2015.06.18
ふわっと香ばしい! 震災から復活した、手焼き「笹かまぼこ」の本気を味わう
日本人なら誰もが知る、魚肉を原料とした練り製品「かまぼこ」。かまぼこといえば、板に魚のすり身を盛りつけて蒸し上げた、「板付けかまぼこ」を思い浮かべる方が多いでしょう。
でも、宮城県でかまぼこといえば、「笹かまぼこ」がポピュラー。仙台土産としても人気の品ですよね。この笹かまぼこ、板付けかまぼこと形が違うだけでなく、さまざまな魅力を秘めているようです。
今回は、宮城県塩釜市で手焼き笹かまぼこを製造する「橋本蒲鉾店」の代表・松本幸成さんに、その特徴や魅力をうかがいました。
蒸しではなく、焼きで生まれる「笹かまぼこ」の食感
その名の通り、笹の葉のような形をした笹かまぼこ。名前の由来を松本さんに尋ねると、「旧仙台藩主・伊達家の紋章『竹に雀』にちなんで名付けられたと伝え聞いています」と教えてくれました。さらに、笹かまぼこは製造方法にも特徴が。
「全国的に見て、かまぼこといえば蒸したものが多いのですが、宮城の笹かまぼこは串に魚のすり身を成形して直火で焼き上げます。じっくりと均一に火を通すことで、笹かまぼこの独特の弾力が生まれるんです」
橋本蒲鉾は、あえて手作業。だから生まれる肉厚さ
直火で焼き上げるのが特徴の笹かまぼこですが、近年は機械で製造している店舗が大半を占めるなかで、「橋本蒲鉾店」は、職人による手作業を貫いています。
加えて、使用する材料にもこだわりが。魚のすり身はスケソウダラ100%。しかも、500~600gの重さのスケソウダラを厳選し、捕れたてを洋上で冷凍すり身にしたものだけを使用しているのだそう。
これを1時間ほど石臼で練って、できたすり身を職人たちが手で成形し、まるで焼き鳥を焼くかのように手で串を返してじっくりと焼き上げます。
「私たちの笹かまぼこは、かなり肉厚です。火を通すのに時間がかかるため1日1,000本ほどしか製造できませんが、人の手だからこそ出せる風合いと味を守るため、手作業を身上としています」
東日本大震災後も、周囲の声に支えられ営業再開
橋本蒲鉾店は戦後すぐに創業した老舗。もとは夫妻が2人で営む小さな蒲鉾店でしたが、後継者不足で廃業の危機を迎えました。
しかし、2009年10月、縁があって現代表の松本さんが店を受け継ぐことに。これまでの素朴な手法を守り、石巻市で蒲鉾店を再開させました。
ところが、2011年3月、東日本大震災で橋本蒲鉾店も津波に流されてしまいます。何もかもをなくした松本さんは「蒲鉾店をやめてしまおうかという気持ちになった」と言います。
「それでも、従業員にケガ人が出なかったことは不幸中の幸い。また、周りに橋本蒲鉾店の味を支持してくれる方がいたことが原動力になりました」
そして同年の11月に新たな地、塩釜市で営業を再開。「できたての味を食べてほしい」と、工場併設のイートインコーナーもオープンさせ、地元はもとより、遠方のファンも獲得しています。
笹かまぼこのおいしい食べ方は?
橋本蒲鉾店の笹かまぼこは、塩分や糖分をギリギリまで抑えているのも特徴です。
「最初のひと口は薄味に感じる方もいるかもしれませんが、噛むほどに魚の風味が広がるのがうちの笹かまぼこ。手焼きだからこそ引き出される味わいなんです」
そんな笹かまぼこのおいしい食べ方を尋ねてみました。
「そのままで食べていただくのもいいですが、電子レンジなどで温めてみてください。食感がふわっと柔らかくなり、焼きたてのような香ばしさも引き出されますよ。地元の方たちは、焼き魚を食べるような感覚でご飯と一緒に味わっています」
橋本蒲鉾店の笹かまぼこは、6月17日(水)~6月23日(火)の期間限定で伊勢丹新宿店フードコレクションに出店されます。この機会に、松本さんや職人たちの思いが詰まった手焼き笹かまぼこを味わってみてください。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、6月17日(水)~6月23日(火)の期間限定で、伊勢丹新宿店本館地下1階=フードコレクションにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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