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2021.05.02

【素材別にプロが解説】料理に合わせた鍋の選び方。ステンレス、ホーロー、アルミ、鉄…徹底比較

鍋の集合のイメージ

現在、お使いの「鍋」に満足していますか? 調理器具のなかでもフライパンに続いて、使用頻度の高い「鍋」。毎日のように使うものだから使いやすさにはこだわりたいけれど、「ゆでたり煮たりできれば、どれでも同じでは?」と思っていたら大間違いです!

「鍋を選ぶときにまず注目したいのは、鍋に使われている『素材』。例えば、ステンレス、鉄、アルミ、ホーロー、銅、土などがあり、それぞれ素材の特徴(メリット、デメリット)を知ることで、その鍋がどんな料理に向いているかがわかります」

そう話すのは、キッチン用品専門店<フライングソーサー>の代表取締役社長・清水三樹さん。

<フライングソーサー>は、料理研究家やフードスタイリストなど料理のプロたちが厚い信頼を寄せる、知る人ぞ知る、キッチン用品のプロ! 国内外のさまざまな優れたブランドを集めつつ、自社開発まで行っています。

その清水さん曰く、「鍋の素材を理解して選べば、毎日の食事作りがより楽しくなり、料理の腕前も上がりますよ」とのこと。

そこで今回、清水さんに鍋の素材に注目した、「鍋の選び方」を教えてもらいました。

※今回ご紹介するお品物はフライングソーサー中野本店に全てお取り扱いがございます。

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ひと目でわかる一覧表! 鍋の素材別の特徴

鍋の素材別に熱伝導性(熱の伝わりやすさ)、保温性(熱の冷めにくさ、蓄熱性とも)、扱いやすさを一覧表に5つ星評価でまとめました。あなたにとって、いちばん効率よく使える鍋はどれでしょう?

※スマホの場合、表を右へスクロールするとすべて表示されます

素材 熱伝導性 保温性 扱いやすさ
アルミ ★★★★ ★★ ★★★★★
ステンレス ★★ ★★★★ ★★★★★
ホーロー
(薄く軽い)
★★★★ ★★ ★★★★★
鋳物ホーロー
(ぶ厚く重い)
★★ ★★★★ ★★★★★
★★ ★★★★ ★★
★★★★ ★★★★ ★★
★★★★★ ★★★★★ ★★

では、ひとつずつ素材ごとに詳しく解説していきます!

【アルミ鍋】熱伝導性が高く、軽くて使い勝手抜群! 温野菜、みそ汁など日常使いに

「アルミ鍋は食材に熱が伝わりやすいため、時短調理できるというメリットがあります。軽くて使い勝手がよく、後片付けも中性洗剤で洗うだけと簡単! 野菜をゆでたり、みそ汁を作ったりと、毎日の食事作りに欠かせない鍋です」(清水さん)

アルミ鍋は飲食店のキッチンでもよく使われていて、和食店の雪平鍋、ラーメン店の寸胴鍋、イタリアンのフライパンなどは、すべてアルミ製。そこからも使い勝手の良さがわかります。

「ただし、アルミ鍋は酸やアルカリに弱いので、料理を長時間入れて煮込んだり、保存したりするのには適していません。また、油が馴染みにくいので、炒め物などをするときは焦げ付きやすいというデメリットも。でも、油を引いてしっかり鍋を熱してから食材を入れれば、焦げ付きにくくなります」(清水さん)

キッチン用品のプロがおすすめするアルミ鍋

段付き鍋とうどんすき鍋の写真

左<鍛金工房WESTSIDE33>京都の名工 寺地茂 作 アルミ 段付き鍋 鎚目打出(約17 ×10.5㎝)23,100円(税込)、右<鍛金工房WESTSIDE33>京都の名工 寺地茂 作 アルミ うどんすき鍋(約24×17.5㎝)13,200円(税込)

清水さんのおすすめは<鍛金工房WESTSIDE33>のアルミ鍋。昔ながらの製法で職人が1点ずつ槌目を付けて手作りしているので、ひとつとして同じものはなく、まるでアート作品のよう。熱が均等に伝わるので使い勝手もよく、煮炊きに最適な鍋です。

【ステンレス鍋】保温性が高いので、煮込み料理に。さびにくく、丈夫なので長く使える

「ステンレスは、鉄を主成分としてクロムなどを混ぜた合金素材のこと。メリットはさびにくく、丈夫なので、長く使うことができること。一度温まると熱が逃げにくいので、高い温度をキープする煮込み料理などに適しています」(清水さん)

