2016.06.26
知っておきたい出汁のきほん 昆布・しいたけ編
レシピ通りに出汁をとっているはずなのに、味に深みが足りなかったり、生臭くなってしまったりすることはありませんか? それは、素材選びや保存方法が間違っているからなのかも。今回は、美味しい出汁を取るための材料の選び方や保存方法を紹介します。教えてくれるのは京都の料亭に乾物を卸している出汁のプロフェッショナル、日本橋だし研究所の南出洋伸さんです。物流が発達し全国の乾物が簡単に手に入るようになった今だからこそ知っておきたい、出汁用食材の選び方。必見です!
鰹節、煮干しの選び方はこちら! 「知っておきたい出汁のきほん 鰹節・煮干し編」
昆布のきほん
【選び方】水質に合わせて選ぶ
引っ越した先で昆布出汁を取ったら、なんだか味が違う……という経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。実は、昆布出汁は水の硬度によって昆布の種類を変える必要があるんです。
「関東に多い硬水は、しっかり味が出る日高昆布がおすすめ。関西に多い軟水は出汁が出やすいので、利尻や羅臼(らうす)の繊細な味を楽しむことができます」
※ここでは主に関東方面で使われる硬度50以上の水を硬水、関西方面で使われる硬度40程度までの水を軟水と表記しています。
【種類】主な昆布は4種類
覚えておきたい主な国産昆布の産地は次の4つ!
①真昆布
種類 : 折昆布
おすすめの用途 : 汁物などの出汁。肉厚なので煮物にも使える
出汁の特徴 : 上品で甘みがあり、清澄な出汁がとれる
相性の良い水 : 軟水
相性の良い醤油 : こいくち、うすくち
②利尻昆布
種類:折昆布
おすすめの用途:汁物などの出汁
出汁の特徴:上品で香りが高い。塩気が強いがやや甘みもある
相性の良い水:軟水
相性の良い醤油:うすくち
③羅臼(らうす)昆布
種類:折昆布
おすすめの用途:汁物などの出汁
出汁の特徴:濃厚で香り高く、ややスパイシーな味わい
相性の良い水:軟水(硬水では独特の香りが出にくい)
相性の良い醤油:うすくち
④日高昆布
種類 : 棒昆布
おすすめの用途 : 肉厚で食べ応えがあるため、煮物などの食用
出汁の特徴 : 甘くしっかりした味の出汁がとれる
相性の良い水 : 硬水(軟水では生臭くなることがある)
相性の良い醤油 : こいくち
どの昆布も購入時には「黒っぽすぎないもの」「肉厚なもの」を選ぶと、栄養をたっぷり含んでいて美味しいのだそうです。ただし、利尻昆布だけは黒いものが通常の状態です。
【保管方法】昆布は呼吸しているので、密閉せずに保管
地元の水にぴったりな美味しい昆布を選んだら、保管の仕方にも気を配りたいところ。昆布は「呼吸」をしているので、ビニール袋に入れたら密封せず冷暗所に保管しましょう。環境がよければ1年以上の保存が可能です。においが移りやすいため、冷蔵庫の中や柑橘類の近くには置かないようにしてください。
正しい出汁の取り方については「出汁のプロが伝授! 手軽でおいしい出汁の取り方、基本のき」に詳しく掲載しています。
干ししいたけのきほん
【特徴】うまみを何倍にも引き上げる、干ししいたけの出汁
単品で使われることはほとんどありませんが、干ししいたけから取れる出汁はうまみを引き立てるのに役立ちます。
「グアニル酸と呼ばれるうまみ成分は鰹節から出るイノシン酸、昆布から出るグルタミン酸と掛け合わせると相乗効果で、だし汁を何倍にも美味しくします。ぜひ、掛け合わせて使ってみてください。3種の出汁を合わせれば、1+1+1が、3倍の9になるくらい美味しく感じられますよ」
【種類】干ししいたけには出汁用と食用がある!?
しいたけには、大きくわけて2つの種類があります。
①香信
光をたっぷり浴びて育っているため、傘の内側が開いているのが特徴。そのため出汁が出やすく、たっぷりのうまみを楽しむことができます。
②どんこ
じっくり育てているため肉厚。傘が開く前に収穫します。やや臭みがあり、香信に比べるとコクが控えめなので出汁よりも食用に適しています。
どんこにはもう1種、天白(花どんこ)と呼ばれる種類があり、あっさりとした上品な出汁を楽しむことができます。しいたけから取れる出汁の中では最高の品質ですが、国内産は流通量が少なく高価なのであまりお目にかかることはできません。
【使い方・保管方法】じっくり時間をかけてうまみを引き出す
干ししいたけを戻すときは5時間から8時間程度水に浸けておくのがベストです。じっくり時間をかけてうまみを引き出しましょう。
ほかの出汁と合わせるときは、「相手」によって合わせ方が変わるので注意が必要です。
昆布出汁と合わせるとき
水出しするならしいたけと昆布を一緒に浸けてOK。もっとも簡単な方法です。別々に取っておいて、調理中に合わせても問題ありません。
鰹出汁と合わせるとき
それぞれ別で取っておいて、調理中に合わせましょう。
保管については、干ししいたけも昆布同様呼吸をしているので、密封せず、ビニール袋を開けた状態で冷暗所へ。もちろんにおいの強い物の近くに置かないようにお気をつけください。
地域や用途にあった産地や種類の食材を選び、正しく保管することは美味しい出汁をとるための第一歩。ご家庭用に乾物を買うときはもちろん、贈答の際にもぜひ活用してみてください。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、日本橋三越本館地下1階=日本橋だし研究所にてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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