2015.04.30
初鰹(初がつお)の雑学。江戸っ子の粋な食べ方、現在の食べ方を歴史を比較!
江戸時代、初物を熱狂的に好んだ江戸の人々にとって、旬の鰹は別格も別格。江戸八百八町では毎年、誰が「初鰹」を買うか興味津々で、それを食することが江戸っ子の粋の証でもありました。
春から初夏にかけ、黒潮にのって太平洋岸を北上する鰹は、脂身が少なくさっぱりとした味が美味。旬の味覚だからこそ、薬味をいっぱいのせてこの時期の味を食べなきゃソンというものです。
初鰹の最高値は年収の2倍!?
「目には青葉山ほととぎす初鰹(山口素堂)」と俳句に詠まれたり、「女房を質に入れても初鰹(江戸古川柳)」と川柳に読まれたりするほど、江戸での初鰹の人気は熱狂を極めていました。時は文政6年(1823年)、11代将軍家斉のころには、初鰹1本に金4両という最高値がつけられたとも伝えられています。当時、町方奉公人の年収が男性で2両といわれている時代ですから、庶民にとって目の飛び出るような金額だったはずです。現在も年始めの魚河岸初競りで高額取引が行われていますが、まさにそれと同じような感覚だったことでしょう。
江戸っ子はなぜ「初鰹」に熱狂したのか?
初鰹はなぜそこまでの大フィーバーを巻き起こしたのでしょうか? それは江戸に「初物七十五日」ということわざがあり、時季初めのものを食べると寿命が75日延びるといわれていたからです。特に鰹は鮮度が勝負の魚のため、いち早く食することでそのおいしさと御利益とステータスを得ようとしたのでしょう。ところで、この初鰹フィーバー、江戸と関西ではやや温度差があったよう。その理由は瀬戸内海の新鮮な魚がすぐに手に入り、そこまで鰹を珍重視していなかったとか、名を捨てて実をとる関西人にとってそんなステータスは魅力的でなかったなどといわれています。
江戸式に、刺激的に鰹を食べてみるもヨシ!
関東と関西で初鰹に対する熱狂度は違ったものの、旬の鰹のおいしさに違いはありません。江戸時代後期の風俗を記した『守貞謾稿』によると、ぷりぷりと引き締まった身であっさりとした味の鰹は、大根おろしとしょうゆで食べるのがいいとされていました。そのほかにも「初かつお辛子がなくて涙かな」という句があるようにカラシをつけて食べるのが一般的で、おいしさを引き立たせる食べ方だったとか。いずれにしても、刺激的な風味が好まれていたようです。
今様なら薬味をいっぱい、柑橘系のタレにつけても
江戸時代のシンプルな食べ方もおいしそうですが、現代なら薬味をたくさんのせて楽しむのがオススメです。大葉やネギ、生姜、ニンニク、玉ねぎなど、お好きな薬味を薄切りにしたりすったり……。タタキで楽しむなら厚めに切った鰹にザッとたくさんの薬味を大胆にのせ、その上に刻みのりやごまをパラリと散らしても◎。タレは、レモンやスダチなど、柑橘系の酸味をきかせたポン酢のほか、醤油ダレも間違いありません! 洋風好みならカルパッチョという手もあります。ことさらにおいしい旬の鰹を、我が家流の「粋」を加えてぜひ召しませ!
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