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2017.01.04

フランス菓子の殿堂、麹町の情熱的パティスリー<パティシエ・シマ>。クレームアンジュなど代表作をご紹介。

パティシエ・シマの3種のケーキ

千代田区・麹町。洗練されたレストランやバルが立ち並ぶ小さな通りの路傍に<パティシエ・シマ>はあります。特別大きな店構えではありませんが、実は日本のパティシエ界に多大な影響を与え続けているフランス菓子の殿堂。クレーム ブリュレもクレーム アンジュもこの店の創業者が日本中に広めたのです! スイーツマニアなら絶対に知っておきたい名パティスリーを紹介します。

パリジャンがお菓子を食べたときと同じ感動を

パティシエ・シマの島田徹シェフ

<パティシエ・シマ>のシェフ、島田進さんと島田徹さんはともに3年以上パリで修行を積み、さらに国内の一流パティスリーを渡り歩いたフランス菓子のエキスパート。創業者の島田進さんは2005年フランス政府より農事功労章シュバリエを受勲するほど、フランスの食文化の造詣に深いシェフの一人です。

「日本で手に入るバターや小麦粉はパリのものとは別物。同じレシピでお菓子を作っても同じ味にはなりません。なによりお客さまの舌は日本の食文化の中で育ったものですから、同じものを出しても同じ印象で受け取られないんです。だから私たちはパリで作られているお菓子とまったく同じものを作るのではなく、パリの食文化をよく知った上でそれを『意訳』し、パリの人々がお菓子を食べたときに受けるのと同じ感動を感じていただきたいと考えています」

そう話してくれたのはエグゼクティブ・シェフの島田徹さん。お菓子によってフランスの文化発信に努めたいと話します。 

修業先のまかないから生まれたクレーム アンジュ

パティシエ・シマのクレーム アンジュ

クレーム アンジュ 594円(税込)

今や日本でもすっかり市民権を得たクレーム アンジュは、実は島田進さんがパリで修行中にまかないで食べたフロマージュブランというチーズを日本に広めるために作ったお菓子です。

「フロマージュブランはとても美味しいチーズですが、当時の日本人にこれだけで食べてもらうのは難しかった。だからチーズケーキとして売り出したんです。フランスにも生クリームとフロマージュブランを混ぜてホイップしたフォンテンブローというお菓子はあったのですが、中にソースを染み込ませたケーキが入っているクレーム アンジュは父・島田進のオリジナルなんです」

人気を博したクレーム アンジュはあちこちのパティスリーで作られるようになり、修業先のシェフも知ることに。ついにはフランスに逆輸入までされました。

<パティシエ・シマ>のクレーム アンジュは、チーズの酸味が心地良いさっぱりとした味わい。あっさりとスプーンが通過してしまうふわっふわな食感が楽しく、またフレッシュなフランボワーズはそれだけで食べても満足感があります。夢が叶うなら毎日でも食べたい美味しさです。

変幻自在なスペシャリテ。パリ ブレスト

パティシエ・シマのパリ ブレスト

パリ ブレスト 540円(税込)

<パティシエ・シマ>のもう一つのスペシャリテがパリ ブレスト。さっくりと軽いシュー生地に濃厚なクリームをサンドしたフランスの伝統菓子です。

「日本でフランス菓子を最初に広めたのが、当時は六本木にあった<ルコント>というお店。私たちは二人ともここで働き、パリ ブレストの作り方を学びました。通常はプラリネをサンドするのですが、先日あまりにも美味しいチョコレートに出会ったため、現在はチョコレート味にアレンジしたものを作っています」

かためにホイップされたチョコクリームはしっかり濃厚。軽い口当たりのシュー生地とよく合います。

日本人が知らなかった美味しさを発明したサファリ

パティシエ・シマのサファリ

サファリ 540円(税込)

