2015.10.26
犬山紙子の「伊勢丹新宿店食品フロア探検隊!」第4回・希少野菜の密林へ
人気エッセイストの犬山紙子さんが、伊勢丹新宿店本館地下1階、美食の食品フロアの秘密をレポートする第4回目の探検先は、フレッシュマーケットの青果コーナー。「え? 野菜?」と思うことなかれ。品ぞろえからプレゼンテーションまでユニークで、未知なる野菜の密林の奥にぐいぐい引き込まれていきます。
料理のプロたちが訪れる「ベジタブルパラダイス」
四季折々の美味が並ぶ食品フロアのなかで、とりわけ季節感あふれるのが青果コーナー。全国の優良生産者から仕入れる希少な野菜も並び、都内の有名レストランのシェフたちもしばしば訪れます。「私、お野菜大好き女子♡ってキャラじゃないんですけど、大丈夫ですかね……」と前3回に比べやや低めのテンションで現場に登場した犬山紙子さん。果たして犬山さんは野菜で『萌える』のでしょうか。
この日、ナビゲート役を務めてくれたのは伊勢丹新宿店青果専属シェフの鈴木理繪さん。鈴木さんの案内でショップを廻りはじめると、犬山さんの表情は一瞬にして明るくなり、いつもの「前のめりキャラ」が徐々に表れはじめます。
犬山紙子さん(以下、犬山) なんだか見たことない野菜がいっぱいでドキドキしてきました! スーパーや八百屋さんとはひと味違う顔ぶれですね。
鈴木理繪さん(以下、鈴木) ありがとうございます。品ぞろえはもちろんのこと、少しでも野菜を好きになっていただけるようレシピの提案や試食のご用意など、いろいろ工夫をしながらご紹介しています。
犬山 見たことも食べたこともない野菜がたくさんあって、どうやって料理していいのか悩みます。
鈴木 たとえばこの「バーニャカウダセット」は、生産者である農家さんがバーニャカウダにぴったりの旬の野菜をセットにした商品です。バーニャカウダはアンチョビとニンニクの温かいソースに野菜を付けて食べる北イタリア発祥の料理。レストランやカフェでも今や定番で、ご存知の方も多く人気があるんです。
犬山 私もよく食べます。いろんな野菜をちょっとずつ食べられるのがいいんだけど、ひと袋ずつ買うと余らせてしまうんですよね。これなら無駄がないです。ちなみに、ソースは付いてないんですか?
鈴木 ソースの味にはお好みがあり、近頃はご自身で作られる方も多いので、あえて付けずに販売しています。グローサリーのコーナーには数種類のソースのご用意があるので、そちらをご案内することもできますしね。
これまで知らなかった野菜の数々に大興奮!
「独自農法のこだわり野菜」「人気シェフ御用達の野菜」「在来種」など、こだわり野菜が陳列されています。名前がユニークなものも多く、つい足が止まります。「へぇ~」「なんじゃー」と驚くたびに声をあげる犬山さん。野菜を巡る冒険はまだまだ終わりません!
犬山 なんなんですか! このヘチマのようでかぼちゃのような野菜は!?
鈴木 鶴首かぼちゃといって、長崎で栽培されている在来種です。
犬山 ホントだ! たしかにニョキっと鶴の首みたいですね。どんな味がするんだろう。ところで在来種ってどんな野菜のことなんですか?
鈴木 品種改良で生まれた品種に対し、古くからその土地に根づき、自家採種という昔ながらの方法で種を採り、守り継がれてきた野菜を在来種と呼びます。当店では在来種のご紹介にも力を入れています。
犬山 そうなんですね。で、鶴首かぼちゃはどんな味がするんですか? 食べ方も気になります。
鈴木 鶴首かぼちゃは水分の多さと甘さに特徴があります。厚めに切って出汁としょう油で炊くととてもおいしいんです。
犬山 なるほど! こちらのひょうたんみたいなかぼちゃはバターナッツっていうんですね。鶴首かぼちゃと少し似ている気がします。
鈴木 鶴首かぼちゃは日本かぼちゃの一種。だから出汁じょうゆに合うんですね。こちらバターナッツは西洋かぼちゃの一種です。生クリームや牛乳でのばしてポタージュにすると最高ですよ。
犬山 ひと口にかぼちゃといっても、これだけ種類があるんですね。いや~、ビックリです。
シンプルな調理法で引き出される野菜の味に驚嘆
いよいよ試食タイムに突入。こちらでは試食の野菜を店頭で調理して提供しているそう。「シェフから説明を聞き」、「調理の様子を見て」、「味わってから買える」。なるほど、野菜の魅力にハマりそうです!
