2023.05.24
くず餅、わらび餅、くずきりの違いとは? 関西・関東で違いがあるものも!
夏の和菓子といえば、さっぱりしていて見た目にも涼しげな、くず餅やわらび餅、くずきりなどを思い浮かべる人も多いはず。一見似ていますが、実は原材料や作り方、食感など、それぞれに個性があります。さらにくず餅は、関西と関東では見た目もまったく異なるのだとか!
そこで今回は、それぞれの違いを日本橋三越本店のバイヤーに解説してもらいました。さらに日本橋三越本店で購入できるおすすめのくず餅、わらび餅、くずきりもご紹介するので、最後までお見逃しなく。
それではさっそく、くず餅、わらび餅、くずきりの材料や製法の違いからチェック!
「くず餅」「わらび餅」「くずきり」の違いとは?
くず餅、わらび餅、くずきりは、材料や作り方が重なるところもありますが、微妙な違いが風味や見た目の個性につながっています。さらにくず餅は、関西と関東でも見た目の違いが歴然。「原材料」「作り方」「食感・味わい」の3つについて比較していきましょう!
【違い① 原材料】「本葛粉」「うき粉」「本わらび粉」を使用
▼くず餅の原材料
透明な関西のくず餅(左写真)と乳白色の関東のくず餅(右写真)。両者は原材料が明確に異なります。実は、表記の仕方にも違いがあるというから意外です!
【関西】関西では漢字で「葛餅」と書き、植物の葛の根から精製した「本葛粉」を使用します。ただし国産の本葛粉は、葛自体の収穫量が少なく、本葛粉の精製にも手間がかかり高価なため、外国産の本葛粉、じゃがいもやとうもろこしのデンプンを使うことも多いそう。
【関東】関東では、関西の葛餅と区別するため「くず餅」「久寿餅」と表記します。小麦粉からグルテンを取り除いた「うき粉」を乳酸発酵させたものを使用。主に東京の門前町で、江戸時代から親しまれてきた味です。
▼わらび餅の原材料
わらび餅は、平安時代の醍醐天皇が好んだと伝えられている歴史ある和菓子。植物のわらびの根から採取したデンプン「本わらび粉」を使用します。ただ、本葛粉と同様に本わらび粉も精製に手間ひまがかかり、高価な食材のため、じゃがいもやれんこんのデンプンで代用したわらび餅が一般的になっています。
▼くずきりの原材料
くずきりは戦後の京都で生まれたといわれ、関西のくず餅と同様に植物の葛の根から採取した「本葛粉」を使用します。高価な食材のため、くず餅と同様に外国産の本葛粉、じゃがいもやとうもろこしのデンプンを代用したものが主流になりつつあるのだそう。
【違い② 作り方】「煮ながら練る」か「蒸す」か「型に入れて加熱」
▼くず餅の作り方
【関西】関西のくず餅は本葛粉を水で溶かし(砂糖を加える場合もあり)、透明感のあるとろりとした状態になるまで火にかけます。加熱するにつれて粘りが濃くなり、さらに根気強く練り混ぜることで、コシと弾力のある餅に仕上げます。
【関東】関東の場合は、乳酸発酵後のデンプンを何度も水洗いし、発酵臭や酸味を取り除きます。それを湯に溶かして型に流し入れ、蒸しかためると、乳白色でしっかりしたかたさになります。
▼わらび餅の作り方
原材料がわらび粉に変わるだけで、工程は関西のくず餅と同じ。わらび粉を水で溶かし(砂糖を加える場合もあり)、透明感のあるとろりとした状態になるまで火にかけます。
本わらび粉の場合は、ここで黒っぽい褐色になるのが特徴です。加熱するにつれて粘りが濃くなり、根気強く練り混ぜるとコシや弾力が増してわらび餅になります。
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▼くずきりの作り方
本葛粉を水で溶かすのは関西のくず餅と同様ですが、それを型に流し入れて加熱します。ゲル化して板状にかたまったら、うどんのように細長い麵状に切り分けます。
【違い③ 食感・味わい】なめらかまたは歯切れがいい、コシのある弾力、もっちり食感とさまざま!
