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2017.01.26

焼酎嫌いが好きに変わる!? 魔法のテイスティング会を編集部が体験

焼酎のボトルとグラス

居酒屋で。家飲みで。焼酎を積極的に飲む機会はありますか? 正直、私はまったくありませんでした。「独特な香りがムリ」「飲んだ後味が……」。他の酒に比べて苦手なポイントが多く、焼酎は好きじゃないとなかなか手を出せない。そう思っていました。

しかし、「焼酎が嫌いという方は、焼酎との出会い方を間違っていることが多いんです。好みの味を知れば、きっとイメージが変わるはず!」。
そう教えてくれたのが、焼酎に詳しい<大塚はなおか>の店主・花岡賢さん。しかも花岡さんによれば、焼酎は世界に誇れるハイクオリティな酒なのだといいます。

飲まないのはもったいない! 世界が認めた焼酎のすごさ

花岡さん「日本の焼酎のレベルは非常に高い。焼酎の中には、高品質な地酒として、『シャンパン』や『スコッチ』などと同等の評価を得ているものがあるんですよ」

その評価とは、世界貿易機関(WTO)が認める酒類の「地理的表示」。ワインのシャンパンやボルドー、ウイスキーのスコッチなどが該当します。

花岡さん「日本の酒類で認定されているのは6種で、そのうちの4種を焼酎が占めます(『壱岐焼酎』『球磨焼酎』『琉球泡盛』『薩摩焼酎』)。これは、焼酎が世界で勝負できる酒であることの証。そのことに日本人の私たちが気づいていないのは、もったいないことですよね」

さらに花岡さんいわく、「世界にはさまざまな蒸留酒がありますが、原材料の香りを感じる酒は焼酎以外にない」のだとか。また、焼酎は割り方が幅広いので、料理の味を引き立てる飲み方を探し出すことも、楽しみ方のひとつだと言います。

【4カテゴリを飲み比べ】
高価=飲みやすいは間違い。これが焼酎嫌いの原因だった!?

今回、花岡さんのレクチャーを受けながら飲み比べに参加するのは、焼酎ビギナーの編集部3名。

参加メンバー

編集K(男性):とにかく美味しい焼酎が知りたい&買いたい!
編集S(男性):焼酎はあれば飲む。好きでも嫌いでもない。
編集Y(女性):焼酎は苦手。鹿児島県の実家には芋焼酎が常備されているが、好んで飲むことはない。

まず最初に花岡さんが教えてくれたのは、焼酎の4カテゴリについて。これを知っておくことで、よく起こりがちな「間違った出会い方」を防ぐことができるのだと言います。

花岡さん「焼酎は熟成されているものほど、値段が上がる傾向にあります。どれも美味しい酒ではありますが、焼酎ビギナーの方が何も知らずに飲んでしまうと、『味がキツすぎる!』『思っていた味と違う!』と苦手意識を持ってしまうことが多いんです」

原材料の違いを除き、熟成期間や方法で分けられるカテゴリが次の4つ。

焼酎の4つのカテゴリ

(1)レギュラー:一般的な焼酎。25度前後に酒質やアルコール度数が調整されている。
(2)原酒:アルコール度数が調整される前の焼酎。アルコール度数は36度〜44度。
(3)古酒(長期熟成):3年以上貯蔵した焼酎。
(4)樫樽貯蔵:樽で貯蔵し、香りと味わいを付けた焼酎。

<古澤醸造>の摩無志(720ml)1,661円(税込)、<小玉醸造>の杜氏潤平(720ml)1,782円(税込)、<三岳酒造>の三岳 原酒(720ml)2,571円(税込)、<落合酒造>竈猫(720ml)1,944円(税込)、<弥生焼酎醸造所>のまんこい(900ml)1,439円(税込)

写真左から、<古澤醸造>の摩無志(720ml)1,661円(税込)、<小玉醸造>の杜氏潤平(720ml)1,782円(税込)、<三岳酒造>の三岳 原酒(720ml)2,571円(税込)、<落合酒造>竈猫(720ml)1,944円(税込)、<弥生焼酎醸造所>のまんこい(900ml)1,439円(税込)
※「まんこい」は黒糖焼酎。そのほかはすべて芋焼酎です。

