2017.02.10
田舎の料理名人が教える、昔ながらの切り干し大根&凍み大根の作り方
以前WEB FOODIEで紹介した長野県泰阜村(やすおかむら)には、都心では失われてしまった昔ながらの食文化が今も息づいています。豊かな自然の中でその土地の気候を生かして暮らす泰阜村の料理名人・宮島吉子さんに、冬の保存食の代表格・切り干し大根と凍み大根の作り方を教えてもらいました。シンプルな工程なのに、手作りすることでとても美味しくなる作り方は必見です。
【切り干し大根】の作り方。干すことでうまみが凝縮
切って干すだけの切り干し大根は、どこでも誰でも簡単に作ることができます。材料も一般的な青首大根だけでOK。吉子さんも「漬物用の繊維の硬い大根でなければできます」と手近にあったもので作ってくれました。
<作り方>
① 好みのサイズに切る
驚くことに、切り方は自由です。皮は剥かず、用途や好みにあわせて好きな大きさや形に切っていきます。今回は短冊切り、半月切り、くし形切りにしました。繊維を切る方向や大きさによって味わいが変わるため人によってお気に入りの切り方があるようです。
スーパーなどで売られている切り干し大根は細長く切られたものが多いですが、思い切って大きめに切ることで大根のうまみが凝縮され、煮たときによりジューシーな味わいを楽しむことができます。
② ざるに並べて干す
大根が重ならないように、ざるに並べて屋外に干します。日陰でも日向でも構いませんが、雨には当たらないよう注意してください。完全に乾燥し、カラカラになったら完成です(気候にもよりますが、泰阜村では初冬から正月にかけて10日〜15日程度干すそう)。
<食べ方>
半日ほど水に浸し、戻してから使います。うまみが溶け出しているので、戻し汁は捨てずに調理に使いましょう。おすすめは、昆布と鰹でとった出汁で煮て、砂糖、醤油、みりんで調味する王道の煮付け。三杯酢で和えて酢の物にしたり、さらに干し柿やにんじんを加えてなますにしたりしても美味しいそうです。
【凍み大根】の作り方。凍らせることで一層滋味が深くなる
凍み大根は、凍らせることで大根の水分を抜きます。中に細かな空洞ができ、煮物の煮汁などが染みやすくなることが特長。滋味も一層深くなり、大根の濃厚な味わいを感じられます。
泰阜村では氷点下の外気に何日もさらし、凍らせては解凍する工程を繰り返して作りますが、環境が異なる地方では冷凍庫を使って作ることもできます。
<作り方>
① 切る・茹でる
大根を皮ごと1cmくらいの厚さに切り、半透明になるまで茹でます。
② ひもを通す
中心部に箸で穴を開け、ワラやビニールひもを通します。大根同士がくっつかないよう、大根を通す度に結び目を作りましょう。通したらこのまま軒下などに干して凍らせます。数日は干しっぱなしにして、何度も凍らせては溶かすことを繰り返すのがポイントです。
冷凍庫を使った作り方
大根が凍らない気候の地域にお住まいの方も、冷凍庫を使えば凍み大根を作ることができます。切って茹でた大根を袋に入れ、凍らせては外に出して干しながら解凍するという工程を水分が抜けてカリカリになるまで5回ほど繰り返しましょう。
※干す時間は、季節や環境によって差があります。記事内で紹介している方法で完全に乾燥しない場合は、追加で干してください。編集部の検証では5回凍らせては干したのち、さらに3日干して完成しました。
<食べ方>
名人おすすめの調理方法は煮物。半日ほど水で戻した後、戻し汁と一緒にさつまあげ、ちくわ、ごぼうなどと煮るだけです。定番の味付けではありますが、大根の滋味が引き出され、出汁と混じり合うことで深いうまみを感じられます。
意外と簡単に作れそうな切り干し大根に凍み大根。お店で買ってくるのもいいけれど、自分で作れば一層愛着がわき、美味しく食べられそうです。食材の新たなポテンシャルの発見にもつながりそうな昔ながらの保存食作りは、一度始めたら結構はまってしまいそう。
協力
宮島康夫さん、宮島吉子さん
奥さまの吉子さんは泰阜村生まれ、泰阜村育ち。ご主人の康夫さんは仕事の赴任先として泰阜村へ来て以来、40年余り村で暮らし続けています。秋はきのこ採りのほか、無農薬で育てた米の収穫や栗ひろい、胡桃の加工、炭焼きをしなければならないため、とても忙しいそう。
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