鈴木 まずはシシトウやピーマンの食べ比べから始めましょうか。ふつうのシシトウと、名前の通り紫色をしたムラサキシシトウ、バナナピーマンの3種類をシンプルに炒めます。
犬山 バナナピーマン?? またも気になる名前ですね。どんな味がするんだろう。油はオリーブオイルではないのですか?
鈴木 オリーブオイルは香りが強いものが多い。私は野菜の香りを引き立てたいので、シンプルにサラダオイルを使います。焼くときは混ぜすぎないこと。野菜が少し汗をかいてきたな、と思ったら返してあげるくらいの感じでやってみてください。さあ、できました。召し上がってみてください。シシトウは少し辛いかもしれないので気を付けて。
犬山 ではバナナピーマンからいただきます。わわ、甘いぞ甘いぞ! これならピーマン嫌いなお子さんでも食べられそう。それに、ムラサキシシトウは火を入れると緑になるんですね。これもフルーティといっていい甘さ。おいしいです。シシトウは……、か・か・か・辛い~!!!(涙目)
鈴木 元々唐辛子の仲間なので辛みを持っているんです(笑)。野菜にストレスがかかると辛みが出るので、旬の終わりかけは辛くなる率が高い。
犬山 ほー。なんだか人間みたいですね。旬を過ぎて辛くなる女、みたいな……。
鈴木 ははは。そうかもしれません(笑)。お次は天狗なす。こちらも同様に火にかけたらいじりすぎず、香りや表情を見ながらじっくり焼いてあげます。ほどよい焦げ目がついたら食べ頃です。
犬山 なんですかこれは! ホントになすですか!? 口の中でトロける~、って野菜にも使っていい表現でしたっけ? 本当にトロけてます、甘いです、香りも芳醇です。なすってこんなポテンシャルあったんだ……。いや驚きですってば。ホームパーティなんかに持っていってササッと焼いたら、十分ドヤ顔できるレベルですよ。
鈴木 焼くときにいじりすぎないことが大事。塩だけで十分おいしくなります。
犬山 なるほど、女も野菜もいじりすぎないことが大事(メモメモ)。いやはや、勉強になります。どれも火の通し加減が絶妙で塩味だけとは思えないおいしさ。試食のレベルじゃないですね。
鈴木 農家さんとお話する機会を積極的に持って、食べごろの見極め方やよりおいしく食べるコツや調理のポイントを聞き、お客さまへお伝えするのも私たちの大事な仕事だと思っています。季節ごとに顔ぶれががらりと変わるので、また気軽に立ち寄ってくださいね。
取材開始時に「野菜の甘みが~、とか、わからない残念な女なんですよね」と話していたはずの犬山さんが、すっかり目をキラキラさせるほどの盛り上がりぶり。「じっくりね」「いじりすぎずにね」と鈴木さんの言葉を反芻しながら、試食したバナナピーマンや天狗なすを買物かごへと次々に。
調理のデモンストレーションや試食の場面に出会ったら、ぜひ鈴木シェフに声をかけ、気になる野菜のあれこれを聞いてみると、奥深い野菜の世界への扉が開かれるかもしれません。
犬山紙子
エッセイスト。2011年、美人なのになぜか恋愛で失敗する女たちの悲惨で笑えるエピソードを独自のイラストと共にまとめたエッセイ『負け美女』(マガジンハウス)でデビュー。テレビ、雑誌、ラジオなど各種メディアで活躍中。『女は笑顔で殴りあう マウンティング女子の実態』(瀧波ユカリ共著、2014年)他、著書多数。写真は今回試食した天狗なすを持つ犬山さん。
商品の取扱いについて
記事で紹介している商品は、伊勢丹新宿店本館地下1階=フレッシュマーケットにてお取扱いがございます。
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。商品の情報は予告なく改定、変更させていただく場合がございます。
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