2015.03.27
苦節5年。イタリアの柑橘類「ベルガモット」が、土佐に根付くまで
温州みかんやゆずなど、柑橘系のフルーツが特産品として知られる高知県。ところが、このままのペースで地球温暖化が進み、平均気温が1.5度上がると、温州みかんが採れなくなるといわれています。そこで、高知の未来を見据えて始まったのが、より温暖な気候でも収穫可能なベルガモットの生産を目指す「土佐ベルガモットプロジェクト」でした。
みずみずしい香りが詰まったベルガモット
ベルガモットとは、南イタリアやモロッコなど温暖な地方で栽培される柑橘類のこと。通常、11〜1月に収穫されるものです。苦みが強いため、食用されることはほぼありませんが、アロマテラピーで使う精油や、アールグレイの香りづけなどでご存知の方も多いでしょう。
特に、熟して色づく前の「青玉」は、爪で引っかくだけでも豊かな香りが広がるほど、みずみずしい香りの成分が詰まっています。その甘い香りは、気持ちを落ち着け、幸福を感じる効果があるのだとか。
行く手を阻む、「気温の調整」と「台木の選定」
もともと高知県は、柑橘系の栽培で有名な土地。だからといって、そう簡単にベルガモットが栽培できるようになったわけではありません。2014年、ハウス栽培に成功するまでに要したのは、実に5年の歳月。特に苦労したのが、気温の調整だそう。というのも、ベルガモットは本来、温暖な地域で育つ植物。高知県は比較的暖かい地域ですが、冬場はマイナス5度を下回ることもあるため、気温の調整に、細心の注意を払う必要があったのです。
次に頭を悩ませたのが台木。台木とは、接ぎ木の際に台にする木のことです。どんな種類の木を用いるかによって、生育具合や実がなるまでの期間が変わってくるため、あらゆる試行錯誤が繰り返されました。そんな苦労を重ねて、将来的にこの果実の豊潤な「香りでよべる地」になることを目指す、「土佐ベルガモットプロジェクト」は進んできたのです。
2014年のベルガモットの収穫高は、200kgほど。収穫の際には、果実はもちろん、枝や葉からも漂う豊かな香りに、思わず目を閉じて深呼吸したくなるほどだったとか。「今年は、露地栽培に挑戦します。将来的には、イタリアで栽培されているフェミネロという品種のクオリティを目指したいですね」と語る生産者の表情は、未来を見据えて輝いていました。
高知産ベルガモットを楽しめるアイテムたち
そんなふうに、たくさんの時間と人の手をかけて作られた、国産のベルガモット。さまざまな製品に姿を変えて、私たちを楽しませてくれます。
たとえば、乾燥させたベルガモットの皮を土佐の海塩にブレンドした、<ポーションズ>の「土佐ベルガモット塩」(40g)756円(税込)/※4月8日(水)から販売予定。肉・魚料理はもちろんのこと、バターとの相性が抜群、華やかなベルガモットの香りが、素材を引き立てます。
ベルガモットのクリームと青リンゴのコンポートをマカロンでサンドした、<セバスチャンブイエ ファシナション>の「ポム・ベルガモット」(1個)540円(税込)。ベルガモットのアロマも手伝って、食べるだけで幸せな気分になれそう。
サクサクの食感が楽しい、<パティスリー キハチ>の「スフレラスク ベルガモット」(1袋)432円(税込)は、生地にベルガモットと刻んだ緑茶をIN! 後を引くさわやかな香りが楽しめます。
フレッシュでみずみずしいベルガモットの香りは、包まれるだけで幸せな気分に。「土佐ベルガモットプロジェクト」の未来のためにも、ぜひともありがたく、いただきたいものですね。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=シェフズセレクション、カフェ エ シュクレ/セバスチャンブイエ ファシナション、パティスリー キハチにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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