の好きなところ。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館5階=キッチンダイニング/和食器にてお取り扱いがございます。

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