島田徹さんがパリの修行から帰ったとき「<パティシエ・シマ>でまだ使われていない材料を使って新しいケーキを作ろう」と挑戦し、そこで生まれたのがこちらのサファリ。パッションフルーツを使った甘酸っぱいケーキです。

「タルトを食べるとき、底がかたいとフォークが皿にぶつかる音がして恥ずかしいというお客さまが多いんです。だから下にチョコレートのスポンジを敷いているんですよ」

そんな小さな気遣いに、<パティシエ・シマ>が「食べる人の気持ちになってお菓子を作っている様子」がうかがえます。しかし、このスポンジは緩衝材としての役割だけでなく味にもしっかり貢献。濃厚なチョコレート味が甘酸っぱいパッションフルーツペーストと混ざり合うと、えも言われぬ贅沢な味わいを堪能できます。

フランス文化の担い手として

パティシエ・シマのガレット・デ・ロワ

ガレット・デ・ロワ 2,916円(税込)

さらにもう一つ。この時期<パティシエ・シマ>を語るうえで外せないアイテムがガレット・デ・ロワです。フランスでは1月6日に公現祭を祝って食べる伝統のあるお菓子で、パイ生地にクレームダマンド(アーモンドクリーム)を挟んで焼き上げます。新年は人気パティスリーからさまざまなガレット・デ・ロワが登場。島田進シェフは正統なガレット・デ・ロワを普及させるための団体「クラブ・ドゥ・ガレット・デ・ロワ」の会長を務め、こだわりのガレット・デ・ロワを焼き続けています。

ガレット・デ・ロワを作る島田徹シェフ

「ガレット・デ・ロワによって伝えたいのは分かち合って食べる楽しみ。フランスの人はこのことをよく知っているんです。それからアール・ド・ヴィーヴルという生活の中に芸術を取り入れる考え方。フランスの人は日々の生活のなかに美しいものを取り入れることに長けているんです」

島田徹シェフはそう話しながらガレット・デ・ロワに見事な絵柄をつけていきました。

「これもアール・ド・ヴィーヴルの一つです。別にこの絵柄がなくてもガレット・デ・ロワは焼けるのですが、食べることを通して日常に彩りを添えていきたくて、一つひとつ絵柄をつけています」

「フランス菓子を通して、フランスの文化も一緒に感じてほしい」と島田徹シェフ。2世代にわたりフランス菓子に情熱を注ぐ<パティシエ・シマ>では、きっとこれからもここからフランスの古い伝統が伝わり、新しい風も吹くことでしょう。これからも<パティシエ・シマ>から目が離せそうにありません。

取材協力

パティシエ・シマ

1998年にオープンした千代田区麹町のパティスリー。ショーケースには常に40種類以上の生菓子や焼き菓子が並ぶ。すぐそばにはチョコレートショップ「ラトリエ・ド・シマ」がオープンしており、パティシエ・シマのお菓子を味わうことができる。

パティシエ・シマの外観

文: 大川祥子

写真:島村緑
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

催物のご案内/店舗のご案内/商品の取扱いについて

【催物のご案内】
リーデルテイスティングカウンターで楽しむガレット・デ・ロワ
<パティシエ・シマ>の島田徹氏によるシャンパーニュとガレット・デ・ロワの楽しみ方のセミナーを開催いたします。
■開催日時:2017年1月8日(日)午後3時〜/午後4時〜
■場所:伊勢丹新宿店本館5階 キッチンダイニングデコール
■セミナーご予約承り:2017年1月4日(水)午前11時から お電話にて受付開始
■ご予約・お問い合わせ:03-3225-2671(キッチンダイニングデコール直通) 午前10時30分〜午後8時

【店舗のご案内】
パティシエ・シマ
東京都千代田区麹町3-12-4 麹町KYビル1F

【商品の取扱いについて】 
記事で紹介している商品は、2017年1月4日(水)~1月10日(火)の期間中、伊勢丹新宿店本館地下1階=カフェ エ シュクレ/マ・パティスリーにてお取扱いがございます。 

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

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