聞いたことはあるけど、実は知らない……「ひやおろし」ってどんな日本酒？

よく耳にする「ひやおろし」。どんな日本酒かご存知ですか？ 改めておさらいすると、ひやおろしとは、蔵でひと夏過ごしてまろやかになった日本酒のこと。秋の味覚を使った料理との相性もピッタリで、季節を感じるお酒として人気です。今回はそんな「ひやおろし」の基本とその魅力、ビギナーにもおすすめの5本を伊勢丹新宿店の和酒担当・倉友桐さんに教えてもらいました。

「冬から春先に仕込んだお酒を蔵でひと夏過ごさせ、蔵の温度と外の温度が同じくらいになってきた頃にリリースするお酒のこと。夏を越すことで熟成が進むので、角が取れ、口当たりもまろやかで飲みやすくなります」

ひやおろし＝「ひや」で「卸（おろ）す」日本酒のこと

日本酒は、かつて大桶から樽に「卸（おろ）して」出荷されていました。ひやおろしは、2度目の火入れ（加熱殺菌）をしない「ひや」で出荷されたことから、その呼び名が付いたとされています。

「一番の魅力はなんといっても秋の味覚と合うこと！ うまみもたっぷりあるので、脂がのったさんまや香り高いきのこなど、豊かな秋のごちそうを引き立ててくれますよ。ひやおろしは早ければ8月から登場します。まだまだ暑い日も続く8、9月ですが、少し冷やしたひやおろしと秋の味覚で一足早い秋気分を味わってください」。

8月から11月頃まで次々にリリースされるひやおろし。時期が遅くなるほど熟成が進むので、味わいの印象が変わっていくのも旬を楽しむ醍醐味です。

その年一番の美味しさをお届け＜南部美人＞南部美人　純米吟醸　ひやおろし　生詰原酒

海外での知名度も高く「サザンビューティー」の名称で広く親しまれている南部美人。その酒蔵は岩手県と青森県の県境に位置する二戸市(にのへし)にあり、豊かな自然の中ですっきりときれいな酒造りを目指しています。「純米吟醸　ひやおろし　生詰原酒」は、その年にできた吟醸酒の中から、一番評価の良かった純米吟醸だけを使ったとっておき。深いコクと熟成からくるまろやかさがありながら、すっきりときれいな飲みごこちです。

※取扱い：伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア

フルーティでやわらかい味わい＜桝田酒造店＞ 満寿泉　Limited Edition　純米吟醸　ひやおろし

吟醸酒ブームのずっと前から吟醸酒にこだわり、吟醸の礎を築いたと言われる＜桝田酒造店＞。吟醸酒に代表されるエレガントな日本酒造りを得意としています。その高い技術力を駆使して仕込み、人気を呼んでいるのが「満寿泉 Limited Edition 純米吟醸 ひやおろし」。それをひと夏蔵で貯蔵してひやおろしにしました。山田錦が持つキリッとした酸味や穏やかな旨みがグンとボリュームアップ。バランスが良くのびやかなひやおろしです。

※取扱い：伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア

米から手作りした＜泉橋酒造＞いづみ橋　秋とんぼ　生酛純米　雄町

丹沢山系の伏流水に恵まれた神奈川県海老名市に蔵を構える＜泉橋酒造＞は、全国でも珍しい栽培醸造蔵。自社で酒米の栽培から精米、醸造まで一貫して取り組んでいます。「いづみ橋　秋とんぼ　山廃純米　雄町」のラベルは秋に田んぼを舞う赤とんぼがモチーフ。自社の田圃で栽培した雄町を使い、生酛造りのしっかりした日本酒に仕上がっています。芳醇な秋の味覚とぴったり寄り添う雄町のふくよかさが特徴です。

※取扱い：伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア

香りふくよか、飲み心地まろやか＜永井酒造＞水芭蕉 純米吟醸 ひやおろし

尾瀬の大地でゆっくりとろ過された名水で日本酒を仕込む＜永井酒造＞。「水芭蕉 純米吟醸 ひやおろし」は、山田錦の全国一の生産地・兵庫県三木市の契約農家で育てた米にこだわっています。米のうまみをしっかりと感じさせますが、なめらかな舌ざわりでキレが良くあと口はスッキリ。やさしい香りの中に丸みを帯びた味わいがあり、冷やしてワイングラスで楽しむのもおすすめです。

※取扱い：伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア

特A地区の山田錦を味わう。＜本田商店＞ 龍力 純米吟醸 山田錦 ひやおろし

山田錦の発祥の地、兵庫県の山田錦米にとことんこだわって造られている「龍力」。なかでも「純米吟醸 」はフルーティさ、華やかさを特に意識して造られた1本。龍力本来の旨みやまろやかさなどの味わいが、ひやおろしの時期を迎えることでさらに乗ったひと品です。

※取扱い：伊勢丹新宿店、伊勢丹オンラインストア

秋の訪れを感じさせる美味しい食材と、まろやかな味わいに仕上がったひやおろしで、食卓から始まる日本の秋を満喫してください。

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