2016.09.15
幻のアグー豚「今帰仁アグー」 ~濃厚なうまみながら、後味はすっきり!希少な「純血種」
牛肉に比べ手頃な価格なイメージの豚肉ですが、幻のブランド豚肉が存在することをご存知ですか?
その名も、「今帰仁(なきじん)アグー」。「アグー豚……? それなら食べたことがある!」という方も多いかもしれませんが、おそらくそれは、現在沖縄で出荷されているアグー豚の9割を占める、アグー豚と西洋品種を掛け合わせた混合種。対して、「今帰仁アグー」は、小売店にはほとんど出回ることのない、非常に希少な「純血種」の豚肉です。
今回は、その美味しさについてはもちろんのこと、幻と呼ばれるほど希少になった理由まで、「今帰仁アグー」の魅力を伊勢丹新宿店、生鮮(畜産物)担当の加藤慧さんに教えてもらいました。
※「今帰仁アグー」は、西洋品種との交配を行わずに育てられた「純血種」に極めて近い復元種です。
濃厚なうまみながら、後味はすっきり!
まず気になるのは、その味。
「『今帰仁アグー』は、脂身の美味しさが特に際立ちます。舌にのせるとトロけてしまう脂身は、濃厚な味わいながら後味はすっきりとしているのが特長です。肉のもたれるような脂が苦手な方でも、美味しく食べられるはずですよ」
お家で食べるなら、調理はできるだけシンプルにするのがおすすめ。ラフテーなどこってりとした味付けよりも、しゃぶしゃぶやソテーなど素材の味を生かした調理で味わうのが一番だそう。
在来種にもっとも近い、今帰仁アグー
そんな「今帰仁アグー」の唯一無二の美味しさを生み出すため、飼育方法には並々ならぬ工夫が施されています。
西洋品種の豚の場合、200日程度で成豚になるため、出荷はその半年ほど前に行われるのが一般的。一方、「今帰仁アグー」は100日で成豚になりますが、そこからさらに約200日かけてゆっくり育ててから出荷されます。
「生育期間が長いことに加え、ミネラルのある土を食べさせたり、土遊びをさせたりと野生動物に近い環境で、健康的に長期間飼育しているんです。こんなに恵まれた環境で育てられる豚は、なかなかいませんよ」
一時は絶滅の危機に瀕した!?
加藤さんによると、希少ながらも今のように安定して生産されるまでには、生産者の大変な努力があったのだとか。
そもそもアグー豚は、2,000年ほど前から沖縄地方で使役動物として飼われていた豚と、600年ほど前に明(みん)から渡ってきた豚が掛け合わさって誕生した品種。その後は沖縄の在来種として家畜化し、神への捧げ物として献上されるほど、沖縄の文化に密着した食材になっていきました。
しかし、第二次世界大戦後の混乱でその数は激減。アメリカから西洋品種も輸入されるようになります。また、西洋品種が200kg〜300kgなのに対し、純血種のアグー豚は110kg程度と小柄。そのため生産性のいい西洋品種の豚との交配が進み、純血種はほとんどが姿を消したのです。そして、その存在は「幻」と言われるように……。
ところが、1981年に名護博物館がアグー豚の全体的な調査を行い、約30頭のアグー豚のDNAを持つ豚を発見。そのうちの18頭から純血のアグー豚を作り出すために集中的に交配され、幻のアグー豚がついに蘇ったのです!
「『今帰仁アグー』は、一度は消え復活した沖縄の文化。飼育を通して文化を守りたいという想いも含まれているんです」と加藤さん。
そんな歴史に想いを馳せながら、幻の豚の究極の美味しさを堪能してみてはいかがでしょうか。
商品の取扱いについて
【商品の取扱いについて】
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケット/I’S MEAT SELECTIONにてお取扱いがございます。(※
確かな目で選び抜かれた厳選素材を食卓へ。伊勢丹オンラインストアでは「I’S MEAT SELECTION」の一部商品をお取扱いいたしております。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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