2016.05.30
しっとり派?さっくり派? 個性が際立つ、食パン食べ比べ
誰もが日常的に親しんでいる食パン。どんなパン屋さんにも置いてあり、お店で一番売れる……。つまり食パンは「そのお店の顔」。食パンを食べれば、その店のこだわりも見えてきます。今回は日夜全国のパンを食べ歩く『パンラボ』の池田浩明さんと一緒に、人気店の食パンを食べ比べてみましょう。
まずは食パンの種類を知ろう!
まず、食パンの定義をおさらいすると、食パンとは型に入れて焼かれていることが必要条件。型にふたをすると四角い「角食」に、ふたをしなければ上部が山のようにふくらんだ「山食」になります。両者は単に形が異なるだけでなく、味わいにも違いが生まれるのだとか。
「角食は生地がふくらもうとしてふたにぶつかるので生地の目が詰まっていて、気泡も小さいので舌触りがなめらか。一方の山食はふたをしていないのでのびのびしていて、気泡が大きくて荒っぽい感じ。熱もしっかり入るのでさっくりと軽く、香ばしく仕上がります」
しっとりした食感が食べたいなら角食、さっくり軽いものなら山食というふうに、気分で選ぶのがオススメ。
では早速、個性豊かな食パン5種の実食に参りましょう!
<アンデルセン>発酵バター食パン
まずは、<アンデルセン>の角食から。発酵バターを使って香り高く焼き上げた食パンで、生地はきめ細かくやわらか。
「ほんのり黄色く見えるくらいバターたっぷりですね。生地を触ると、指の跡がつくくらいもっちり! 少しひんやりすることから、水分もたっぷり含まれていることがわかります」
生地はコシがあり、いい意味で口の中に残るほど。分厚い耳も、かなり歯ごたえがあります。トーストすると「さらに甘さの輪郭が出ますね」と池田さん。
「発酵バターの甘みが染みます。卵サンドやジャムに合いそうだな。サクサクの耳も美味しい!」
<アンデルセン>アンデルセントースト
次いで、同じく<アンデルセン>の山食です。カナダ産の小麦の風味を生かしたシンプルな味わいが魅力。
「耳は上が茶色く、下が白い。釜伸び(生地が上に向かって伸びること)に勢いがあります。生地はもちっとしながらも潰れていく感じがすごくいい。味のキレが良く、小麦の味だけ残る。毎日食べることを意識して作っている気がします」
トーストすると、かなりいい歯ごたえに。池田さんも「香ばしさが効いていて、お肉も受け止めてくれそうなしっかりした味ですね」とうなります。
<ホテルオークラ>山高パン
お次は、老舗の<ホテルオークラ>の山高パンが登場。「この大きさにそそられる!」と池田さんが驚くほど、今回の5種の中で一番のビッグサイズ。ほんのりした塩気も、小麦の味わいを引き立てます。
「気泡が大きいから唾液がすぐ回るので、口の中でどんどん溶けていく。食感も軽い、エアリーな食パンですね。長年愛される理由がわかります」
トーストすると、ますます軽く、パリパリに。
「これは最高!トーストしてこそ真価を発揮しますね」
<エディアール>エディアール角食
すっきりと四角い<エディアール>の食パンは、まさに『THE角食』という雰囲気。軽さともっちり感を兼ね備えた王道の味わいで、発酵バターの風味が生きています。
「日常で食べる食パンのイメージに一番近いですね。あ〜これこれっていう、安心できる味。ホットミルクのようなミルキーな後味があるので、ココアやカフェオレと一緒に食べると合いそう。バタートーストにしたいですね」
こうして食べ比べてみると、その違いは一目瞭然! 食パンといっても、実に個性豊かだということがよくわかりました。たまにはいつもと違う食パンを選んでみて、自分好みの一品を探しては?
プロフィール
池田浩明
パンを食べる研究を専門に行う「パンラボ」主宰、ブレッドギーク(パンオタク)。日々パンを食べ、パンを考え、パンと遊んでいる。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法』などがある。
商品の取扱いについて
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
Ranking
人気記事ランキング