2015.11.20
今年もおいしく仕上がっています。全国の「この牡蠣がすごい!2015」
街のイルミネーションよりも、店頭に並ぶ牡蠣のふくよかな姿に冬の到来を感じる牡蠣ファンのひとりです。
これまでただ牡蠣と聞けば飛びついてきましたが、実はその味は産地や生産者によって大きく違いが出るのだそう。
ならばファンとして、今おさえておくべき牡蠣を知らずに冬は迎えられません。今注目のブランド牡蠣を、「日本かきセンター」のバイヤー、飛木裕介さんにうかがいました。
ブランドだけでなく生産者にも注目を!
飛木さんによると、牡蠣の味の決め手は、「海域」と「生産者」といいます。
「近年は、若手生産者の中にこだわりをもって丁寧に牡蠣を育てている方が増えています。同じ地域の中でも、育て方によって味が大きく変わってくることも多いんです。ひと口に海域のくくりで判断するのではなく、ぜひ生産者さんにも注目していただきたいですね」
ちなみにバイヤー飛木さんによると、牡蠣を見極める際のポイントは以下の3つだそう。
おいしい牡蠣の見分け方
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殻が平べったくなく、下の形(カップ)が深くカーブしている
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手に持ったときにしっかり重みを感じる
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開いたときに、殻の中にぎっしり身が詰まっている
「身が大きな牡蠣のほうがなんとなく得な感じがしてしまいますが、牡蠣は、外套膜・貝柱・肝までを『ひと口』で食べたときに一番おいしさを感じることができます。牡蠣をおいしく食べる際の目安のひとつとして、サイズ感も気にしてみてください」
さわやかなうまみが広がる! 北海道「サロマ湖産牡蠣」
「牡蠣ファンならずともぜひ食べてみてほしい」と飛木さんが太鼓判を押すのが、牡蠣の名産地として名高い北海道サロマ湖産牡蠣。なかでも、船橋漁業部さんが生産した牡蠣がおすすめだそう。
「冷たいオホーツク海と北海道の豊かな大地から流れる真水が混ざり合うサロマ湖は、牡蠣にとってこの上ない好環境なんです。特に船橋さんが行っているのが、出荷前に網から牡蠣をばらしてカゴやネットに入れ、1~2ヵ月海に沈めておくというひと手間かけたやり方。ごみをとったり、汚れた網を洗ったりと手間ひまかかる作業を一つひとつ丁寧に行うのが、おいしさの秘密なのだと思います。味は、牡蠣独特のクセがなく、さわやかさを感じるうまみが特徴。プリッとした食感も絶妙です」
桃のような甘さ!? 三重県桃取産「桃こまち」
三重県の牡蠣といえば特に有名なのは的矢牡蠣ですが、近年注目なのが、三重県鳥羽の離島・答志島の桃取地区でつくられている「桃こまち」。
「餌が豊富な桃取の海で、桃のように甘くプリプリとした食感を目指してつくられているブランドです。特にカネマン水産さんがつくる牡蠣は、吊るす筏(いかだ)に三重県の特産であるヒノキを使い、何度も場所を移動させながら、常に栄養豊富な状態を保ってつくられています。そのため、非常に濃厚な味で、加熱しても身が縮みにくい牡蠣に仕上がっています」
安定したおいしさ! 兵庫県「室津産牡蠣」
「今や牡蠣好きで知らない者はいないほどの有名産地」というのが、兵庫県室津産牡蠣。播磨灘に面した室津港は、千種川、揖保川から流れ込む栄養豊富な真水の影響で海の状態が非常によく、安定的においしい牡蠣がとれることで有名です。
「もとの海の状態がいいだけでなく、毎年4~6月は漁場を休ませて栄養状態を保つようにするなど管理も徹底されています。『室津産牡蠣』は、とにかく身入りがよく、外れが少ないため、オイスターバーなどで人気です。味は濃厚でクリーミー。生はもちろん、加熱しても身が縮みにくいので、調理にも適した万能選手です!」
希少価値高し! 広島県呉市産「情の雫」
牡蠣の生産地として有名な広島ですが、実は出荷されるのはほとんどがむき身の加工用牡蠣。殻付きのものの出荷は意外にも少なかったそうですが、近年、殻付き牡蠣の注目のブランドが誕生しました。
「それが、呉市・情島の高田水産が生産する『情の雫』。残念ながらいくつかの取引先を除いて県外の市場に出回ることがほとんどないため、非常に希少価値のある牡蠣です。生産者の高田さんは、まだ30代の若手なのですが、ほとんどむき身の牡蠣しか生産していなかった地元で一念発起し、殻付き牡蠣の生産を始めた方。生産者の情熱を感じるその味は、さわやかな香りと強いうまみのバランスが絶妙で、非常に高い評価を得ています」
県外のお店ではめったに見られないとのこと。広島を訪れた際には、ぜひチェックを!
スッキリした味わい 福岡県門司産「豊前海一粒かき」
九州=牡蠣のイメージが薄い人も多いかもしれませんが、実は牡蠣の名産地のひとつ。特に門司(もじ)の「豊前海一粒かき」は、身入りのいい牡蠣として有名だそうです。
「栄養豊富な豊前海で育った『一粒かき』は、牡蠣がどんどん栄養を蓄えて成長するため、殻は小粒ですが、開くとぎっしり身が詰まっています。すっきりとした味わいで、磯臭さやクセがないため、牡蠣が苦手な人も生でもおいしく食べられると思います」
牡蠣の味は、海の味。
「ぜひ味の違いを感じて、もっと多くの人に牡蠣の魅力知ってほしいですね」と飛木さん。
「牡蠣の味は、育った海の味です。海の環境や育て方によって、うまみの濃さや塩気に違いを感じたり、味が変わってきたりするのが魅力。牡蠣が苦手という人も、生産者のこだわりが詰まった牡蠣に触れれば、牡蠣への見方が変わるかもしれませんよ」
小さな一粒にさまざまなこだわりが詰まった牡蠣。牡蠣ファンのみなさん、さてこの冬はどれから楽しみましょうか?
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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