2018.02.25
今、飲むべき産地別「日本ワイン」おすすめ7選。伊勢丹ソムリエが太鼓判!
伊勢丹新宿店のワイン売れ筋ランキングでもTOPに入るなど、ワイン愛好家たちの間で人気が高まっている「日本ワイン」。今、有名産地以外でも日本全国に続々と美味しいワインが誕生しているそうです。
「日本ワインといえば山梨・長野が有名でしたが、それ以外の地域でもワイナリーが次々と誕生し、その土地でしか表現できない『ご当地ワイン』を生み出しているのです。日本ワインを楽しむなら、これからは『ご当地』に注目してみてはいかがでしょう」
そう話すのは最新のワイン事情に精通する伊勢丹新宿店のソムリエ吉良竜哉さん。ワインには土地の個性を生かす「テロワール」という考えがありますが、日本ワインもそれは同じよう。加えて最近は「都市型ワイナリー」という新しいワイン造りも始まっているとか。今回は吉良さんが推薦する美味しい「ご当地ワイン」7本を紹介します。
①新・ワインの銘醸地として人気沸騰中<十勝ワイン>
DATA 生産地:北海道 種別:赤 品種:清見
1本目は北海道のワイナリー<十勝ワイン>から。吉良さん曰く、北海道エリアは日本ワイン界の中でも山梨・長野に匹敵する高い評価を受ける新・ワインの銘醸地。品質本位でワインを選ぶツウたちが熱視線を送っているそうです。
「北海道の中でも歴史あるワイナリーであり、一過性のブームではなく根強いファンに支持されているワイン。北海道ワインといえば、日本で人気の品種『ピノ・ノワール』のワインが多いのですが、<十勝ワイン>は自社交配の独自品種『清見』を使うことで、フレッシュでさっぱりした酸味を表現しています。わかりやすい濃さやメリハリではなく、繊細なニュアンスを好む人におすすめです」
合わせたい食事は意外にも「筑前煮」のような甘みのある煮物。まるで日本酒のような和食との相性の良さは、「日本ワイン」ならではの魅力です。
②果物王国・山形がワイン業界に殴り込み! <蔵王ウッディファーム&ワイナリー>
DATA 生産地:山形県 種別:赤 品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
続いてはラ・フランスやさくらんぼの名産地として知られる果物王国・山形。寒暖差の大きな環境はブドウにもきっと生かせるはず……そう思い立った果物農家さんが始めた新しいワイナリーが、2013年創業の<蔵王ウッディファーム&ワイナリー>です。
「<蔵王ウッディファーム&ワイナリー>は非常にコンパクトなワイン造りをしている小規模ワイナリーです。自分たちで育てたブドウの魅力を引き出すため、通常のワイン造りで行われる『ろ過』や『加熱』といった後処理をあえて省いた『自然派ワイン』(※)に近い造りをしています。ボディはやや重め、加えてフルーツのジューシーさ、まろやかな舌触りといった『複雑さ』が楽しめます」
味の要素が多いため、開栓後少し時間を置いて味を「開かせる」のがポイント。タンシチューやデミグラスハンバーグなど、濃いソースの料理と好相性です。
※自然派ワイン…化学肥料や農薬、酸化防止剤を使わないなど「ナチュラル」な製法で造るワインの総称。「ナチュラルワイン」「ヴァン・ナチュール」ともいわれる。明確なルールはない。
③ワイン業界の新しい波! 東京の都市型ワイナリー<深川ワイナリー>
DATA 生産地:東京都 種別:赤 品種:カベルネ・ソーヴィニヨン
とぼけた表情の「ワインマン」ラベルが目を引くこのワイン、なんと東京・門前仲町の住宅地にあるワイナリーで造られているそうです。
「ワイン業界の新しい流れが『都市型ワイナリー』。アクセスの良い場所にワイナリーを建てることで、お客さまが気軽に見学でき、ワインに触れてもらえるという考えです。都内で3番目となるこの<深川ワイナリー>では主に北海道、山梨等のブドウを仕入れ、比較的王道のワイン造りに取り組んでいます。ラベルデザインからもわかるように、味わいはソフトでキャッチー。アルコール度数も10度程度と軽いので、料理を選ばずどんなシーンでも楽しめます。今回紹介するご当地ワインの中でもダントツに飲みやすい1本です」
特におすすめしたいのは、ビールやサワーなどのどごしの良いお酒が好きな人。口当たりが軽いので、日々の食事に合わせてすっきりと楽しめます。
④日本ワインブームの牽引役が挑む新機軸は、2大生産地の良いとこどり? <はすみふぁーむ>
DATA 生産地:長野県 種別:白 品種:甲州
続いては日本ワインの中心地・長野から。多くのワイナリーが点在する激戦区において、<はすみふぁーむ>は自ら山を開墾してワイン造りを行う「独立系ワイナリー」のさきがけ。現在の日本ワインブームの牽引役といっても過言ではありません。
「<はすみふぁーむ>はさまざまなブドウの栽培にトライしていて、『世の中のワインに対する既成観念を壊そう!』という気概のあるワイナリーです。『信州の甲州』は、なんとライバルである山梨の品種・甲州を使ったアイテム。飲み比べてみたのですが、山梨の『甲州』に比べトロリとした粘度があり、オイリーな舌触りを感じましたね」