編集S「すべてひとくくりにして考えていました」

編集Y「実家で、かなり高そうな芋焼酎のボトルを見かけたことがあります。あれは、古酒だったのかも……?」

花岡さん「一般的に、原酒や古酒はレギュラーの1.5倍くらいの値段がします。原酒はアルコール度数が高くて、そのままでは飲みにくい。だから『贈答用にとりあえず高いものを買っておこう』と値段で選んでしまうのが一番危ないんです」

編集K「へぇ〜! 高いほど美味しいのだろうと思っていたのに(笑)。だから、まずは焼酎のカテゴリについてきちんと把握しておくべきなんですね」

(1)最もポピュラーな焼酎「レギュラー」

「摩無志」「杜氏潤平」

<古澤醸造>摩無志、<小玉醸造>杜氏潤平

花岡さん「レギュラーは一般的な焼酎です。原酒を水で割って、25度前後にアルコール度数が調整されています。割りやすく、飲みやすいんです」

まずはストレートで飲んでみます。

編集K「あぁ〜、すごい! 飲み終えた後に、きれいな甘さが感じられますね」

編集S「確かに。香りや味をこんなにじっくり味わったことがなかったので、とても新鮮です」

編集Y「ストレートで飲むのは、私にはまだキツいですね。でも、飲み終えた後に鼻から息を吸うと、すっきりした芋の香りを感じました! 余韻を感じてよく味わうと、世界が広がってくるのかも」

花岡さん「お湯割りにして飲むと、特に芋の甘さを感じることができておすすめです」

(2)調整される前の「原酒」

「三岳 原酒」「竈猫」

<三岳酒造>三岳 原酒、<落合酒造>竈猫

花岡さん「次は、原酒。まずはストレートで、原酒の『三岳』を飲んでみてください」

口に含んだ瞬間、「うわっ!」と全員が思わず顔をゆがめます。アルコールがかなり強い……!

編集K「すっごく強いお酒ですね!」

花岡さん「思った通りの反応をしてくれますね(笑)。原酒はアルコール度数の調整がされる前のお酒です。度数で言うと36度〜44度あります。独特の強い香り、味の奥深さが楽しめます」

編集S「これ、どうやって飲むんですか?」

花岡さん「ストレートかロックがいいでしょう。また、少し水を入れる飲み方も、香りと甘さが引き立つのでオススメです。焼酎初心者には度数が高く感じると思いますが、原酒ならではの香りと味わいが、優雅な気持ちにさせてくれます」

(3)熟成された「古酒」

花岡さん「続いて、古酒の『竈猫(へっついねこ)』です。ロックで飲んでみてください」

編集Y「芋のふんわりした口当たりが好きですね」

編集K「さっきの原酒とは全然違う! まろやかな感じがします」

花岡さん「古酒は、3年以上貯蔵された焼酎です。泡盛も古酒にあたります。熟成されているぶん、新酒の荒っぽさがとれて、優しくやわらかな味わいになるのが特徴です。その代わり薄めていくと風味が損なわれるので、割るのはもったいないですね」

(4)まるでウイスキー!「樫樽貯蔵」

花岡さん「樫樽貯蔵を注いでいきますね。色はどうですか?」

「まんこい」をグラスに注ぐ花岡さん。

一同「他と比べて黄色ですね!!」

「まんこい」

<弥生焼酎醸造所>まんこい

花岡さん「そうなんです。樫樽はウイスキーと同じ熟成方法で、樽で貯蔵した焼酎です。グラスに顔を近づけて、香りを嗅いでみてください」

編集K「ウイスキーと似た香りがします!! 味もウイスキーと少し似ている……」

編集Y「これを通常の焼酎だと思って飲むと、先ほど花岡さんが言っていた、『思っていた味と違う!』と言われてしまう理由がわかりますね」

続いて、「まんこい」に炭酸を注ぐ花岡さん。飲んでみると……。

編集K「これ、ハイボールじゃないですか?」

花岡さん「そうなんです。ウイスキーに似ているので、炭酸で割るとハイボールのような味になるんです。驚きでしょう? 」

花岡さんいわく、焼酎にはウイスキーなどと同様に樽で貯蔵された種類があるということも覚えておくといいのだと言います。知人の話で、樫樽貯蔵を普通の焼酎だと思って贈答したら、飲んだときにびっくりされてしまったというエピソードもあったのだとか。

【芋焼酎2種類を飲み比べ】
あなたは白派?黒派? 好みがわかるとさらに楽しい!

