2023.03.25
【せりのレシピ】根っこまでおいしい! せり鍋・炒め物・サラダのおすすめの食べ方3品
春の七草のひとつとして有名なせり(セリ、芹)。独特の風味とシャキシャキとした食感が特徴の日本原産の野菜です。冬〜春にかけて野菜売り場などで見かける機会も増えますが、いまいち「鍋や七草粥に入れる以外に食べ方がわからない…」という人も多いのでは?
そこで今回は、せりの新たな魅力を感じられる、おすすめ料理をプロに聞きました。「生のまま」「炒める」「煮る」の異なる3つの調理法でせりのさまざまなおいしさを味わえるレシピです。
教えてくれるのは、旬の野菜を使った料理を得意とする、料理研究家の植松良枝さんです。
生のまま食べられる? 根っこも食べられる? せりの特徴と使い方のポイント
●せりの特徴と使い方(調理)のポイント
せりは冬から春にかけて旬を迎える野菜。根付きの露地ものは旬の時期しか出回りませんが、根にスポンジが付いた水耕栽培のものなら、1年中手に入ります。
「せりは炒めても煮てもおいしい野菜ですが、葉や茎は加熱しないで生食することもできます。葉っぱから根まで丸ごと食べられるのも特徴で、『せりは根っこがおいしい』と言う人もいるほど。せりの根っこが入った『せりそば』を提供するお蕎麦屋さんが流行るなど、せりの根っこにはここ数年、熱い視線が集まっています。
私はせり独特の風味が好きなので、露地ものを好んで使いますが、水耕栽培のものは風味が控えめで葉がやわらかく、料理によって使い分けるのがおすすめ。香りが強く、食感もいいので、その個性を活かすことがおいしく食べるためのポイントです」
●せりの保存方法
「風味が落ちやすく、傷みやすい野菜なので、なるべく新鮮なうちに食べきりましょう。購入した当日、もしくはその翌日を目安に使いきります。どうしても食べきれない場合は新聞紙やペーパータオルなどにくるんでからビニール袋に入れて野菜室で保存しましょう」
せりの根っこが食べられるなんて知りませんでした。どうやって下処理をすればいいのか気になります!
【せりの下処理】根は竹串で掃除、葉と茎はさっと水に浸すだけ!
まずはせりの基本の下処理を紹介します。根を食べる場合は、汚れを落とす作業が必要です。竹串でもできますが、より簡単な裏技も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
1. 根の汚れをのぞく
せりは根元を切り落として水を張ったバットに入れ、竹串を2本使って根と根のあいだの汚れをかき出す。太いものは縦半分に切る。
せりの根っこの掃除におすすめ「掃除ブラシ」。すり鉢、おろし金の掃除にも大活躍します!
意外と時間がかかるせりの根っこの下処理を、ぐっと簡単にしてくれるキッチン用品が「掃除ブラシ(スクレーパー)」です。もともとは、すり鉢の目につまったごまやおろし金(おろし器)の目につまったしょうがなどを、簡単に掃除するためのキッチン用品ですが、せりの根っこの掃除にも大活躍! 熊手状のワイヤーが、せりの根と根のあいだに入り込むので、簡単に泥をかき出すことができます。1本あると便利ですよ。
2. せりの葉と茎は水に浸す
ボウルにたっぷりの水を入れ、せりの葉と茎を5分ほど浸すと葉がシャキッとする。ザルにあげてよく水気をきってから料理に使う。
それでは、実際にレシピを見ていきましょう。「生のまま」「炒める」「煮る」の3種類の調理法で作るせりレシピを紹介します。そのうち2つは根っこまで活用するレシピです!
【せりレシピ①:生のまま】「せりと鯛のラープサラダ」せりの風味がエスニックな味付けと相性◎
生食でのせりのおいしさを存分に味わえるレシピ。そのまま刻んでサラダにすることで、独特の風味を爽やかに感じることができます。生の白身魚や柑橘、たっぷりのハーブと一緒に、エスニック風の酸っぱ辛いドレッシングと和えれば、複雑な味わいにハマること間違いなし!
「ラープはラオスやタイの東北部地方で食べられている料理です。東南アジアで使われているようなくせの強い葉野菜は日本ではなかなか手に入りませんが、個性的な香りを持つせりならその代用としてぴったり。くせが強い方が好みの方は露地物を、苦手な方は水耕栽培のものを使うといいですよ。このレシピでは根は使わないので、余った根は鍋や炒め物、かけ蕎麦、かけうどんなどに入れたり、天ぷらやフリットなどの揚げ物にしたりするのがおすすめ」
<材料>(2〜3人分)
- 鯛(刺し身用)…100g ※イサキやスズキなどの白身魚でも可
- A
・レモンの絞り汁…大さじ1
・にんにく(すりおろし)…少々
・塩…少々 - せり…1/2束(約60g)
- あさつき(または万能ねぎ)…3〜4本
- きゅうり…1/2本
- 土佐文旦…1/2個 ※ホワイトグレープフルーツやメロゴールドでも可
- 白すりごま…大さじ1と1/2
- B
・ナンプラー(ヌクマム)…大さじ1
・レモンの絞り汁…大さじ1
・きび砂糖…大さじ1/2
・粉唐辛子(粗挽き)…少々 - ディル、スペアミント…各適量
<作り方>
1. 鯛は柵どりしたもの(刺身用に切ったもの)であれば3〜4等分に、柵ならば1.5cm角に切る。バットに入れ、Aを加えてもみ込み、ラップをかけて冷蔵庫で20分以上冷やしてなじませておく。
2. せりは根元を切り落とし、2〜3cm長さに切る。あさつきは2〜3cm長さに切る。きゅうりは縦半分に切ってから種をスプーンでかき出して除き、3mm幅の斜め薄切りにする。文旦は房から実を取り出して粗くほぐす。
3. ボウルに軽く汁気をきった1、2、すりごまを入れ、さっと合わせたらBを加えて全体を和える。器に盛り、ミント、ディルをちぎりながら散らす。
【せりレシピ②:炒める】「せりと豚肉の辛子醤油炒め」シャキシャキ食感がおいしい!
