2017.02.14
長崎県民はみんな知ってる!? ひな祭りに食べる「桃カステラ」って?
一度見たら目がくぎづけになるこのお菓子、ご存知ですか? 実はこれ、長崎でひな祭りに食べられるという大変ポピュラーな縁起菓子「桃カステラ」。その名の通り、カステラの上に桃のお菓子がのった一品です。一体どんなものなんでしょうか。気になるその由来や製法、味を紹介します!
意外と大きい! 長崎に伝わる「桃カステラ」
練り切りやおまんじゅう程度の大きさを想像していたら、驚くこと間違いなしです。ケーキ1カット分ほどの大きさで、最もスタンダードなサイズは10cm前後。ちなみに材料に桃の果汁は含まれていません。土台の長崎カステラにのっているのは、桃をかたどった砂糖菓子です。
「桃カステラは桃の形に合わせて焼かれた長崎カステラを、フォンダン(すり蜜)に数回くぐらせることで砂糖菓子の部分を成形するんです。食紅で色付けし、最後に練り切りやマジパンなどで葉や枝を飾り付けて出来上がります」と教えてくれたのは、日本橋三越本店和菓子担当の伊勢本さん。
一つひとつ職人さんの手作業によって作られるため、店ごとに桃部分の色や形、飾り葉や枝の素材が異なるのはもちろん、同じ店の製品でもそれらの形に少しずつ違いが出てくるのだと言います。
どうして桃がのってるの?
南蛮貿易でカステラが長崎に伝わったのは室町時代末期。そんな長い歴史を持つ長崎カステラと桃が融合したのは、「おそらく大正時代ではないか」と伊勢本さん。
「桃を不老不死の果実として尊び、長寿の象徴とする中国の風習が長崎に根付いていたカステラと融合したと言われています。かつては初節句を迎えた子どもへお祝いをくれた方に、長寿や健康を願ってお返しする『内祝い』として使われていましたが、いつしか女の子自身の長寿や健康を祝うものに変わり、桃の節句であるひな祭りに食べられるようになったとされています」
今ではひな祭りに限らず、結婚や出産といったおめでたいときの贈答品としても広く贈られるようになったのだとか。
「桃カステラ」実食! ふわふわのカステラは甘くない!?
口へ運ぶとこれまた意外。カステラ部分がそれほど甘くないんです。フワフワのカステラの食感にフォンダンがスルスルと口の中で溶けて、絶妙な甘さに!
「桃カステラはフォンダンの甘さとのバランスを取るため、カステラ生地自体の甘さは抑えられているんです」
可愛らしい見た目と一風変わった歴史を併せ持つ「桃カステラ」。皆でワイワイ言いながら食べるのも楽しそうです。
食べ切りやすい「こもも」タイプも
10cm前後が桃カステラの一般的なサイズですが(写真右)、最近は節句を迎えた子どもが食べられるようにとミニサイズの桃カステラ(写真左)も登場しています。
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