「杜氏潤平」「魔無志」

<小玉醸造>杜氏潤平(720ml)1,782円(税込)、 <古澤醸造>摩無志(720ml)1,661円(税込)

さらにテイスティングを続けていくのは、さきほど紹介した「レギュラー」の2本。どちらも日頃一番飲む機会が多い「芋焼酎」です。同じ芋焼酎でも「白麹」と「黒麹」という2つのタイプに分かれるんだそう。それぞれから1本ずつセレクトしてもらいました。

編集Y「芋焼酎はもともと飲んでいましたが、麹ってあまり気にしたことがありませんでした。白麹? 黒麹? それは何ですか?」

花岡さん「焼酎に使用する麹菌のことです。芋焼酎の麹菌は主に白麹と黒麹の2種類。麹菌の違いによって、余韻(白麹)・キレ(黒麹)に分かれます」

白麹と黒麹の特徴

白麹:口当たりが優しい。「余韻」が長い。
黒麹:ガツンとした口当たり。「キレ」がいい。

花岡さん「この2種のうち、どちらが自分の好みかを把握しておくことが大切です。『焼酎が苦手で……』と言う方に多いのが、最初に自分の苦手な味を選んでしまった方。白と黒ではっきり好みが分かれるため、ずっと嫌いなままという方が多いんです。必ず白と黒、両方試すようにしてくださいね」

編集S「そういう話を聞くと、自分がどちらのタイプなのか楽しみになってきました」

編集メンバーの感想を受けて、うれしそうに白麹の「杜氏潤平」と黒麹の「摩無志」のロックを作ってくれる花岡さん。

花岡さん「では、飲んでみてください」

焼酎飲み比べの様子

編集S「ロックいいですね〜。すっきり飲める方が好きなので、僕は白派。余韻が残るのも、香りを楽しめていいなと思いました」

編集K「僕は断然、黒派です。味のインパクトが強くて、好みでした。キレがいいから、後に残らないし、一緒に食べる料理も美味しく食べられそう! このボトル、本気で買いたくなっちゃいました(笑)」

編集Y「私も、黒派でした。実は最初、少しだけ飲みにくかったんです。でも氷が溶けたころに飲んでみると、強すぎない程度に味が優しくなっていて、美味しいと感じました! これは、ハマりそうです」

花岡さん「皆さんの好みがはっきりしてよかったです。大体の方向性がつかめたので、これでお店に行っても安心ですね」

一つひとつ焼酎を飲み比べて、その味や香りまでじっくり堪能した編集部メンバー。最初はチビチビとテイスティングしていたのが嘘のように、好みの焼酎を手に取り各々飲み進めていきます。

花岡さん「焼酎は割り方を変えることで、幅広く味が変わっていくので、自分で水やお湯など割るものの割合を変え、どういう配分が自分に合っているのか試してみるのも発見があっていいですよ。次回は、焼酎の割り方についてレクチャーします。自分のだいたいの好みを把握して、一番美味しいと思える飲み方を見つけましょう」

焼酎は、これまでの経験や先入観にとらわれないことが肝心! 自分に合った種類を選ぶことで、晩酌の楽しみがグッと広がりますよ。

花岡賢さん取材協力:花岡賢

東京・大塚の居酒屋「大塚 はなおか」店主。「飲食店日本酒提供者協会」理事。実店舗の経営のほか、日本酒提供者の基礎検定「SAKEアドバイザー」や、「日本酒提供者マイスター」の資格認定などを行う。

文: 鮫島優里

写真:尾崎大輔
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商品の取扱いについて

記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=粋の座/和酒にてお取扱いがございます。 

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