せりを根っこごと使った炒め物。油で炒めたせりのシャキシャキ食感が味わえます。調味料は醤油と練り辛子だけととてもシンプルなので、思い立ったらすぐに作れるのも嬉しいポイント。しっかりしたパンチのある味付けで、ビールのおつまみにも、ご飯のお供にもなります!
「豚肉は細切りにし、せりと太さをそろえることで、バランスの良い仕上がりに。せりは根と茎、葉の3つの部位に分けて加熱することが調理のポイントです。根っこはしっかり火を通したいので、豚肉と一緒に最初に加えて。茎は調味料を入れるタイミングで、葉はすぐにしんなりしてしまうので最後に加え、余熱で火を通すといいでしょう。辛味は炒めている間に飛びやすいので、よりパンチのある味が好みなら、器に盛ってから練り辛子を追加でトッピングしてもOK!」
<材料>(2人分)
- せり(根付き)…1束(約120g)
- 豚ロース肉(生姜焼き用)…3〜4枚(約120g)
- A
・酒…小さじ2
・片栗粉…小さじ1/2
・塩…少々 - 醤油…大さじ1
- 練り辛子(チューブ)…小さじ1と1/2
- ごま油…大さじ1
<作り方>
1. せりはよく洗ってから葉、茎、根に切り分け、葉と茎は4〜5cm長さに切る。根は太いものは縦半分に切る。
2. 豚肉は5mm幅の細切りにし、ボウルにほぐし入れ、Aを加えてよくもみ込む。
3. 醤油、練り辛子はよく混ぜ合わせておく。
4. フライパンにごま油を入れて中火で熱し、2の豚肉、せりの根を2分ほど炒める。
5. 肉にほぼ火が通ったらせりの茎を加え、3の調味料を回し入れてさっと炒める。
6. せりの茎がややしんなりしたら葉を加え、さっと混ぜたらすぐに火を止める。
【せりレシピ③:煮る】「せり鍋のみぞれ仕立て」根のホクホクとした食感が味わえる!
せりの代表的な料理といえば鍋。根っこが主役とも言われている料理で、宮城のせり鍋や秋田のきりたんぽ鍋などのご当地料理に使われているのが有名ですが、大根おろしを加えてみぞれ仕立てにするのもおすすめです。さっぱりしているので、遅く帰った日の夜ご飯にぴったり!
「今回は比較的手に入りやすい鶏ささみを使いましたが、代わりに牡蠣を入れるのもおすすめです。ささみはあらかじめ片栗粉をもみ込んでおくと、加熱してもパサつかず、しっとりした仕上がりに。せりの根っこは鶏肉と一緒にしっかり煮るとホクホクとした食感や甘み、ほろ苦さが楽しめます。せりの葉はさっと煮汁にくぐらすぐらいが食べ頃。せりの旨みが溶け出した煮汁もとてもおいしく、締めに蕎麦を入れて最後まで味わってみて!」
<材料>(2人分)
- せり(根付き)…1束(約120g)
- 長ねぎ…1/2本
- 鶏ささみ…3〜4本
- A
・酒…小さじ1
・片栗粉…小さじ1
・塩…少々 - だし汁…400ml
- 醤油…大さじ1と1/3
- みりん…大さじ1と1/3
- 大根(すりおろす)…10cm
<作り方>
1. せりはよく洗ってから葉、茎、根に切り分け、葉と茎は4〜5cm長さに切る。根は太いものは縦半分に切る。長ねぎは縦半分に切ってから斜め薄切りにする。
2. ささみは筋をのぞいてから5mm厚さの斜め薄切りにし、ボウルに入れ、Aを加えてよくもみ込む。
3. 鍋にだし汁を入れて中火にかける。煮立ったら醤油、みりんを加える。せりの根、ささみ、大根おろしを加え、再び煮立ったら長ねぎ、せりの茎と葉を加え、さっと煮る。器に盛り、好みで七味唐辛子適量(分量外)をふっていただく。
「生」「炒める」「煮る」と異なる調理法で作る料理は、せりのさまざまな魅力を堪能できます。どれも少ない材料で手軽に作れるメニューばかりなので、旬の新鮮なせりを見つけたら、ぜひ試してみてください!
植松良枝さん
旬の野菜を使った料理を得意とする料理研究家。野菜づくりがライフワークで、季節に寄り添った食と暮らしに関するアイデアを発信している。
さらに国内外を旅し、多くの食文化に触れた経験から生み出される、世界各国のエッセンスを取り入れた料理も人気。『バスクバルレシピブック』(誠文堂新光社)、『春夏秋冬 ふだんのもてなし』(KADOKAWA)など著書多数。
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