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2015.06.03

お父さんの好きなもの。男の偏愛食サミット/橋本幹造氏×マッキー牧元氏×浦風冨道氏

お父さんの好きなもの。男の偏愛食サミット【橋本幹造氏×マッキー牧元氏×浦風冨道氏】_01

「お父さんの好きなもの」といっても、その実態は十人十色。来たる父の日を前に、今一度お父さんの好物に目を向けてみませんか。

今回は<日本料理 一凛>をお借りし、食に造詣の深い3人の男性に、各々が偏愛する食べものについて伺いました。個性豊かな偏愛食を通じて、食の嗜好の多彩さと奥深さに迫ります。

伊勢丹新宿店食品フロアで発行している食カタログ『FOODIE』の同名記事を補完する形で、ボリュームアップしてお届けします。

【登場人物プロフィール】

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橋本幹造氏

ミシュラン二ツ星の日本料理店<日本料理 一凛>の料理長。京都と東京の名店にて経験を積み、赤坂の京料理店で料理長を務めた後、独立。

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マッキー牧元氏

タベアルキスト。『味の手帖』編集顧問。立ち食い蕎麦から割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで日々幅広く飲み食べ歩く。

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浦風冨道氏

元西前頭筆頭・敷島。現在は陸奥部屋で後進の育成にあたりながら、日本相撲協会にて審判を務める。さらにDJとしても活躍中。

とんかつは、ちゃんと肉を味わいたい

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<まい泉>甘い誘惑ロースカツ(1枚)【各日10点限り】1,188円 ■旨の膳

――まずは、マッキーさん。偏愛食はとんかつだそうですが、どんなところにぐっとくるんですか?

マッキー牧元(以下、マッキー) 東京でも60何軒も行きましたが、とんかつは衣と肉のバランスが良い、一体感のあるものが好きですね。あと、とんかつ定食は「和定食」なので、ご飯やお味噌汁、お新香までちゃんとしていること、投げやりじゃないってことがポイントかな。

浦風冨道(以下、浦風) ソースをかける、かけないってところは、どうですか?

マッキー そこを話出すと長いですよ(笑) 昔は、普通にソースをかけることが、当たり前でした。でも、あるとき、最初にソースを全部にかけちゃうと、食べ終わりが近づくにしたがって、衣がしなしなになることに気づいたんですよ。それで、ひと切れずつに、ソースをかけるように。

浦風 あー、都度都度ね。

マッキー ただ、とんかつって、うまくできている料理なんですよね。衣にソースをかければ、どんなものでも、それなりにおいしく感じられるっていう。そこで、「ちゃんと肉を味わいたい」と思うようになって、塩で食べるようになったんです。

ずっと端っこが続くとんかつがあったら

浦風 じゃあ、ソースをかけるのは邪道?

マッキー いや、邪道ではないですよ。だって、ソースをかけると、ご飯に弾みが出て……。

浦風 「弾みが出る」(笑)

マッキー 良い肉はやっぱソースに負けないですからね。

浦風 とんかつといえば私は以前、端っこの脂身のあるところだけが食べたくて、豚バラでカツを作ったことがあります。

マッキー 鹿児島に行くと豚バラのカツ「バラカツ」がメニューとしてありますね。それがねえ、またおいしいんですよ。

浦風 もう、うっとりしますよね。ずっと端っこが続くんですよ?

マッキー うん、うっとりする。

 

おいしいポテトサラダの黄金比率

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<柿安ダイニング>クリームチーズと男爵ポテトのホワイトサラダ(100g)324円 ■旨の膳

――ちなみに、本日は<柿安ダイニング>の新作ポテトサラダもお持ちしました。マッキーさんは、とんかつ同様にポテサラにも偏愛があるそうですね。お気に召すかどうか……?

マッキー 僕はポテサラと名がつくものは、ダメ出し一切しないですから。

浦風 おおー、偏愛ではなく、博愛。

マッキー 私はポテサラ学会の会長ですから。(註:<柿安ダイニング>のポテサラを食べて)うん、これもおいしい。クリームチーズとカッテージチーズが乗ってて、いいですね。ソースをかけずに、そのまま味わいたいポテサラだ。

――会長にそういっていただけると幸いです。

マッキー ポテトサラダは、以前はこんなにバリエーションがなかったんですよ。使うポテトは大抵男爵イモだし、そこに入れるのも玉ネギ、にんじん、きゅうり、ハムくらい。その中でポテトの潰し方ひとつでも店ごとに微妙な違いがあるのがおもしろいなと思って、いろいろ研究したんですよね。

――どんな潰れ具合が、お好みなんですか?

マッキー 固形と潰れたものの比率が、6:4から7:3ぐらいが良いですね。固形に潰れたものが、こう寄りかかっている感じ。それがいちばん良いですね。

自分のためだけにつくる、卵かけごはん

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(写真左)<田子たまご村>緑の一番星(6個入り/1パック)648円、(写真右)昔の味たまご(6個入り/1パック)335円
ともに■シェフズセレクション

(註:ここでカウンターの奥で準備をしていた橋本料理長登場)

――橋本さんの偏愛食は、卵かけご飯だそうですね。

橋本幹造(以下、橋本) ええ、そうです。僕は料理人なので人に作るのは大好きなんですけど、自分にはあんまり作らない。でも、自分が朝に食べるこの卵かけご飯だけは、どうしても譲れないんです。

マッキー 橋本さん、朝しか食べないそうですね。

浦風 え、一日一食なんですか? うわー……あとは、味見だけですか?

