自然派ワインファンに送る、「テーブル日本酒」の楽しみかた

日本酒はなんだか難しそう、合わせる酒の肴も渋い感じ？ いえいえ、そんなことはありません！ フレンチやイタリアンにもよく合い、テーブルワインみたいに楽しめる日本酒たちが気になります。昨今の日本酒ブームでマニアックな蔵元の一本も店頭に並び、また若い世代の感性を生かした新世代日本酒も増えているのです。ワインビストロ「ウグイス」＆「オルガン」のオーナーシェフ・紺野真さんに、普段着のように楽しめる「テーブルワイン」ならぬ「テーブル日本酒」を教えていただきました。

「テーブル日本酒」には生原酒を選ぶ

今回、紺野さんにセレクトしていただいた5本はすべて純米の生原酒。

「自然派ワインと同じように、生原酒っていろいろな要素を含んでいて複雑味がある。だからこそ食事に合わせやすいと思うんです。同じ純米の生原酒でも、肉に合うもの、魚に合うもの、チーズに合うものまで実にさまざま。その日の献立に応じて選んでみてはどうでしょう？」

火入れをしない絞ったままの生原酒、なるほど自然派ワインに近いのもうなずけます。

 

食中酒にぴったりな、滋賀県のこの2本

料理を引き立ててくれる、食中酒に選ぶなら？

「富田酒造が作る『七本槍（純米80精米玉栄生原酒）』は、酒質が強くボディもしっかりしています。でもインパクト勝負ではなく一歩引いた感じで料理に寄り添ってくれるところは、僕が大好きな『ドメーヌ・ジュリアン・メイエ』のワインのよう。肉料理、特に豚のリエット、煮込んだり焼いたりした肉と一緒でも、疲れず飲み進められそうですね」

上原酒造の『不老泉（山廃仕込純米吟醸備前雄町無濾過生原酒）』もおすすめ。

「自然派ワインを思わせるような、煙立つ白檀のような香りがもわっと立ち上がるのがたまらなくいいんです。柔らかい旨みは魚料理と相性良し。お刺身よりも、オイルをかけたカルパッチョや、西京焼きなどに合わせてみて」

フルーティー、まるでワインなラベルと味

「ワイン好きなら迷わずこれを」と、紺野さんが太鼓判を押す、栃木の仙禽（せんきん）が作る『仙禽雄町（無濾過生原酒中取り）』。

「（ワインの）エチケット、と思わず呼んでしまうデザインのラベルには、ドメーヌ、テロワール、マリアージュなどワイン用語が並んでいて、味もワイン的要素が強いです。フルーティーで明るい青リンゴのような酸があるので、キャロットラペなど酢を使った料理や冷たいハムと一緒に。洋食に合わせても違和感がなく、外国人のゲストにも喜ばれそうです」

どっしり系ツマミ×個性派日本酒

個性の強い『花巴（水もと純米無濾過生原酒）』は奈良の美吉野醸造のもの。

「上の3本に比べると重心が低く、甘い香りが漂う華やかな酒です。お燗をすると今度は糠のような香りに変化して、ヨーグルトのような酸とともにキレも出てきます。ボディもボリュームもあるのでブルーチーズやモツ煮込みなどの重量級ツマミにも負けない。ホワイトソースを合わせた魚とも相性が良いと思いますね」

香りの良い、吟醸の日本酒が好きな人には

吟醸酒の華やかな香り好み、という方には、梅乃宿酒造の『梅乃宿アンフィルタード・サケ』をセレクト。

「アンフィルタード＝無濾過の純米吟醸酒です。新酒ならではのフレッシュさと軽い吟醸香、梨のようなフル−ティーさがある爽やかな1本。少し甘めの蕪の漬け物やかぶら寿司のような発酵食品にはもちろん、鶏もも肉の照り焼き、カマンベールチーズなど白カビのチーズにはちみつをかけたものにもよく合うと思います」

同じ酒でも、常温から冷やしたり、お燗をしたりすることで、酸味が変化したり、お米らしい穀物感が前面に出てきたり、と生き物のような表情を見せるのも日本酒。

「さらには同じ瓶の中でも、飲み進むにつれて、軽い苦みやミネラル感、米のしっかりした味わいが含まれている事に気づかされたりもします」

そのお酒ならではの個性を味わい、楽しみかたを探り当てて行くのもまた一興。今日の献立のお供に、「テーブル日本酒」選んでみませんか？

※奈良県／梅乃宿酒造 『梅乃宿アンフィルタード・サケ』 こちらの商品は毎年1月に発売される期間限定商品です。

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