山梨の「甲州」がほどよい甘みと酸味で「和食」に合うとすれば、長野の「甲州」はしっかりした酸味と複雑さ、独特のオイル感があり、オリーブオイルを使った洋風メニューがぴったり。「日本ワインとしてではなく、イタリアワインと思って飲んでいただいたほうがしっくりきますよ」という個性派です。
⑤港町<神戸ワイナリー>のワインは異国情緒あふれるハイカラな味
DATA 生産地:兵庫県 種別:赤 品種:メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン
続いては兵庫の神戸エリアにあるワイナリー。神戸といえば「国際色豊かな港町」といったイメージがありますが、ワインにも同じことがいえるそうです。
「1983年の誕生から、神戸市と一緒にワイン造りを行ってきた『第三セクター』タイプの<神戸ワイナリー>は、日本ワインの歴史を語る上で欠かせない存在。神戸は日照量が豊富なため、北日本では栽培が難しいとされていた国際品種を熟度を上げて育てることが可能です。輸入ワインに対抗できる国際色豊かなワインを造ろうという心意気を感じますね」
県内で栽培したメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンを使った赤ワインはフルボディで適度な凝縮感、密度の高いフレーバーを持つ「垢抜けた」酒質。上質なチリワイン、スペインワインのように、比較的しっかりした食事によく合います。もちろん神戸牛との組み合わせは最高です!
「このレベルのワインを10年以上前から造り続けているところがすごい。日本ワイン業界の中でも中堅に位置する実力派だと覚えておきましょう」
⑥美味い・安い・買える! 三拍子揃った「外さない」<広島三次ワイナリー>のロゼ
DATA 生産地:広島県 種別:ロゼ 品種:メルロー
6本目は吉良さんが「今一番注目している」という中国地方の<広島三次ワイナリー>。
「特筆すべきは今の日本ワイン界に足りない『安定して量を造る』『高品質』『安い』の3点を実践していること。『大量生産』というとネガティブなイメージがありますが、いつ、どこでも入手できるエントリーラインのワインが美味しいというのは非常に大切なこと。<広島三次ワイナリー>のアイテムは誰にでもおすすめできる『失敗しない』ワインですね」
中でも吉良さんが推薦するのは淡い色合いの「メルロ ロゼ」。神戸と同じく日照量があるため、人気の国際品種・メルローはお手の物です。
「果実感がある一方、辛口で洗練された味わいが特徴。冷たい状態で飲めば白ワインのような柑橘の風味が立ち、温度が上がるとベリーのような赤ワインの魅力が出てきます。酢の物やサラダ、生ハム、トマトソースやサーモンなど、幅広い料理に合う万能タイプです。『ロゼ=甘い?』と思っている人にこそ飲んでほしいです」
⑦世界中探しても見つからない! 南国・宮崎の<都農ワイン>が生んだ個性派シャルドネ
DATA 生産地:宮崎県 種別:白 品種:シャルドネ
ラストは国内外のコンクールで高い評価を得る西日本最大級のワイナリーです。
「雨が多く、台風被害がある宮崎県は本来ブドウ栽培に向かない土地。そんな逆境の地で世界的に通用するワインを造り出したのが<都農ワイン>の小畑さん、赤尾さんです。土壌改良や栽培の努力はもちろんですが、なによりもすごいのは環境面のハンディを逆手に取った醸造技術。台風を避けるため、早摘みブドウならではの低アルコールのワインに取り組んだり、繊細なブドウの味を引き出すため樽の使用を限定したりと、試行錯誤の末、独自の方法で挑戦しています。いうのは簡単ですが、これを成功させるのは本当に大変なことですよ!」
たとえば、ブルゴーニュの「シャルドネ」といえば酸味とミネラルがある辛口がトレンド。一方<都農ワイン>の「シャルドネ アンフィルタード」は、ひとことでいうと「トロピカル」な味。フレッシュさとブドウの甘みがあり、「たっぷり」した丸みのある飲み心地を楽しめます。
「ソムリエとして世界中のシャルドネを飲んできましたが……どこにもない味。『ご当地』というより、世界的に見てもかなり個性的。初めて飲んだとき、これが日本のワインであることにカルチャーショックを受けました」
ソムリエにそこまで言わせる1本。料理は不問、とにかく飲んでみましょう。
「地元」や「ラベル」でカジュアルに選ぼう
レベルが高く、地域ごとの個性がある日本ワイン。どれを選んでも美味しいので、頭でっかちにならず「出身地のワインだから飲んでみよう!」「ラベルがかわいい!」といった直感的な選び方をしても大丈夫です。また、比較的アルコール度数が低く、価格も2,000〜3,000円台とお求めやすいのもうれしいポイント。日本発の「ご当地ワイン」をカジュアルに楽しみましょう。
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