橋本 ええ、味見だけ……さて、そろそろご飯が炊けますんで。

マッキー 待ってました。

橋本 今日は3種類の卵かけご飯を食べていただきます。まずは、多くの料理人から支持されるという、茶色の「昔の味たまご」(上写真右)。そのあとで、「卵かけご飯専用」といわれる「緑の一番星」(上写真左)を召し上がっていただきましょう。

卵の種類で、こんなに印象が違うなんて

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左のお椀は浦風さん、右のお椀はマッキーさん。

マッキー 最初は「昔の味たまご」ですか。初めて食べる卵だから、僕は味見する感じで……(上写真右/註:お茶碗の中でご飯を境に黄身と白身を分け、調味料は何もかけずに試食スタート)。

浦風 かたや私はどろっと……(上写真左/註:卵を軽く混ぜ、ご飯にかけて試食)。あ、甘い。甘いですね!

マッキー これ余分な香りがなくてすっきりしているので、すごくおいしい。

橋本 では、第2弾は「緑の一番星」の卵かけご飯を。

マッキー これ、殻が少し青みがかっていますね。

浦風 (註:卵を割って、かき混ぜながら)うわ、この卵、白身自体がしっかりしてる。黄身もえらいクリーミーで。

マッキー さっきの「昔の味たまご」と全然違いますね。「緑の一番星」は、これだけで完成している感じ。

橋本 「緑の一番星」は「料理人いらず」という印象ですね。「卵かけご飯専用」というキャッチコピーもうなずけます。逆に「昔の味たまご」はピュアな感じがするというか……。

マッキー 「俺色に染めたい」っていう(笑)

――エロいですね(笑)

橋本料理長、卵かけご飯で本領発揮

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「昔の味たまご」を使って、橋本料理長が調理した卵かけご飯。

――そこで、最後は橋本さんが手を加えた、卵かけご飯?

橋本 はい。「昔の味たまご」を使って僕が発展させた卵かけご飯です。

浦風 これは醤油漬けですか?

マッキー 泡立てた白身に、黄身の醤油漬け(註:醤油と煮切り酒を3対1の割合で混ぜたところに、黄身を一晩漬け込んだもの。漬けた後の醤油ダレも、料理の仕上げにかけたり刺身につけたりとさまざまに活用できる)がのせてあるんですね。いや、すごいですね。

橋本 これは、黄身と白身をあんまり混ぜずにめしあがってください。

マッキー ……すばらしいですね。卵かけご飯に醤油をかけると普通はどうしても「かけた感」が残るんです。でもこれはちゃんと黄身と醤油が馴染んでる。

浦風 ご飯にかけずにこれだけでもいけそう。

マッキー そうそう。そして、白身はすごくエアリーで、黄身の濃厚さとの対比がたまらない。両者の間をひと口ごとに行ったり来たりするので、もうどうしようっていう……(笑)

浦風 お酒のアテになるくらい旨味がありますね。お酒がぐいぐい進んで、大変なことになりそうです。

師匠がつくる、ねっとりした塩辛

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<魚勢>武輪水産いか塩辛(180g)864円 ■フレッシュマーケット

――浦風さんの偏愛食は塩辛だそうですね?

浦風 私の塩辛の原体験は、師匠(立田川親方・元青ノ里)の味なんです。相撲部屋で師匠自らイカを干して塩辛を作っていて。塩だけで仕込んだイカの塩辛をその当時初めて食べたんですけど、どうして塩だけでこんなに深みや甘みが出るんだろうって驚くくらい。

マッキー おいしそうだね、それ。

浦風 で、やっぱり、私もマネして作るんですけど、水分がちょっと多いんですよね。なかなか師匠の塩辛の味を再現できない。

――ねっとりしてたんですね。

浦風 そうなんです。地方に行ったらスーパーでも買ったりしますが。だから塩辛と言えば私の中では師匠のねっとりした塩辛が最高。ああまた、この話だけでもお酒が飲めそう(笑)

デザートは「きれいに、美しく」食べよう

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<ノワ・ドゥ・ブール>シュークリーム 378円 ■カフェ エ シュクレ

橋本 じゃあデザートにいきますか。僕は普段あまり甘いものを食べないんですけど、このシュークリームは別。伊勢丹で<ノワ・ドゥ・ブール>の前を通るとつい買っちゃうんですよ(笑)。しかもこだわりの食べ方があるんです。

マッキー 茶道のお作法みたいなものですか?

橋本 そういうことではないんです。僕、意外とこんな顔をしているんですけど、鼻の下にクリームがつくのは嫌いなんですよ(笑)

浦風 きれいに、美しく。ということですね。

動画で見せたい、必殺「回し食べ」

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スプーンを使って、きれいに、美しく食べましょう。

橋本 ここのシュー皮は堅めで気泡もキレイなんですよ。では、まず、上のシュー皮を裏返して、内側にスプーンでクリームをのせます。このときカスタードと生クリームの比率は変えないこと。ほんで皮を半円状に折って味わいます。

マッキー これ、きれいにクリームがのりますね。うん、うまい。

橋本 そのあと残りのクリームをスプーンで均等にならしたら、常に皮から食べるように、くるくる回しながらかじります。

マッキー 回し食べですね。なるほど。

浦風 おおー、これ動画でほしいな、このシーン。

橋本 こうして回し食べをしている間は、ひたすら無心になれるんですよ。仕上げにスプーンについたクリームをぺろりと舐めておしまいです(笑)

マッキー 無心になるっていうのがすごい。もう何だかシュークリームと恋を語り合っているみたいですね(笑)

文: 長田真

 

※「FOODIE」2015年6月号掲載の再編集記事です。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=旨の膳/まい泉、柿安ダイニング、シェフズセレクション、フレッシュマーケット、カフェ エ シュクレ/ノワ・ドゥ・ブールにてお取り扱いがございます。

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