▼くず餅の食感・味わい
【関西】本葛粉で作る関西のくず餅は、みずみずしくてつるりとした、なめらかな口当たり。やわらかさのなかにコシも感じられ、軽やかな食感です。
【関東】関東の場合は、ぷるんと弾けるような歯切れのよさが魅力。乳酸発酵特有のヨーグルトに似たさわやかな酸味も味わえます。
▼わらび餅の食感・味わい
わらび餅はもっちりとした弾力があり、強いコシが特徴。わらび粉がたっぷり使われているほど、食べた時に口の中でスッと消え、心地よい余韻が楽しめます。
▼くずきりの食感・味わい
くずきりは麺のようにすすっていただくと、ツルッとしたのど越しが楽しめます。本葛粉やデンプン特有の、もっちりとした噛みごたえのある食感も魅力です。
原材料や作り方に似ているところはあれど、それぞれ風味や食感が異なるのがおもしろいですね!
日本橋三越本店で買える「くず餅」「わらび餅」「くずきり」はこちら!
ここからは日本橋三越本店もしくはオンラインストアで購入できる、バイヤーおすすめのくず餅、わらび餅、くずきりをご紹介。ぜひ食べ比べて、その違いを実感してみてください。
【くず餅】江戸時代から愛される東京名物<船橋屋>
東京名物として約200年にわたり愛されている<船橋屋>の「元祖くず餅」。厳選した小麦デンプンを15カ月にわたって乳酸菌発酵させ、精製し、一つずつ丁寧に蒸し上げることで、ほかにはないぷるぷる、もちもちの食感が楽しめます。職人が手間暇かけて煮上げるとろりと濃厚な黒蜜と、香り高い粗挽きのきな粉をかけて召し上がれ。
※取扱い:日本橋三越本店 本館地下1階 菓遊庵
【わらび餅①】独特の粘りとまろやかな食感が魅力<森八>
わらび粉の独特な粘りと、まろやかな舌触りが特徴の<森八>のわらびもちは、そのままでもほんのりと自然な甘み。別添えの“幻の大豆”といわれる能登大浜産の大豆を使ったきな粉と、沖縄産の黒糖を使った黒蜜をかけていただくと、口溶けのよさがいっそう引き立ちます。
※取扱い:日本橋三越本店 本館地下1階
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【わらび餅②】月に1度の10個限定販売! 本わらびの風味を堪能できる<足立音衛門>
なんと販売は、毎月1日に限定10個のみ! 一度は味わってみたい<足立音衛門>の本わらび餅は、国産の本わらび粉と和三盆を使用し、上品な甘さが堪能できます。本わらび特有のもっちり、ねっとりした食感はクセになること間違いなし。まずはそのまま食べて本わらびの風味を存分に味わってから、別添えの丹波黒豆きな粉をかけるのがおすすめです。
※取扱い:日本橋三越本店 本館地下1階
【くずきり】ツルッとさわやかなのど越しに涼を感じる<森八>
加賀藩御用達の葛として約400年の歴史を誇る「宝達葛」を贅沢に使い、つるんとした喉越しで涼を感じさせてくれる<森八>のくずきり。添付の押し棒でくずきりを押し出す瞬間も楽しく、氷水を入れた器に盛ればいっそう涼やかに! 別添えの沖縄産黒糖を使った黒蜜をたっぷりかけ、甘さとさわやかさの絶妙なバランスを味わって。
※取扱い:日本橋三越本店 本館地下1階
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この夏はくず餅やわらび餅、くずきりにまつわるうんちくも思い出しながら、今だけの特別なおいしさを堪能しましょう!
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、日本橋三越本店 本館地下1階 菓遊庵、和菓子、三越伊勢丹オンラインストアにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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