さらに、アルミ鍋と違って、酸性やアルカリ性に強いため、素材が溶ける心配もなく、料理を作ってそのまま保温することができます。

「ステンレス鍋のデメリットは、熱伝導率が低いため、鍋全体が温まるまで時間がかかり、光熱費がかさむ点。しかし、ステンレス単体ではなく、熱伝導率の高いアルミと保温性の高いステンレスを合わせた多層構造の鍋は、熱しやすく冷めにくく、どんな料理にも対応する万能鍋です」(清水さん)

キッチン用品のプロがおすすめする「ステンレス鍋」

両手鍋と片手鍋の比較写真

<フライングソーサー>オリジナル 3層鋼(アルミ)クラッド 両手鍋 18㎝ IH対応(約19.4×9×26㎝)15,400円(税込)、右<フライングソーサー>オリジナル 3層鋼(アルミ)クラッド 片手鍋 15㎝ IH対応(約16×7.5×30.5㎝)13,200円(税込)

アルミを2種類のステンレスで挟んだ3層鋼アルミクラッド材を鍋の形にプレスして作られたのが<フライングソーサー>の鍋。鍋全体に熱が伝わりやすく、一度温まるとなかなか熱が冷めません。

三越伊勢丹オンラインストアで「3層鋼アルミクラッド 両手鍋」をみる>>

【ホーロー鍋】酸やアルカリに強く、汚れがつきにくい! 2タイプあり、鋳物ホーローは煮込み料理に最適

「ホーロー鍋は、一般的に鉄にガラス質の釉薬を塗った鍋のこと。メリットは、酸やアルカリに強いということです。また、意外と知られていませんが、ホーロー鍋には以下の作り方が違う2つのタイプがあり、特徴も異なります」

①軽い素材のホーロー鍋(アルミなど。富士ホーロー、野田琺瑯、DANSKなど)

「鉄などを板状にしたものを成形して、ガラス質の釉薬でコーディングして作るため、薄く軽い。アルミ鍋と同じく、熱しやすく冷めやすいのが特徴です」

②重い素材を使った鋳物(いもの)ホーロー鍋(ストウブ、ル・クルーゼ、バーミキュラなど)

「鍋の型に鉄を溶かして鋳型に流し込んで作った鍋を、ガラス質の釉薬でコーティングして作るため、ぶ厚く重い。鍋全体に熱が回るまで時間がかかりますが、一度、熱くなると冷めにくいのが特徴で、煮込み料理などに向いています」

ホーロー鍋のデメリットは、衝撃に弱く、ヒビが入ったら、その部分からサビが発生しやすいこと。落としたりしないように慎重に扱いましょう!

キッチン用品のプロがおすすめする「ホーロー鍋」

ストウブ ラ・ココットde GOHANとミルクパンの写真

<ストウブ>ラ・ココットde GOHAN M 23,100円(税込)、右<富士ホーロー>ミルクパン14㎝(約26.5×15.5×7.5㎝)2,750円(税込)

<ストウブ>は、鋳鉄にガラス質の釉薬を塗った鋳物ホーロー鍋。写真のアイテムは、さまざまな料理に使用できるのはもちろん、炊飯時の対流を考慮したフォルムで、熱をむらなく全体に回し、お米を一気に炊きあげることが可能です。<富士ホーロー>は、鉄にガラス質の釉薬を塗ったホーロー鍋。シンプルなデザインと、使いやすいサイズ感もうれしい逸品です。

三越伊勢丹オンラインストアで「<ストウブ>ラ・ココットde GOHAN」をみる>>

【土鍋】育てて使う楽しみがある鍋。炊飯がおいしくスピーディー! 保温性が高いので予熱調理もできる

「土鍋は熱伝導率が低いというデメリットがありますが、逆に考えると食材にじっくり熱が伝わっておいしさを引き出すというメリットでもあります。保温性にも優れているため、おでんやおかゆなど、長時間煮込む調理にぴったり。また、油を引いて使えば、すき焼きやローストビーフなどもおいしく作れ、ごはんも炊飯器で炊くよりスピーディー、かつふっくら炊き上がります」(清水さん)

土鍋は多くの小さい穴があるため、初めて使うときにおかゆを炊いて、糊状のおかゆで小さい穴を埋める「目止め」という作業を行う必要があります。いざ料理に使い始めても、土鍋は衝撃や温度差に弱いため、取り扱いは慎重に。土鍋は手間がかかる分、育てて使う楽しみがあり、使うほどに愛着がわく鍋です。

キッチン用品のプロがおすすめする「土鍋」

織部ごはん窯と黒鍋の写真

左<土楽>織部ごはん窯(木蓋付)2合5寸(約16.5×15㎝)8,800円(税込)、右<土楽>口付 黒鍋 9寸(約28×15.5㎝)16,500円(税込)

