2015.04.17
赤身こそ肉の神髄!うまみをたっぷり含んだおいしさの秘密
ここ数年、肉好きがみな口を揃えて言うのが「やっぱり赤身がうまい」ということ。なかでも食通の間で話題の短角牛をはじめ、噛むほどに味が出る赤身の魅力、選び方や楽しみ方を伊勢丹新宿店「アイズミートセレクション」の岩田晴美シェフに教えてもらいました。
肉好きに限らず、支持が高まる赤身肉
「長生きの人の多くが良質なタンパク質を摂取しているといわれていますが、健康面を気遣って赤身肉を求められる方が増えています。粗食が健康の素と考えられていた以前に比べて、少量で満足感のある『肉』が見直されているのでしょう。良質なタンパク質や必須アミノ酸が摂取できるという赤身肉のメリットは、科学的にも証明されているんですよ」
岩田シェフによれば、この動きはごく最近のこと。食べ慣れないうちは「トロ」を求めるけれど、本当においしい「赤身」の味を知ったら後戻りできないマグロと同様で、霜降り肉から赤身肉へと嗜好が移るのは自然な流れなのでは、ともシェフは言います。
自然放牧が、うまみたっぷりの肉質をつくる
この日紹介してもらったのは、長野県の日本短角種のロース肉(写真中央)。他の肉と比べると、まずその赤さに目がいきます。
「全体的に赤いのは、たくさん動いているぶん酸素がカラダ全体にまわっている証拠です。短角牛の産地としては岩手や青森などが有名ですが、これは長野県産のもの。自然放牧で牧草を食べるから、うまみがあります。短角牛に限らず、牛肉のおいしさの決め手は血統とエサなんです」
シェフによれば牛の「腸内環境」が肉のおいしさにかかわるポイントゆえ、何を食べているかが重要なんだとか。
「例えば、掛川酵母牛は酵母を食べているので腸内環境が整っており、良質な肉質になります。エサが消化しきれていないと、脂肪が黄色くなるんですよ」
選ぶなら深い椿色。オレイン酸含有量にも注目を
では、実際にショップで赤身肉を選ぶ際には、どこを見たらいいのでしょう?
「肉全体が深い椿色になっているものがいいでしょう。うまみが全体にまわっているサインです。赤身の赤と脂の白がハッキリ鮮やかな肉は、まだ熟成していない証拠です」
赤身らしい味わいを楽しみたいなら、最初はモモ肉のステーキがおすすめだそう。サーロイン、リブ、ヒレなどでもいいそうです。
「赤身肉は硬くなりやすいので、けっして焼きすぎないように注意してください。やわらかく食べたい場合は、ハンバーグにするといいですよ。以前にブリオッシュで赤身肉のハンバーグとフォアグラをはさんだハンバーガーを販売したところ、とても好評でした」
さらに、「すっきりと食べられるかどうか」を見分けるポイントとなるのがオレイン酸含有量だとか。
「オレイン酸=不飽和脂肪酸が多い肉は、脂っぽくなく、すっと食べられますね。例えば、香川県のオリーブ牛などがそうです。オレイン酸を豊富に含むオリーブを飼料として食べているので、オレイン酸含有量が高い。島根県のかつべ牛もそうですね」
短角牛に限らず、食べ比べを楽しんで
赤身肉とひと口にいっても、種類はさまざま。「食べ比べ」を楽しむのがいいと、岩田シェフは言います。
「たとえば、このフランスのシャロレー牛も脂身が少なく赤身がおいしい肉です。2歳以下の未経産のメスのみを仕入れているので、雑味やクセがなくすっきりした味。同じ赤身といっても、品種が違うだけで味わいは大きく変わります」
さらに、赤身肉を続けて購入される方が食べ飽きないよう、カイノミ(バラ肉の中でもヒレに近い部分)やブリスケ(人間でいうと胸辺りの肉)などの珍しい部位を紹介することもあるとか。
「ご自分の好みの味を知っておくと、お店でも相談しやすいと思います。とはいえ、最初はさっぱりしたものが好きだったけれど、食べ慣れるうちにクセのあるものが欲しくなるなど、好みは状況によって変わるもの。そのなかで迷いなくお選びいただけるよう、ずっと使える賞味期限のない『知識』をお客さまにご提供することを心がけています」
噛むほどにうまみが広がるその味わいのように、知れば知るほど奥深い赤身肉。産地や品種、部位の違いまでを知って、自分の舌に合う「これぞ!」という肉を探してみてはいかがでしょうか。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取り扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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