食品フロアスタッフが本気で勧める、あの店の「コレおいしい！」#5

日頃、三越伊勢丹の食品フロアで、実際に店頭に立っているスタッフたち。美食の戦場、美味の密林とでもいうべき空間で、お互いに最上の味をお客さまに届けるべく、切磋琢磨を続けています。そんな彼らが、「あえて」他店の商品からオススメしたい「コレおいしい！」を紹介する、この連載。強者は強者を知るように、本当においしいものを知っているのは、彼らなのです。

第5回：仙太郎 伊勢丹新宿本店・佐藤龍治さん

あんこたっぷりの「ご存じ最中」が＜日本橋 千疋屋総本店＞の近藤店長から絶賛を受けた＜仙太郎＞伊勢丹新宿本店。店長の佐藤龍治さんは、新宿店勤務7年になるベテランです。

「これまでにいろいろな店舗を経験してきましたが、伊勢丹新宿店は特にこだわりを持つお客さまが多いと思います。明確な目的を持って訪れ、納得したものを購入していく。なかには『この販売員さんの意見を聞いてから買いたい』と、スタイリストの声を目的にする方もいます。そんな環境ですので、私たちも型通りの接客ではなく、自分たちの言葉で、本当に感じたことを届ける商品説明を心がけています」

厳選素材にこだわった和菓子のショーケースは、きらびやかな食品フロアの中では落ち着いた雰囲気ですが、商品一つひとつから佐藤さんの誠実な人柄がにじみ出ているようで、とってもおいしそう。1日中常に行列が絶えないのも納得です。飾りすぎず、高価すぎず、味は一流。今回は、まさに＜仙太郎＞の和菓子のような、「日常の中の贅沢」を楽しめる3品を推薦してもらいました。

佐藤さんのおすすめ①：
家族をつなぐ、日本茶テロワール「静岡川根茶『雪』」

佐藤さんが勧める1品目は、静岡県の歴史ある茶処・川根で採れた銘茶です。

「豊かな香りと渋み、甘みの良さは感動を覚えるほど。同じ価格帯のお茶もいろいろ試してきたのですが、これは別格ですね。実は、僕以上に田舎の父親が気に入っているんですよ。たまに孫の顔を見に東京へやってくるのですが、それに合わせてこのお茶を買っています」と語る佐藤さん。

聞けば、この商品を紹介してくれたのは、日本茶テロワールの店長さんだそう。家族の団らんを1ランク豊かにする「出合い」をくれた接客に、佐藤さんは同じスタイリストとして感銘を受けたといいます。

「商品の質がいいのはもちろん、心のこもった説明。なによりお店全体に信用して購入できる雰囲気もある。店頭に立つ人間としていい刺激になっています」

佐藤さんのおすすめ②：
おかわり必至！ 穂の香「たっぷりゆかりと梅ひじき」

続いては、魚沼産コシヒカリのおにぎりを紹介。

「僕は新潟の魚沼で生まれ育ったので、子どもの頃からおいしいおにぎりが大好物なんです。この商品はゆかりとひじきがたっぷり入っていて、何個でもおかわりしたくなりますね。お弁当を持ってきていない日のお昼などに、よく楽しんでいます」

一生懸命に仕事をがんばっている日のちょっとした休憩時間、懐かしいおにぎりの味が佐藤さんを元気づけてくれるそうです。

「僕にとっては、体に馴染んだなつかしい味。食べるときは、気取らずにパクッと頬張るのがオススメ」

これが、佐藤さん流のおいしい食べ方です。

佐藤さんのおすすめ③：
ピリッと旨いお父さんのご褒美、ワールドミートバル ニッシン「ビーフパストラミ（シュゼットタイプ）」

最後は、佐藤さんが伊勢丹新宿店の食品フロアで思わず目を奪われた逸品。

「お店の前で見るたびに『おいしそうだな〜』と思っていたもの。閉店間際、お客さまが帰られた後に商品が残っていると、ついつい買ってしまいます。自分のためのお楽しみですね」

仕事で帰りが遅い佐藤さんは、家族が寝静まった後にひとりで夕食をとることも珍しくありません。そんな時、1日がんばったお父さんを応援するちょっと贅沢なエールが、このビーフパストラミなのです。

「ピリッと効いた黒コショウがいいですよね。自宅でつまんでいるひと時が一番リラックスできます。お店のメンバーに差し入れたこともありますが、とても好評でしたよ」

ベテランスタイリストとしての時間も、ひとりの父としての時間も、ちょっとした贅沢があるからがんばれる。佐藤さんを支える「日々のなかの贅沢」をぜひお試しください。

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