2015.10.16
ソムリエ直伝!「セット売りワイン」の新しい愉しみ方
おいしいワインを飲みたい! だけど、星の数ほど存在するワインの中から1本を見つけ出すのはなかなか大変。赤? 白? どんな料理に合わせる? どんな順番で飲めばいい? そんな迷えるワインLOVERに紹介したいのが「セット売りワイン」です。ソムリエ・吉良竜哉さんにセット売りワインの最近の動向と、選び方、愉しみ方を聞きました。
「愉しみ方」まで提案! 新しいセットワインの世界
もともとは、お正月などセール時期に企画されていたというワインのセット売り。しかし最近、ワインセットのコンセプトが大きく進化しているそうです。
「以前は、ただおいしいワインを集めるだけでしたが、最近はそれに『テーマ』が加わるようになりました。例えば、同じワインでも昼と夜では感じ方が異なりますし、気温やシチュエーションによっても飲みたいお酒は変わります。『昼にみんなで飲んでほしい』、『夜にしっとり飲んでほしい』、『食事と一緒に飲み比べてほしい』というように、シーンに沿った『愉しみ方』から提案するのが、最近のトレンドの1つです」。
今回は、吉良さんがセレクトした味・コスパともに抜群の「今飲んでほしいワイン3セット」を紹介。ワインをより愉しむためのアドバイスも併せてお伝えします。
①生産国が同じワインは「飲み比べ」すべし!
まず紹介するのは、「生産地」をコンセプトにしたワインセット。同じ生産国のワインは「飲み比べ」するといいそうです。
「順番に1本ずつ開けていくより、同時に2、3本開けて『飲み比べ』するのがセットワインの醍醐味。セットですと1本あたりの価格も抑えられているので、気軽に愉しむことができます。私が自宅で愉しむときは、白と赤の2本を開けます。食事に合わせて『前半は白』『後半は赤』と飲み進めるのもいいですね」
なかでも、吉良さんのおすすめは「イタリア全20州をコンプリート!赤・白ワイン・スプマンテ20本セット」。「イタリア全土を網羅したい!という、ワイン愛好家の永遠のテーマを形にしました」という、力の籠ったセットです。
「イタリアにある20州すべてを網羅するのは、本当にすごいことなんですよ!実は、国内の全地域でワインを造っている国はイタリア以外あまりないのです。各州で『オラが村のワイン』が発展しており、エリアごとにまったく異なる個性が愉しめます」
隣りあう州でワイン対決したり、同じ赤でも北部と南部で比べたりと、多彩なイタリアワインの愉しみ方は無限大。友人や家族でわいわい愉しみたいですね。
②シャンパーニュだってハーフボトルでお手軽に
続いては、パーティなど特別なシーンで開栓することの多い、シャンパーニュのハーフボトルセットです。
「高価なボトルが多いシャンパーニュは、勉強しようとなると手間もお金もかかるもの。さらに一度開栓すると炭酸が抜けてしまうため、何本も開けて飲み比べをするには難しいお酒です。しかしすぐに飲み切れる『ハーフボトル』のセットなら、同時に2〜3本開けて飲み比べることができます。何人かで愉しんでもいいですし、1人でカジュアルに飲むこともできますよ」
ここで、シャンパーニュをおいしく飲むためのアドバイス。
「シャンパーニュは、香りや味の情報が多い飲み物。キンキンに冷やした方がいいと誤解されがちですが、冷やしすぎると香りや味わいが感じにくくなってしまいます。飲むときは冷やし過ぎないで、シャンパーニュ本来の複雑な味を感じてください」
そんな吉良さんが推薦するのは、<モエ・エ・シャンドン><ヴーヴ・クリコ>のような大手メゾンではなく、あえて「小規模生産者」にスポットを当てた、「小規模生産者シャンパーニュ ハーフボトル飲みくらべ12本セット」。
「名前はマイナーですが、味は大手メゾンと遜色なし。ブランド化していない分コストバリューもよく、一つひとつの個性がしっかり立ったラインナップです」
有名ではない分、生産者名から味わいを読み取るのは至難の業。そこで見るべきは「銘柄」だと吉良さん。12本の中にある『ブラン・ド・ブラン』や『シャルドネ』は魚料理や和食に合うすっきりタイプ。食事中に2本をピックアップするのであれば、まずこのどちらかを開け、次にそれら以外の銘柄を開けると、違いがよく見えるといいます。 吉良さん曰く、秋から冬がシャンパーニュの季節。気軽にレアなシャンパーニュを愉しみたいですね。
③高品質ワインでプロのテイスティングを!
最後は、ワイン好きなら誰もが憧れる、高品質なワインセット。大人数でカジュアルに、というよりは、夜に1人や2〜3人でじっくりワインと向き合う飲み方に適しています。高品質なワインセットでこそ試したいのが、プロが行うような本格的なテイスティングです。
「一般的には、赤と白などタイプの異なるワインを組み合わせて愉しむことが多いですが、ある程度のレベルになると、それとは正反対の愉しみ方ができます。赤と赤、白と白という風にあえて同じタイプのワインを開け、同時に飲み進めることで味の差を見るのです。実はこの方法は、プロのテイスティングの王道。ワインの味を突き詰めたい人は、ぜひ挑戦してください」
今回取りあげたのは、世界に300人程度しかいない「マスター・オブ・ワイン」の資格を持つジャスパー・モリス氏がセレクトした、ブルゴーニュの5本セット。
「日本のワインLOVERの方は、中級〜上級にいくとブルゴーニュのワインにハマることが多いようですね。なかでもこの5本は選ばれし銘柄といえます。同時に開けるといっても一度で飲み切るのではなく、3〜5日かけて味の繊細な変化を感じてください」。
開栓後は酸化を防ぐため、冷蔵庫で保存して飲む時は飲む分だけ再び常温へ。開栓したコルクをさかさまにしてフタにしても、別売りの栓をはめてもよし。特別な道具は不要なので、自宅でもすぐに試せます。
「セットワインの魅力は、いろいろな味、飲み方を『試す』ことができること。例えば『イタリア南部のワインをシチリアの魚料理と合わせてみよう』という風に、想像力を膨らませてみてください。プロが提案する『こうしてください』だけでなく、飲み手がいつもよりもちょっと『こうしたいな』と思えると、ワインはもっと愉しくなりますよ」
難しいイメージのあるワインも、こうやって実際に「試して」みると、ぐっと身近で愉しく思えるものです。さまざまなテーマで展開される新時代のワインセットは、私たちを奥深いワインの世界へと優しく誘ってくれます。
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