どちらも三重県伊賀市の土にこだわった<土楽>の土鍋。ひとつずつ丁寧に手作りされ、高温でしっかり焼かれているため、そのきれいな焼き色に料理も美しく映えること間違いなしです。

【鉄鍋】強火に強く耐久性あり! 均一に熱が伝わるので煮込み料理や炊飯などに

鉄鍋は鉄鋳物鍋ともいわれ、鉄を溶かして鋳型に流し込んで作る鍋のこと。例えば、炊飯釜やすき焼き鍋、最近キャンプで人気のダッチオーブン、スキレットなど、さまざまな種類があります。鉄鍋は熱伝導率が高いので、短時間で食材の旨みを凝縮でき、また強火で使い続けることもできるので、チャーハンなどもパラパラに仕上がります」(清水さん)

調理時に食材に鉄分が付着するため、鉄分を効率的に補給できるのも魅力なのだとか。一方、デメリットは手入れが面倒なことにあります。

「新品の鉄鍋は流通段階でのサビ防止のためにクリアラッカーなどが塗装されています。これを空焼きして焼き切る必要があります。その後、油を塗って焼いて油膜を作ります。使ったらすぐに洗って水気をふかないとサビついてしまいますが、正しく手入れすれば、末長く使える鍋です」(清水さん)

キッチン用品のプロがおすすめする「鉄鍋」

鉄鍋のイメージ

<OIGEN>クックトップ丸深型 中(約直径19.8×H8.7cm)※参考商品(写真はWEB FOODIE編集部の私物のため使用感があります)

南部鉄器で有名な岩手県奥州市、南部盛栄堂の厚手の両手鍋。シンプルでありながら温かみを感じるデザインは、使い勝手がよく人気があります。蒸気孔付きの鉄蓋が対流熱と食材の旨味を閉じ込めます。

【銅鍋】熱伝導が高くプロに愛用者が多数。ジャムやあんこなどが艶やかに作れる

「鍋に使われる素材の中で、もっとも熱伝導率と蓄熱性が高く、食材にムラなく均等に熱が伝わるのが銅。特に煮込み料理は、温度が均等に鍋全体に広がるため、食材のおいしさを最大限に引き出します。また、あんこやジャムを銅鍋で作ると、なめらかで艶やかな仕上がりになりますよ」(清水さん)

フレンチ、和菓子、洋菓子など、プロの料理人の多くが銅鍋を使用しているので、料理の味を引き上げるのに最適といえそうです。ただしちょっとお値段が高いのと、手入れに手間がかかるので、一般的には上級者に好まれます。

「銅は酸や塩素に弱いため、長時間料理を入れておくと味や色が変化することがあるので、調理後は早めに別容器に移しましょう。手間を惜しまなければ長く使えますよ」(清水さん)

キッチン用品のプロがおすすめする「銅鍋」

平鍋とオーバル鍋の写真

左<鍛金工房WESTSIDE33>京都の名工 寺地茂 作 銅 平鍋(約21×6.8㎝)56,100円(税込)、右<鍛金工房WESTSIDE33>京都の名工 寺地茂 作 銅 オーバル鍋 浅型(約23×17×7.5㎝)60,500円(税込)

銅は手入れが難しく、濡れたまま放置しておくと、緑青(銅のサビ)が生じます。<鍛金工房WESTSIDE33>の銅鍋は、手入れがしやすいように、内側に錫(すず)が引いてあり、緑青が生じにくくなっているので一般家庭でも扱いやすいです。
※この鍋は内側に錫コーティングされているので、空焼きは必要ありません。

いかがでしたか? 「鍋の種類によって、こんなにも違いがあるのか!」と驚いた方も多いのでは? 用途によって使い分ければ、いつもの料理が効率よく、おいしさも格上げされそうです。ぜひ購入や買い替えの参考にしてみてください。

※今回ご紹介したお品物は、フライングソーサー中野本店で全てお取り扱いがございます。

三越伊勢丹の鍋一覧はこちら>>

清水三樹さんフライングソーサー 清水三樹さん

優れた機能性とデザイン性を兼ね備えた国内外のキッチン用品を販売する「フライングソーサー」の代表取締役社長。プロの厨房設備や業務用食器の販売に50年以上関わってきた経験を生かし、2001年からはオリジナルの商品開発をスタート。東京中野区にある本店には、備え付けのキッチンがあり、キッチン用品の使いこなし方などを教えるデモンストレーションを不定期に行っています。詳しくはHP参照。

撮影:矢野宗利
文:白鳥紀久子

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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