食品フロアスタッフが本気で勧める、あの店の「コレおいしい！」#7

日頃、三越伊勢丹の食品フロアで、実際に店頭に立っているスタッフたち。美食の戦場、美味の密林とでもいうべき空間で、お互いに最上の味をお客さまに届けるべく、切磋琢磨を続けています。そんな彼らが、「あえて」他店の商品からオススメしたい「コレおいしい！」を紹介する、この連載。強者は強者を知るように、本当においしいものを知っているのは、彼らなのです。

第7回：ノワ・ドゥ・ブール 西野雅士さん

焼きたての洋菓子の甘い香りに包まれて、店の前で足が止まる。店内のキッチンでケーキを作るパティシエのテキパキした動きに目が釘付けになり……ついついいつもの「ご褒美」を買ってしまう。洋菓子コーナーの玄関口にある＜ノワ・ドゥ・ブール＞は、世のスイーツ好きたちにとって抗いがたい引力を持つ人気店です。

「おいしそう〜！」と、とろけそうな表情のお客さまをにこやかに迎えるのは、洋菓子業界歴13年のベテランスタイリスト・西野雅士さんです。実は西野さん、もともとは甘いものはそれほど得意ではなかったそう。しかし、日々の仕事や研究を兼ねてのデパ地下巡りを続けるうちに、すっかりスイーツ男子に成長。今では「本当においしいものは、まず『顔』が違う！」と、熱く語るまでになりました。

第7回は、スイーツ大好きな西野さんが「感動した！」という3品を紹介します。

西野さんのおすすめ①：想像以上の濃厚カスタードに「！」

1品目は、なんと＜ノワ・ドゥ・ブール＞の隣にある同じ洋菓子店＜パティスリー・サダハル・アオキ・パリ＞から。フランス産の発酵バターをたっぷり使った食べ応えのあるシュークリームです。

「ここのシュークリームは小ぶりで上品な見た目なのですが……中はかなりどっしり。濃厚なカスタードクリームの量に驚きました。生地もサックリ＆しっかりめで僕好み。こんなに小さいのに、すごいなって衝撃を受けたましたね。こんなシュークリームははじめてです」

同じ洋菓子のライバルといっても、温かくてアットホームな雰囲気の＜ノワ・ドゥ・ブール＞と、上品でスタイリッシュな＜パティスリー・サダハル・アオキ・パリ＞は好対照。

「お店の個性が全く違うので、たまに上品なあちらの味も食べたくなるんですよ（笑）」と、日々刺激を受けているそうです。

西野さんのおすすめ②：サクサク食感に「!!」

2品目は、スイーツと並んで西野さんが大好きだという「パン」からエントリーです。＜デュヌ・ラルテ＞の「漣孤（れんこ）」は、クロワッサン生地のスペシャリテ。めずらしい四角形が印象的です。

「パンの中でも特にクロワッサンが好きなのですが、これもかなり衝撃的でした。本当にサックサクで、初めて口にしたときは『刺さるんじゃないか!!』と思いました。もちろん濃厚なバターの風味もいいし、クロワッサンファンなら一度は食べてほしいです。おすすめですよ」

香ばしさと特徴的な食感は、朝食にぴったり。西野さんもモーニングに楽しむことが多いそうです。

「漣孤（れんこ）とコーヒーがあれば、もう十分。そこに卵料理なんか付ければ……とっても贅沢な朝ごはんですよね」

早起きが楽しくなりそうな1品です。

西野さんのおすすめ③：中華風こしあんにスタイリストたちが「!!!」

最後は、新宿中村屋と伊勢丹のコラボブランド＜円果天＞から、中華風のお菓子「月餅」をセレクト。西野さんは洋菓子の次に中国スイーツがお気に入りなのだとか。

「実はこのお菓子、伊勢丹のスタイリストたちの間でも話題のアイテムなんですよ。なんといっても独特の風味がたまらないですよね。見た目も美しいし、自分用にも、お持たせにもいいですよ」

まろやかな舌触りと、たっぷりつまったあんのわりにすっきり軽い甘さは、和菓子とも洋菓子とも異なる驚きを与えてくれます。

西野さんの友人にも月餅ファンは多く、よく手土産にリクエストされるそうです。

「月餅を見るたびに、『あぁ、あの人が好きだったなぁ』って、浮かびますよ。思い出と一緒になっている大切な味です」

「本当においしいものは、見た目もいいし、味もいい。その上で抜きん出た個性があるんです。そんなすごいものと出会うと心から感動します。13年デパ地下をめぐっていても、知らないお店や商品はまだまだたくさんある。これからも新しい感動の商品をどんどん探していきます」

と、熱い意気込みを語ってくれました。

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