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2016.06.17

大都会の屋上に養蜂場!? 「日本橋みつばち倶楽部」始めました!

実際にみつばちの巣の手入れをしているところ

近年、注目されつつある「都市養蜂」をご存知ですか? 都市養蜂とは、都心のビルの屋上などを活用してみつばちを育て、はちみつを採取する養蜂スタイルです。

2016年、日本橋の中心で、そんな都市養蜂への新たなチャレンジがはじまりました! 日本橋でとれたはちみつを楽しみながら、みつばちと共生する街を目指す「日本橋みつばち倶楽部」。3月にスタートしたばかりのその取り組みを紹介します。

「みつばちが共生する街」を目指して

作業中の原田さんと高田さん

プロジェクトの中心地は、日本橋三越本店新館屋上。8箱の真っ白な養蜂箱を大切そうに扱うのは、はちみつ専門店<ラベイユ>の原田誠一郎さんと、日本橋三越本店食品・レストラン営業部のスタイリストの高田幸子さんです。

原田さんは八王子でも<ラベイユ>の養蜂部を担当しているはちみつのエキスパート。慣れた手つきで養蜂箱の中からみつばちの巣をとり出します。よく見ると、板の隙間にキラキラ光る蜜が。

 

蜂の巣のキラキラと光る蜜

原田さん「現在、8箱で飼育しているみつばちの数は約20万匹。東京・八王子にある<ラベイユ>の養蜂場から連れてきた蜂たちなのですが、当初はちょっと心配していたんです。緑に囲まれた八王子とは違い、都心のビルの屋上では、まずみつばちが地上まで降りて蜜がとれる場所を探し回らなければならない。ストレスで巣箱に蜜をためないんじゃないか……と。でもちゃんと環境に順応してくれて、こうして蜜も順調にたまってきている。それが何よりもうれしいですね」

はちみつ専門店<ラベイユ>の原田誠一郎さんと日本橋三越本店スタイリストの高田幸子さん

(写真左から)はちみつ専門店<ラベイユ>の原田誠一郎さんと日本橋三越本店スタイリストの高田幸子さん

高田さん「とれたはちみつは、8~9月ごろに日本橋三越本店の<ラベイユ>で販売予定です。どのくらいの量を皆さまにお披露目できるかはまだ未知数なのですが、できるだけたくさんご提供できるよう私たちも頑張りたいと思います」

 

自然と都市に生きる人を結ぶみつばちの存在

みつばちの箱

箱の下部の小さな隙間から、みつばちが出入りする

日本橋の中心で元気に活動するみつばちたち――。そんな、ちょっと意外なビジョンを描いたきっかけは、何だったのでしょうか?

高田さん「日本橋三越本店では、2014年3月に『カルチャーリゾート百貨店宣言』を行いました。テーマは、文化に浸って楽しめるお店。実際にお客さまがお店でさまざまな体験・体感をしていただきたいという思いを込めています。そんな取り組みの一環として注目したのが、近年、都内でも注目されている『都市養蜂』でした。日本橋三越本店に出店している<ラベイユ>さんにお声がけさせていただいたんです」

原田さん「実は今、世界的にもみつばちの重要性があらためて認識されてきているんです。みつばちが突如いなくなる『蜂群崩壊症候群』によって、みつばちを介した受粉活動が正しく行われず、食のサイクルに影響が出てつつある。人とみつばちは、実は切っても切れない関係なんですね。でも、これまでそのことを一般の人に知ってもらうきっかけが少なかった。今回、日本橋三越本店さんからお話をいただけたことは、私たちにとってもその絶好のチャンスだったんです」

人にもみつばちにもメリットのある都市養蜂

今回のプロジェクトの目標は、大きく3つ。

  1. 日本橋でとれたはちみつの販売・提供
  2. 都市養蜂への取り組みから、自然環境へ関心を持つきっかけに
  3. 日本橋の緑化計画のお手伝い

高田さん「地域のため、といってしまうとちょっと大それてしまいますが、まずは日本橋三越本店からみつばちと人との関わりを発信していき、お客さまに楽しんでいただく過程の中で、街の緑化のお手伝いができればと考えています」

原田さん「ちょっと意外かもしれませんが、みつばちにとっても都会は住みやすい環境という側面もあるんです。田畑がないので農薬が少なく、天敵であるスズメバチもほとんどいない。都市養蜂のメリットは、人だけでなくみつばちたちにもあるんですね」

 

どんな味? 「日本橋産はちみつ」ができるまで

巣の手入れをするみつばち

「日本橋みつばちプロジェクト」のみつばちたちは、日本橋で繁殖・活動~八王子で越冬のサイクルで1年を過ごします。

 

【2月下旬~3月中旬】繁殖・活動初期

原田さん「みつばちたちが八王子から日本橋三越本店新館の屋上に引っ越してきます。みつばちは冬の間に最盛期の1/8ほどまで数が減ってしまうのですが、この時期から女王蜂が次世代をどんどん産んでいきます。都心では梅やオオイヌノフグリなどが咲くため、少量の蜜の採取も始まります」

【3月下旬~4月上旬】繁殖・活動中期

原田さん「気温が15℃以上になると桜を中心に季節の花の蜜を集めてながら活発に動き回るようになります。みつばちもどんどん増えて、8箱に約20万匹ほどになります」

【4月中旬~7月】活動最盛期

原田さん「1箱の中いっぱいにおよそ4万匹ほどにまで増えたみつばちたちは、さまざまな花が咲き誇る夏ごろまでが、活動の最盛期。順調にいけばおおよそ1ヵ月に1度のサイクルで蜜を絞ることができます」

【8月~2月中旬】越冬準備~越冬期

原田さん「みつばちたちは八王子へと『里帰り』し、仲間とともに厳しい冬を迎えます。また来年からの活動に向けて力を蓄えていくことになります」

気になる『日本橋産はちみつ』は、さまざまな花の蜜が混ざり合った「百花蜜」と呼ばれる種類として店頭に並びます。

高田さん「街に咲く花は季節ごとに異なるため、その季節ならではの味が楽しめます。そんな蜜を集めてできた『日本橋の味』を、ぜひ楽しみにしてください」

日本橋三越本店では、プロジェクト発のイベントの予定もあるそう。「日本橋みつばち倶楽部」の今後に要注目です!

文: 斉藤彰子

写真:菅井淳子
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。

バイヤー・スタイリスト / 高田幸子
日本橋三越本店食品・レストラン営業部 新館 アシスタントセールスマネージャー。はちみつの魅力に魅せられ、「日本橋みつばち倶楽部」のプロジェクト提案も積極的に行ったそう。「原田さんに指導を仰ぎながら、養蜂の奥深さを学んでいます。今はみつばちのとりこです!」。
バイヤー・スタイリスト / 原田誠一郎
はちみつ専門店<ラベイユ>で養蜂に携わり7年目。以前は野菜嫌い、虫嫌いでしたが、同店に入社以来、食物への意識が変わったそう。「『虫が集めてくる食物』というのは、はちみつだけ。環境と直接関わっていることで心が洗われますね」。

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