2017.03.12
地元の食材をひとひねりした銘菓が勢揃い。関東前編【にっぽん、いとお菓子。#3】
「にっぽん、いとお菓子。」は、全国の銘菓を年間1,500種類以上食べ尽くしている三越伊勢丹和菓子担当バイヤー・田中美穂さんが、特に食べてほしい! というアイテムを47都道府県ごとにセレクト。北から順に日本銘菓の味わい深さを紹介する連載企画です。
第3回からは、関東地方を2回に分けてピックアップ。関東前編として、茨城、群馬、埼玉、栃木の銘菓をご紹介します。
地元の食材を活かした、北関東の銘菓4選
① 【茨城県】<井熊總本家>水戸の梅(8個入り) 864円(税込)
② 【群馬県】<三桝家總本店>麦落雁(18個入り) 540円(税込)
③ 【埼玉県】<龜屋>初雁焼(1袋) 594円(税込)
④ 【栃木県】<和楽互尊>みたらし団子(2本入り) 173円(税込)
梅に落雁、さつまいもなど、地元で採れる食材をひとひねりして生まれたオリジナルのお菓子が目立ちました。
① 【茨城県】白餡+しその香りは初体験の味わい!「水戸の梅」
田中さん「<井熊總本家>は、100年以上にわたって水戸の銘菓を作っている和菓子屋。今となってはいくつかのブランドから販売されている『水戸の梅』は、諸説ありますが、<井熊總本家>の初代がオリジナルで考案したといわれています。考案当時は、茨城県の梅の名所・偕楽園の梅の実を使用して作ったのだとか」
──初めてこのお菓子を知りました。しっとりとしていて、しその葉で包まれた見た目も不思議ですね。まったく味の想像がつきません……。
田中さん「白餡を求肥で包んだものに、蜜漬けにしたしその葉を巻いているんです。食べるときは、厚みのある葉を噛んだときのプチッという食感も楽しんでください」
──葉を噛むと、梅の風味がパッと広がりますね! 思ったより甘さ控えめでスッキリしています。
田中さん「そうですね。しその葉のほのかな塩気が、甘さ控えめな餡と上手く調和しています」
② 【群馬県】焙煎した麦の風味が香ばしい「麦落雁」
田中さん「続いて紹介する『麦落雁』も350年以上の歴史を持つ老舗<三桝家總本店>が約200年前に作ったオリジナル菓子です。かつて館林市が全国でも有数の大麦の産地だった時代、焙った大麦の美味しさに着目した、当時の当主によって考案されました」
──材料が「砂糖、大麦粉」だけ。すごくシンプルなんですね。
田中さん「材料だけでなく、製法も当時の方式を守っているため、大量生産できないそうですよ」
──では、ひとついただきます。麦の香りが香ばしくて、素朴な味わい。ザ・和菓子という雰囲気とは裏腹に、クッキーのようにコーヒーや紅茶と合わせて食べたくなりますね。
③ 【埼玉県】さつまいもをカンナで削った「初雁焼」
──<龜屋>の『初雁焼』は、1枚1枚がとても大きいですね!
田中さん「こちらは、埼玉県の川越に店を構える<龜屋>が地元のさつまいもを使って考案したオリジナルの芋菓子です。さつまいもをカンナで削って、さらに鉄板に挟んで焼き上げているので、こんなに薄くて大きいんですよ。1個の芋から、4〜5枚しか作れないそうです。バリっと豪快に食べてください」
──結構かたいですが、この歯ごたえが気持ちいいですね! 見た目ほど甘くなく、芋菓子としては新鮮な美味しさ。
田中さん「芋菓子というと、揚げたり、蒸してペースト状にしたりしたものがほとんど。『初雁焼』のような素焼きタイプは珍しいですよね。ねっとりした甘みをあえて引き出さず、さつまいも本来の風味を際立てた味わいをぜひ楽しんで召し上がってください」
④ 【栃木県】弾力よし、伸びよしの「みたらし団子」
田中さん「<和楽互尊>は、栃木県で製造している、全国の三越伊勢丹グループ限定ブランド。こちらのみたらし団子は、他の地域のように、<和楽互尊>が考案したオリジナルのお菓子ではありませんが、人気アイテムなのでぜひ紹介したかったんです」
──こんがりとした焼き目や、照りが美しいですね! タレは、醤油のコクがしっかり。お餅は柔らかいけれど、しっかりと弾力が感じられます。
田中さん「お餅に使われる米粉は国産のものを使用しています。弾力はもちろん、伸びもいいんですよ」
地元名産の食材を自由に使って考案されたオリジナルのお菓子が目立つ、北関東の銘菓。原材料を栽培できる豊かな環境がありながら、古くから新しい文化や情報が集まる都心に近い地域だからこそ、そんな新しい発想の銘菓は生まれたのかもしません。
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